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フリーランスが納めるべき税金は?控除や節税対策も解説

フリーランスになると、会社員時代と違い自分で納税しなければなりません。ですが、いざ納税ということになっても、そもそもどんな税金を納めなければならないか分からなければ、納税のしようもありません。納税は国民の義務のため、納めるべき税金を納めないことで、罰則を受けることになる、なんてことになりかねません。

この記事では、フリーランスとして納めるべき税金についての知識を得るとともに、その知識を生かして、節税対策もおこなえる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

フリーランスが納める税金の種類

税金はある特定の条件により納税義務が発生します。反対に言えば、条件を満たしていなければ納税義務は発生しません。そのため、これから解説する税金の種類のうち、この記事を読まれている方が納める必要のない税金の話も含まれるかもしれません。しかし、条件によっては納める必要が出てくるため、どんな時どんな種類の税金が発生するのか、を予め確認しておく必要はあるでしょう。この記事では、フリーランスが納める税金として、よくある項目をまとめて解説します。

所得税

所得税とは、所得に応じて納める税金のことで、確定申告をおこなう必要があることから、税金といえば所得税のこと、というくらい耳なじみのある税金かもしれません。

実際には、収入から経費と控除などを引いた所得に、税率をかけた金額が所得税になります。税率は所得に応じて高くなり、これを累進課税と言います。

所得税は多くの人が納めるべき税金ですが、中には所得税を支払う必要がない人もいます。一年を通して所得が48万円以下の人は、所得税を納める必要はありません。これは、2,400万円以下の所得であれば、誰にでも適用される48万円の控除(基礎控除)があるためです。上で解説したように、所得から控除を引いた所得に税率をかけたものが所得税になるので、48万円以下の所得であれば、基礎控除を引けば所得は0円となるからです。

また、会社員がフリーランスとして兼業している場合、副業の所得が20万円以下であれば、確定申告の必要はなく、所得税を支払う必要はありません。

復興特別所得税

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興を目的とした財源確保のために施行された税金です。

所得税と付くように、所得税の一種で、通常は、源泉所得税とあわせて徴収されます。そのため、普段はあまり意識することはないかもしれませんが、基準所得税額の2.1%を徴収されています。基準所得税額とは、所得税額から所得税額から差し引かれる金額差し引いた金額のことです。

所得税額の2.1%であることに、ご注意ください。例えば、所得税の税率が10%であれば、復興特別所得税を合わせた税率は10.21%ですが、所得税の税率が20%であれば復興特別所得税を合わせた税率は24.2%になります。20.21%ではありません。

なお、フリーランスも復興特別所得税が課せられます。フリーランスが報酬を得る際、源泉徴収税の対象者は100万円以下は10.21%、100万円より多い場合は100万円を超えた部分に対して20.42%の源泉徴収税を徴収されます。この際の10.21%の0.21%や、20.42%の0.42%が復興特別所得税に相当します。

住民税

住民税とは、主に国と地方から提供される公的なサービスの費用を、税金によってまかなうために徴収する税金です。

住民税の内訳は、均等割と所得割の2つからなり、それぞれ市町村民税と道府県民税の2つがあります。

基本的には、均等割は、市町村民税が3,500円、道府県民税が1500円と税額が定められており、所得割は、市町村民税が所得の6%、道府県民税が所得の4%と定められていますが、環境保全などを目的に超過課税を徴収している自治体もあります。

会社員であれば、給料から住民税が天引きされますが、フリーランスは、6月末、8月末、10月末、翌年の1月末の4回払いか、一括払いのいずれかを選択し徴収されます。

なお、自治体により多少異なりますが、収入が45万円以下であれば、住民税を払う必要はありません。

個人事業税

個人事業税という言葉は聞きなれないかもしれませんが、フリーランスとしてある程度の売り上げが立つと、税金を徴収される場合があります。収入が290万円を超え、かつその事業が法定業種に含まれる場合です。法定業種には、地方税法などで定められ、全部で70の業種があります。業種はそれぞれ第1種、第2種、第3種と3つに区分され、区分により税率が3%〜5%に分かれます。開業届を出す際に、業種を自分で記入することができますが、納税の適用に関しては、実際に収入のあった事業になります。

なお、事業が法定業種に含まれない業種の場合や、収入が290万円以下の場合、個人事業税を払う必要はありません。業種が、法定業種に含まれるか含まれないかの判断は難しいため、納付先の都道府県などに問い合わせるとよいでしょう。

消費税

消費税という言葉を聞くと、普段買い物をした際などに商品代金に10%や8%上乗せして課せられる税金というイメージがあるかもしれませんが、フリーランスは、消費税を確定申告をおこない所得税を納めるように、納税しなければならない場合があります。

そもそも、消費税とは、商品やサービスを購入したとき、対価に加えて支払う税金のことです。例えば、クライアントがフリーランスに下請けし、サービスの提供を受けたケースでは、クライアントはその報酬額と消費税をフリーランスに支払うというケースが考えられます。実際、フリーランスをされている方であれば、クライアントに対して消費税を請求されている方は多いのではないでしょうか。

