新・フリーランス統計調査 2021-2022年版(9ページ)によれば、フリーランスは労働者全体の22.8%を占めるとしています。働き方が多様化してきた現在、フリーランスと会社員という二つの働き方について興味のある方は多いのではないでしょうか?
Contents
フリーランスと会社員の違い
フリーランスと会社員の違いについて解説します。
雇用形態
企業と雇用契約を交わす働き方として、一定期間のみの働き方(非正規雇用)をするのが、アルバイト、パート、契約社員などで、雇用期間に限りがない働き方(正規雇用)をするのが会社員です。
一方、フリーランスの働き方は、成果物の納品ベースの請負契約、納品を約束せず、特定の業務の遂行を約束する委任契約・準委任契約などです。これらをまとめて業務委託と呼ぶこともあります。
また、会社で働く労働者とフリーランスでは労働基準法にも違いがあり、労働時間の制限等がないのが大きな差です。フリーランスの労働基準法については関連記事で詳しくまとめています。興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:フリーランスの労働基準法って?労働者との違いをわかりやすく解説
報酬・収入
雇用契約により得る収入は、給与所得となり、予め定められた金額を受け取ります。一方、フリーランスは成果物や、遂行した業務により報酬を受け取り、これらを事業所得と呼びます。
業務の進め方
会社員は、出勤日や出勤時間、休日などが決められており、仕事内容も業務命令として、会社から指示された仕事をします。フリーランスは、働く時間は好きに決めてよく、業務上の指示を受けることもありません。例えば、請負契約であれば、決められた期日までに成果物を納品するまでが仕事になります。
税金と保険の納め方
会社員は、毎月の給料から源泉所得税、復興特別所得税、厚生年金保険料、雇用保険料、健康保険料などが天引きされます。また、会社側が年末調整をおこない、代わりに税務処理と納税をおこなってくれるため、必要に応じて書類の提出を求められることはあっても、基本的には何もする必要はありません。
一方、フリーランスは、源泉所得税、復興特別所得税、国民年金保険料、国民健康保険料などを基本的に全て自分で手続き等を済ませる必要があります。例えば、源泉所得税、復興特別所得税は、源泉徴収の対象業種の場合は、源泉所得税及び、復興特別所得税を案件ごとに差し引いて請求します。源泉徴収の対象外の業種の場合は、確定申告に所得税と復興特別所得税を納税します。また、対象業種でも、確定申告をおこない、それまで納めた源泉所得税と復興特別所得税と、年税を照らし合わせ、多く納めている場合は還付手続きをし、不足している場合は納税手続きをします。
また、国民健康保険は年に8回徴収され、国民年金は前納をおこなわない場合は、毎月支払います。
源泉徴収やクライアントへの消費税請求については関連記事で詳しくまとめています。興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:フリーランスに源泉徴収票の発行義務はない?必要な対応方法を徹底解説
関連記事:フリーランスは消費税を請求できる?請求書の記載方法を詳しく解説
個人信用
一般論になりますが、仕事に関して、会社員は、所属している会社の名前が知れていればいるほど、また、会社でのポジションが高ければ高いほど、個人信用が上がる傾向にあります。フリーランスは、ある程度個人としての名前が知られているか、実績がない限り、仕事上の信用はないに等しいと考えた方が良いでしょう。
クレジットカードを作る際や銀行から融資を受ける際などは、会社員の方が信用面は有利ですが、フリーランスでも、会社員と同等の事業継続年数、平均収入があれば、問題なく利用できるケースもあります。
仕事上の信用を得るためにフリーランスの方でも名刺を作成する人が多いです。取得している資格や肩書き等を記載することで少しでも仕事を獲得しやすくします。フリーランスの名刺の作り方や載せるべき情報については関連記事で詳しくまとめています。興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:スキルなしから目指せるフリーランスの仕事7選|知っておきたい注意点も解説
社会保障
社会保障
