「フリーランス」が広く認知されたことによって、転職以外の選択肢としてフリーランスに転身される方も増加してきています。この記事では、フリーランスになるために必要なものや手続き、事前準備すべきものなどについてまとめています。ぜひとも最後までご一読ください。
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フリーランスとは
フリーランスとは、会社などの組織に所属せずに報酬を得ている方や、そのような働き方を指す言葉です。しかし、フリーランスの調査をしている資料では、政府系・民間系を問わず、「会社に所属をしながら副業として報酬を得ている方」のことをフリーランスとして説明をしているものも存在します。そのため、フリーランスという言葉を広義でとらえると、「専業・副業を問わず、自分で仕事を探し、組織を経由しない方法で報酬を得ている方」という説明も可能です。
また、フリーランスと混同しやすい言葉に個人事業主というものがありますが、フリーランスは働き方を表すものなのに対し、個人事業主は税法上の区分であるという違いがあります(※1)。加えて、広義のフリーランスのことを、広義の起業家として扱っている政府系資料も存在します(※2)。
関連記事:フリーランスと個人事業主の違いとは?開業届の有無やメリットデメリットについて解説(※1)
そもそもフリーランスと起業はどう違う?定義とメリット・デメリットをわかりやすく解説(※2)
フリーランスになるメリット
フリーランスには以下のようなメリットがあります。
・時間と場所に拘束されない
・高収入を得られる可能性がある
・人間関係によるストレスを減らせる
・自ら仕事内容を選べる
フリーランスは、仕事の内容や条件を自分で勘案し、契約を結ぶか否かを選ぶことができます。仕事の裁量権を自分が持っているため、会社員などに比べると自由に仕事をすることができます。
フリーランスになるデメリット
フリーランスには以下のようなデメリットがあります。
・収入が不安定になりがち
・社会的信用度が低い
・契約手続きや確定申告などの事務作業をする必要がある
会社員は、仕事の量や内容に関わらず毎月の給料は安定しているといえます。しかし、フリーランスは契約をしていても仕事が打ち切られる可能性などがあり、収入が不安定になりがちです。また、会社員は企業内の仕事を分業しておこなっていますが、フリーランスは事業の仕事をすべて自分でする必要があります。そのため、事務作業や営業活動などもおこなわなければなりません。
フリーランスになるためには
フリーランスになるために、備えておきたいことを5つお伝えします。
専門的なスキルと実績を積む
フリーランスは事業として仕事をしていきますので、仕事を獲得するためには専門的なスキルが求められます。実際に、専門的なスキルがないとテスト段階で不合格になることが多くなってしまいます。
また、クライアントは能力に加えて実績でも契約の可否を判断します。そのため、可能であればフリーランスになる前から十分な実績を積んでおいたほうがよいでしょう。スキルがあっても実績がないと高単価の契約は結びづらく、最初の頃は低単価の契約しかできないことも考えられます。
生活費のための貯金
フリーランスとして仕事がある状態を作ってから開業することが望ましいですが、なかなかそこまでの準備をして開業できるものではありません。最悪の場合、フリーランスに転身しても仕事がない状態が数ヵ月続いてしまう可能性があります。
また、案件を獲得できない状態でお金にも余裕がなくなってしまった場合、「とにかく仕事が欲しい」という気持ちが先行してしまい、フリーランスにとって不利な条件の契約を結んでしまうことがあります。これらの理由から、無収入でも半年ほどは生活できる貯金をしておいたほうがよいでしょう。
営業力