本来この消費税は、納税しなければならない税金ですが、免税事業者であれば、消費税の納税義務が免除されています。

消費税を納める必要のあるフリーランスは、課税事業者となった方です。課税事業者は、

その課税期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)の基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超える事業者

などによって、課税事業者になることが義務付けられている場合がありますが、1,000万円以下であっても、自ら申告することで課税事業者になることもできます。

令和5年10月1日からインボイス制度が始まると、取り引きでインボイス(適格請求書)の交付を求められる場面が出てくる可能性があります。そのためには、課税事業者となり、適格請求書発行事業者として登録する必要があります。ですが、課税事業者になれば、消費税の納税義務が発生します。

興味のある方は、インボイス制度について下記の関連記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。

 

関連記事:フリーランスが知っておくべきインボイス制度について解説

国民健康保険

国民健康保険とは、社会保険など他の健康保険に加入していない全ての住民を対象に、都道府県、市町村が保険者となって運営する医療保険制度です。

会社員であれば自動的に社会保険に加入することになりますが、会社を辞めてフリーランスになった後は、国民健康保険に加入するのが一般的です。

社会保険は、標準報酬月額に対して保険料率を掛け合わせて、健康保険料が決まりますが、国民健康保険は、所得割、均等割、平等割、資産割を足して、国民健康保険料が決まります。

会社員からフリーランスになり、社会保険を脱退しても、何らかの健康保険に加入する必要があります。いずれの健康保険も所得による影響が大きく、月額に大差はありませんが、自治体や家族構成や適用条件など、細かな違いはあります。保険については詳しくは下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

関連記事:フリーランスの保険の基礎知識|個人事業主が加入できる保険とは?

国民年金

会社員を辞めて、フリーランスとして独立した際に、社会保険から国民健康保険に切り替えたように、年金も厚生年金から国民年金に切り替える必要があります。

厚生年金は標準報酬月額に厚生年金保険料率を掛け合わせた金額になり、また月額を会社と折半して支払う仕組みですが、国民年金は1カ月あたり16,520円です(令和5年度)。

保険料としては、国民年金は固定額のため、会社員からフリーランスになると、安くなる傾向にあります。一方、年金の受給額は厚生年金の方が多い傾向にあります。

年金については詳しくは下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

関連記事:フリーランスの年金の基礎知識|老後の資金対策どうする?

固定資産税

毎年1月1日に土地、家屋、償却資産を所有している人が、市町村に納める税金です。会社員であっても、フリーランスであっても、納税額に違いはありませんが、例えば、フリーランスで、自宅を仕事にしている場合など、事業用に税を納めている場合、経費として使用できます。

フリーランスがすべき節税対策方法

フリーランスとして独立した以上は、支払うべき税金についての知識を得るだけでなく、税金の知識を生かして適切に節税をおこなっていくことも重要になります。以下、4つの節税方法について簡単に解説します。

青色申告をする

フリーランスができる節税対策として最もおすすめできるのが、青色申告です。

青色申告は、確定申告の際に利用するものです。確定申告は毎年おこなうものですが、白色申告か青色申告のいずれかで申告ができます。二つの大きな違いは、青色申告が最大65円の控除が利用できるのに対して、白色申告は10万円の控除となっています。

売上から経費と控除を差し引いた金額が所得となり、所得に税率を掛け合わせた金額が所得税となるため、控除が大きいほど節税になります。

また、青色申告は、赤字を3年間繰り越しできます。繰越とは、前年度や全前年度などに出した赤字を、利益が出た年の売り上げと相殺できる仕組みです。

それら二点が節税における青色申告のメリットです。

デメリットとして、複式簿記、貸借対照表、損益計算書などの作成が必要になりますが、メリットがデメリットを大きく上回るため、まだの方はぜひ挑戦してみてください。

青色申告の申請の仕方やその仕組みをもっと知りたいという方は、下記の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

 

関連記事:フリーランスは開業届を出すべき?提出方法やメリットデメリットを解説

控除を利用する

税金は、売上から経費と控除を利用した所得に対して、税率を掛けた値になるため、控除を利用することで節税になります。控除にはどんな種類があって、どんな時に利用すればいいのかを知ることで、有用に使えるようになるでしょう。

雑損控除

災害、盗難、横領などにより住宅、家財などに損害を受けた場合に利用可能です。差引損失額 からその年の所得金額の10%を差し引いた金額と、災害関連支出から5万円を差し引いた金額のうち、金額の大きい方の金額が控除となります。

医療費控除、セルフメディケーション制度

自分や生計を一にする配偶者とその他の親族が支払った医療費が、一定金額以上ある場合に利用可能です。支払った医療費の合計から、保険金等で補充される金額を差し引いた金額に、さらに、10万円または総所得の5%いずれか少ない金額を差し引いた金額が控除となります。