会社員は、自動的に健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険に加入することになります。このうち、健康保険と厚生年金保険は、会社と折半して負担します。介護保険は40歳以上から加入が義務付けられ、会社と折半して負担します。雇用保険は業種によって保険料が異なり、いずれの業種でも会社が多くを負担します。労災保険は全額会社負担です。一方、フリーランスは、国民健康保険、国民年金に加入するのが一般的で、労災保険は特定の職種を除いて加入できず、雇用保険は加入できません。
休日
会社員の休日は、企業が労働基準法をもとに規定を定め、その規定の範囲内で休日を取ります。厚生労働省によれば、労働者の平均休日数は、115.3日です。フリーランスは、休日に規定はなく、個人の裁量で休日をとることができます。
参考:令和4年就労条件総合調査
フリーランスとして働くメリット・デメリット
フリーランスとして働くメリットとデメリットについて解説します。
メリット
前提として、日本のフリーランス人口は現在増加傾向にあります。新・フリーランス統計調査 2021-2022年版(8ページ)によれば、2015年に937万人だったフリーランス人口は、2021年には、1577万人に増加しています。多くの方が、フリーランスという働き方に魅力を感じている結果といえます。具体的に、どんなメリットがあるのかみていきます。
成果によって収入が上がりやすい
フリーランスは、成果物や、遂行した業務により報酬を得るため、仕事の速度を上げる、掛け持ちでいくつかの仕事を得る、など少しずつ仕事の量を増やしたり、また、仕事の評価をあげたり、価格交渉をしたり、など単価を上げることで、合計報酬金額が増えていきます。
新・フリーランス統計調査 2021-2022年版(18ページ)によれば、50.8%の方が収入の拡大のためにフリーランスになったと回答しています。
IT業界の人手不足も起因して、フリーランスの需要が高まり、フリーランスの人口は年々増加傾向にあります。フリーランス業務の中には、特別スキルが不要な案件もあります。スキルなしからフリーランスを目指せる仕事は関連記事で詳しくまとめています。興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:フリーランスエンジニアに名刺は必要?入れたい項目や作り方を紹介
勤務時間と場所を自由に決められる
フリーランスがクライアントと結ぶ業務委託契約では、勤務時間や働く場所などの指定はできません。そのため、フリーランスは勤務時間と働く場所を自由に決められます。子育てや副業としてすき間時間で仕事をしたり、自宅や旅先で仕事をすることも可能です。
新・フリーランス統計調査 2021-2022年版(18ページ)によれば、31.3%の方が時間にとらわれない働き方をするために、また、19.9%の方が場所にとらわれない働き方をするためにフリーランスになったと回答しています。
税金の負担を減らしやすい
フリーランスは、事業上に必要な経費を、売上から損金として引くことができます。また、青色申告をおこなうことで、最大65万円の控除(売上から差し引くことができる金額)が受けられる青色申告控除の利用ができます。他にも小規模企業共済やセーフティネット共済など、税金の負担を減らすための手段があります。
また、フリーランスの方が扶養内として働くことで節税できるメリットがあります。フリーランスの扶養内での働き方については関連記事で詳しくまとめています。興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:フリーランスでも扶養内に入る?扶養内に入れる条件と注意点をわかりやすく解説
デメリット
次にデメリットを解説します。
収入が不安定になりやすい
成果によって収入が上がりやすい、の反対の話になりますが、フリーランスは成果物や、遂行した業務により報酬を得るため、仕事をする速度が遅くなったり、休んでしまったり、そもそも仕事がなかったり、など仕事の量が減ったり、評価の低下により価格が下がったり、見積を低い金額にしないと受注が難しくなったり、など単価が下がることで、合計報酬金額が下がります。
新・フリーランス統計調査 2021-2022年版(19ページ)によれば、フリーランスとして働く障壁として、31.5%の方が収入が安定しない、また30.5%の方が収入が低いと回答しています。
仕事とプライベートの切り分けが難しい
メリットの項目で、勤務時間や勤務地を自由にできる、と解説しましたが、反対にいえば、仕事の時間を決めなければ、いつまでも仕事ができ、また自宅を仕事場にしていれば、生活スペースと一緒、ということになります。特に、生活に保障のないフリーランスは、受注が来れば、引き受けてしまいがちで、気づけば、多くの案件を抱えている状態になりがちです。そうなると、一日中仕事をし、更に土日も仕事をするという状態になりかねません。