フリーランスになると、自分で仕事を獲得しない限り報酬が発生しません。そのため、営業力は非常に重要な能力となり、営業力で事業運営も変わってきてしまいます。営業力についてはまとめている記事がありますので、詳細を知りたい方は関連記事をご確認ください。
関連記事:フリーランスの営業方法は?営業を成功させるコツもわかりやすく解説
コミュニケーション力
フリーランスと聞くと、リモートワークを想像する方が多いのではないでしょうか? 実際にリモートワークの案件は多く、リモートワークと聞くと人との関わりが少ないと感じるかと思います。しかし、リモートワークでもクライアントとのオンラインミーティングや仕事の業務連絡などは発生するため、社会人としてのコミュニケーション力が必要です。
また、オンラインと対面を問わず、契約時には面談がある事も多くなっています。面談時に契約内容についても決めることになりますが、この際にコミュニケーション力がないとうまく交渉ができません。交渉は、相手の心情を察しつつ自分の要望を伝えることが大切になるため、コミュニケーション力が低い方はうまくいかない可能性もあります。
人脈づくり
意外に思うかもしれませんが、フリーランスの仕事獲得経路は友人や知人からの紹介が最も多くなっています。知人には会社員時代の取引先やかつて所属していた会社なども含まれ、そのような人脈を経由して仕事を獲得することもあるのです。自身の信条に背くような無理な付き合いをする必要はありませんが、フリーランスの仕事はどこからつながるか分かりません。そのため、一匹狼のように振る舞うのではなく、出会いを大切にして、親切丁寧な対応を心がけておいたほうがよいでしょう。
会社員のうちにやるべきこと
会社員からフリーランスに転身する場合、以下のことを事前に済ませておきましょう。
必要なローンを組む
フリーランスは、一般的に会社員より社会的信用度が低くなってしまいます。会社員は安定的な収入が見込まれるのに対して、フリーランスは収入が不安定になりがちだからです。そのため、住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどを組みたい場合、会社員のあいだにローンを組むようにしましょう。また、会社員からフリーランスになったとしても、収入が不安定だからといって一括返済を求められるようなことはありません。その点は不安にならなくても大丈夫です。
関連記事:フリーランスでもローンを組める?ローン審査を通過するポイントを解説
クレジットカードの作成をする
ローンが組みにくくなるのと同じく、クレジットカードの作成も会社員時代より審査が厳しくなります。フリーランスになると、収入を証明するために直近3年間の確定申告書の提出が必要になる場合もあるようです。
審査基準や確認事項はクレジットカード会社によって異なり、フリーランスがクレジットカードを作れないわけではありません。しかし、クレジットカードを作る予定がある方は、会社員のあいだに作成しておくことをおすすめします。また、こちらも会社によって異なりますが、フリーランスになったことをクレジットカード会社に告げることで、利用限度額が引き下げられる可能性はあります。
関連記事:フリーランスはクレジットカードを作れない?審査通過のコツも解説
保険へ加入をする
フリーランスには会社員のように有給休暇がなく、取引相手に損害を与えてしまった場合も自分で補償しなくてはなりません。そのため、長期間働けなくなってしまった際に保険金が支払われる「所得補償保険」や、トラブルの賠償金についての保険である「賠償責任保険」、特定の職業で働いている方が労災保険に適用される「労災保険への特別加入」という制度について理解をし、必要であればこれらに加入しておきましょう(労災保険への特別加入は開業届を出してからの申請となります)。
関連記事:フリーランスの保険の基礎知識|個人事業主が加入できる保険とは?