また、特定の医薬品の購入費が12,000円を超える場合に利用可能なのがセルフメディケーション制度です。

社会保険料控除

健康保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金保険料などに支払った全額が控除となります。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済、確定拠出年金、心身障害者扶養共済制度などに支払った全額が控除となります。

生命保険料控除

新(旧)生命保険料、介護医療保険料、新(旧)個人年金保険料などの支払った金額のうち一定額が控除となります。

地震保険料控除

地震保険料や旧長期損害保険料に支払った金額が50,000円に満たない場合は全額が、50,000円以上の場合は50,000円が所得税の控除対象となります。

寄附金控除

寄附金、ふるさと納税、政治献金などの支払いがある場合に利用可能です。合計所得金額の40%を上限として、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が控除されます。

寡婦控除

寡婦又は寡夫の場合に利用可能です。寡婦とは、夫と死別、あるいは生死が明らかでないか、離婚した後に婚姻をしていない人のことです。合計所得金額が500万円以下であれば、27万円の所得控除を受けられます。

勤労学生控除

勤労学生の場合に利用可能です。一定の所得要件を満たし、対象となる学校に在籍している学生であれば、27万円の所得控除を受けられます。

障害者控除

自分、控除対象配偶者、扶養親族が障害者の場合に利用可能です。障害者控除は3つの区分があります。障害者は27万円、特別障害者は40万円、同居特別障害者は75万円です。

ひとり親控除

ひとり親である場合に利用可能です。自分の合計所得金額が500万円以下で、生計を一にする子供の総所得金額が48万円以下であれば、35万円の所得控除を受けられます。

配偶者控除

控除対象配偶者がいる場合に利用可能です。自分の合計所得金額によって控除額が異なります。900万円以下であれば48万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1000万円以下は13万円の所得控除が受けられます。配偶者の年齢が70歳以上の場合は、老人控除対象配偶者となり、それぞれ、48万円、32万円、16万円の所得控除が受けられます。

 

参考サイト:配偶者控除(国税庁ホームページ)

配偶者特別控除

配偶者が38万円超の所得がある場合、配偶者控除の適用が受けられませんが、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。自分の所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が133万円以下の場合、条件により所得控除が受けられます。

 

参考サイト:配偶者特別控除(国税庁ホームページ)

扶養控除

控除対象扶養親族がいる場合に利用可能です。控除の金額は区分によって異なります。一般の控除対象扶養親族であれば38万円、特定扶養親族は63万円が所得控除されます。また、不要対象が老人の場合、同居老親等以外の者は48万円、同居老親等は58万円の所得控除が受けられます。

 

参考サイト:扶養控除(国税庁ホームページ)

基礎控除

すべての人に該当する控除です。控除額は48万円(令和5年時点)です。確定申告では必ず記入を忘れないようにしましょう。

 

参考サイト:「所得から差し引かれる金額」(所得控除)(国税庁ホームページ)

必要経費を計上する

これまで書いてきたように、税金は売上から経費と控除を引いた所得に税率を掛けることによって算出されるため、経費計上も節税につながります。

ただし、使ったお金をなんでも経費として計上できるわけではありません。事業を営むうえで、必要な費用を経費として計上できます。例えば、商談相手との打合せにかかった費用は経費として計上できますし、現場まで移動した際の電車賃も経費として計上できます。

ふるさと納税を利用する

ふるさと納税とは、自分の故郷や応援したい自治体に寄付できる制度です。実質的な自己負担額2,000円で返礼品を受け取ることができることから、広く利用されています。

その仕組みをもう少し詳しく説明すると、確定申告の際に、寄付金控除として、寄付金額から2000円を引いた金額を申告できます。すると、本来納めるべき住民税から寄付金額から2000円を引いた金額を差し引くことができます。

寄付金額には上限があり、上限を超えた分については控除が受けられないため、注意が必要です。

 

参考サイト:全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安(総務省ホームページ)

経費にできる・できない税金を解説

フリーランスが支払うべき税金の中には、経費として利用できるものがあります。きちんと納税している以上、経費として利用し、節税につなげていきたいものです。以下、経費にできる税金と、できない税金について、簡単に解説します。

経費にできる税金

事業に対して課せられる税金は、経費として利用できます。個人事業税や、事業用の固定資産税、印紙税、自動車税などです。

経費にできない

個人に対して課せられる税金は、経費として利用できません。例えば、所得税や住民税などです。また、同じ項目に対して経費や控除として使用することもできません。例えば、健康保険料や国民年金は社会保険控除として計上しているため、経費として利用できません。

まとめ

会社員から独立してフリーランスになると、納めなければならない税金の種類が増え、煩雑な手続きも自らでおこなわなければなりません。

投げ出したくなる気持ちになるかもしれませんが、納税は国民の義務です。税金の知識を身に付けることで、きちんと納税できるようになり、また税金への理解が深まることで、節税対策に役立てることもできるでしょう。この記事を参考に、税金について学んでみてください。

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