信用度が低い
フリーランスは駆け出しのころは、信用度がほとんどない状態です。ある程度仕事を受注できるようになっても、次の仕事がいつ来るか保証がない、という状態では、仕事面において、信用がある、という状態は遠いでしょう。また、安定した収入にならないため、住宅ローンなどの審査においても、通らない可能性がでてきます。このように、安定した仕事が受注できるようになるまでは、フリーランスの信用度は低いといえます。
新・フリーランス統計調査 2021-2022年版(19ページ)によれば、フリーランスとして働く障壁として、9.5%の方が社会的信用を得るのが難しい、また8.3%の方が家族やパートナーに将来を心配される可能性がある、と回答しています。
フリーランスの方でもローン審査を通りやすい人の特徴については関連記事で詳しくまとめています。興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:フリーランスでもローンを組める?ローン審査を通過するポイントを解説
会社員として働くメリット・デメリット
会社員として働くメリットとデメリットについて解説します。
メリット
まずはメリットから解説します。
安定した収入がもらえる
会社員は、労働基準法で守られており、第24条により、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない、と定められています。また、賃金の一定期日払いの原則があり、毎月安定した給料が振り込まれます。会社員を続けていれば、よほどのことがない限り、安定した収入があるのが最大のメリットです。
また、会社に勤めている人は労働組合に入ることができ、勤務時間や給与等の労働条件の改善を交渉することができます。フリーランスの方は一般的に労働組合に入るイメージがないですが実は、フリーランスでも加入できる労働組合が存在します。フリーランスが加入できる労働組合については関連記事で詳しくまとめています。ご興味ある方はぜひご覧ください。
関連記事:フリーランスでも組合に加入できる!労働組合のメリットとできることを解説
会社の福利厚生を受けられる
会社員は、どんな会社でも法定福利厚生が必ず受けられます。法定福利厚生とは、厚生年金保険、雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、子ども・子育て拠出金などのことです。また、会社によっては、法定外福利厚生が受けられるところもあり、住宅手当、企業型DC(企業型確定拠出年金)、通勤手当、時間外手当、退職金制度などが受けられる場合があります。
また、健康診断も福利厚生の1つとして受けることができ、1人で事業を回すフリーランスにとって資本である身体の管理は大切です。フリーランスの健康診断受診については関連記事で詳しくまとめています。詳細について興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:フリーランスでも健康診断を受けるべき?受けるべき理由や安く受ける方法をご紹介
信用度が高い
会社の看板という言葉に代表されるように、会社に所属することで、会社の信用を利用することができます。会社の信用と人脈で仕事ができるので、成果を出しやすい環境にあります。また、銀行からの融資を受ける際なども、有利です。
デメリット
次にデメリットについて解説します。
勤務時間と場所を自由に選べない
労働時間は、労働基準法第32条で決められており、1日に8時間、1週間に40時間までと定められています。多くの会社はその時間を勤務時間として採用しています。また、会社員は勤務地を選ぶことができず、場合によっては、一定期間出向したり、転勤をすることになったりします。
給料が上がりにくい
労働基準法では給料を上げなければならない、という定めはありません。給料は会社が決めたルール(給与査定など)に則って、給料が上がるかどうか評価したうえで、上がる場合もあれば下がる場合もあります。
そのため、仕事でどんなに大きな成果をあげても、ほとんど給料があがらない、というケースも考えられます。
人間関係によるストレスがある
会社には、同僚や上司などの人間関係が存在します。毎日同じ人間と顔を合わせることになるので、人間関係が上手くいかない、などの問題があると、ストレスが続く環境で働き続けなければならない状況になります。
フリーランスと会社員、どっちを選べばいい?
ここまで見てきたようにフリーランスと会社員にはそれぞれメリット、デメリットが存在します。そのうえで、フリーランスと会社員のどちらを選ぶべきか、迷った際のポイントについて解説します。
フリーランスに向いている人の特徴
フリーランスに向いている人の特徴を解説します。
スケジュール管理が得意な人
フリーランスは、自由な働き方ができる代わりに、成果物の納品や、業務の遂行が求められます。中でも、成果物の納品は、決まった納期があります。決められた納期までに納品できなかった場合、最悪債務不履行となり、納品を受け付けてくれない、などのトラブルに発展する可能性があります。
きちんと仕事をしていくためにも、厳しくスケジュール管理をおこなっていける人が望ましいでしょう。
金銭管理が得意な人
フリーランスは、個人で営む会社のようなものです。それまで自分がおこなっていたメインの仕事だけでなく、営業、経理、事務作業など、会社であれば別部署の担当者が担当していたような仕事を、すべて自分でこなさなければなりません。売上、経費、請求書、納税、などお金が絡むことが多く、その管理が必要です。自らの事業はどの程度の売上があるのか、ということを把握し、どうやったら売上を伸ばしていけるのか、など経営についても興味がある人が望ましいでしょう。
変化や刺激が好きな人
会社員は、与えられた仕事を、指示されながら、何らかのノルマなどを達成する、といったように、仕事を選べないことがありますが、フリーランスは、好きな仕事を選ぶことができます。
仕事単位で出会う人も変わり、中には思いがけないクライアントや仕事に出会う機会もあるでしょう。
会社員に向いている人の特徴
会社員に向いている人の特徴を解説します。
経済的な安定を求めている人
フリーランスの場合、その日する仕事がないことや、その月の売上が0のときもあります。例え今が仕事で忙しくても、一か月後や半年後、一年後にどうなっているかの保証がありません。会社員は、毎日仕事があり、毎月の給料があります。会社員で居続ける限り、その安定性が保証されます。安定性を求める人ならば、会社員が向いているといえるでしょう。
チームで働くことに抵抗がない人
チームで働くことで、一人では達成できないことを達成したり、一人一人が自分の得意な業務に集中して働くことができるようになります。その代わり、チームメンバー同士との連絡や交流、モチベーション管理などが求められます。そうした働き方に魅力を感じ、チームで働くことに抵抗のない人は、会社員に向いているといえるでしょう。
職場でのコミュニケーションが得意な人
仕事の目標や課題の共有、タスクの進捗管理、定期的におこなわれる内部ミーティングやクライアントとの打合せなど、会社員はコミュニケーションの機会が多くあります。ときには、ランチや飲み会などに参加し、交流が必要なこともあります。コミュニケーションが得意な人であれば、苦も無くこなすことができるでしょう。
フリーランスになる前に準備すべきこと
フリーランスになるには、事業収入を得ていく必要があります。会社員時代から、事業に必要なノウハウを培うのと同時に、仕事先やコネなどを確保していく準備を始めると良いでしょう。独立後は、事業を始めるための資金や事業が立ち上がるまでの生活費などが必要になるため、貯蓄など資金の調達をすると良いでしょう。
できれば、いきなり独立するのではなく、副業として開始し、給与所得を事業収入が超えたタイミングで独立するのが理想的です。
下記記事では、未経験からフリーランスになるために必要な知識や手続きについて解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:未経験からフリーランスになるには?必要な知識や手続きを詳しく解説
まとめ
この記事では、フリーランスと会社員のメリット、デメリットについて解説してきました。
いずれの働き方もメリットとデメリットがあるため、どちらが良いということはいえません。自分の状況を鑑み、よく考えて理想の働き方を選んでみてください。
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