フリーランスでも労災保険に加入できる?労災保険の特別加入を徹底解説
フリーランスになるために必要な手続き
フリーランスになるために必要な手続きを4つお伝えします。
開業届の提出
開業届とは、個人事業主になったことを税務署に告げるために提出する書類のことです。開業届を提出しないことによる罰金はありませんが、所得税法上、開業届の提出は個人で事業をおこなう方の義務となっています。そのため、事業を開始することが決まったら、開業届を提出するようにしましょう。また、開業届の書類には「屋号」を記載する欄があります。屋号は定めなくてもよいものですが、屋号を作ることでいくつかのメリットが生まれますので、決めておいたほうがよいでしょう。
関連記事:フリーランスになるには?必要書類の準備から手続きまで解説
フリーランスは開業届を出すべき?提出方法やメリットデメリットを解説
フリーランスには屋号って必要?屋号のメリットと決め方のポイントをわかりやすく解説
所得税の青色申告承認申請書の提出
開業届を提出する際は、所得税の青色申告承認申請書も同時に提出することが一般的です。所得税の青色申告承認申請書は「青色申告」と呼称されており、青色申告をしておくと、複式簿記の電子申告で65万円、複式簿記の書類申告で55万円、簡易簿記の申告で10万円の控除となります。青色申告をすることで、確定申告をした際の課税所得額が少なくなり、所得税や住民税の金額も低くなりますので、基本的にフリーランスは青色申告をしておいたほうがよいでしょう。
関連記事:フリーランスが確定申告をしないリスクや対処方法について解説
国民年金への切り替え
会社員の頃に加入している年金のことを厚生年金といい、フリーランスが加入する国民年金とは別の制度になっています。フリーランスが会社を退職した際は、厚生年金から脱退することとなり、退職後14日以内に国民年金への切り替え手続きをしなくてはなりません。
厚生年金への加入手続きは所属している会社がおこなってくれますが、フリーランスの国民年金への加入手続きは自分でおこなわなければなりません。そのため、開業届を出したあとは、国民健康保険の手続きと一緒に国民年金の手続きもするようにしましょう。
関連記事:フリーランスの年金の基礎知識|老後の資金対策どうする?
フリーランスの厚生年金って?必要な手続きと老後資金の対策をわかりやすくご紹介
国民健康保険の加入
国民年金と同じく、国民健康保険への切り替え手続きも退職後14日以内にしなくてはなりません。そのため、なるべく早く行動するようにしましょう。また、会社員からフリーランスに転身した場合、会社員時代の健康保険を2年間のみ任意継続することができます。
国民健康保険の場合、扶養家族がいると人数分の保険料を支払わなければなりません。しかし、会社員時代の健康保険を任意継続すると、扶養家族分の保険料が発生しないため、扶養家族がいる場合は任意継続も検討するようにしましょう。
フリーランスになる前に準備しておきたいこと
フリーランスになる前に必要なものを準備をしておくことで、いざ開業をした際に事業に集中しやすくなります。ここでは、開業前に準備をしておきたい5つのことをお伝えします。
ポートフォリオ
フリーランスの業種にもよりますが、案件に応募する際はポートフォリオの提出を求められることが多くなります。ポートフォリオとは、自身の作品や成果物をまとめた資料のことで、クライアントはポートフォリオの出来栄えでフリーランスの実力を判断します。
ポートフォリオは、WEB媒体と紙媒体に大別され、職業によってどちらか一つ、あるいは両方の準備が必要なこともあります。自分をアピールするために必要なものとなり、ポートフォリオがないと応募できない案件もありますので、できるなら開業前に準備をしておきましょう。
名刺
フリーランスが名刺を作成することで、名刺を用いて簡単に自己紹介ができたり、営業ツールとして活用することができます。フリーランスには営業が必要になりますので、相手の手元に物体として残る名刺は、よいアピールポイントになりえます。また、名刺がないとクライアントから非常識や失礼だと思われる可能性もあり、名刺がないだけで事業者としての信頼が落ちてしまうかもしれません。最初は簡単なものでも構いませんので、なるべく名刺は準備するようにしましょう。
関連時期:フリーランスエンジニアに名刺は必要?入れたい項目や作り方を紹介
印鑑
契約は口約束でも成立するものであり、契約書に押印をしなくても契約としては成立をします。しかし、契約内容によっては押印を求められることがありますので、印鑑も準備するようにしましょう。不動産やローンなどの重要な契約をする際は、本人の実印か屋号の印鑑、日常的な契約では本人の認印でも使用できます。。
また、フリーランスは法人と違い、屋号を構えていても屋号の印鑑を作る必要はありません。しかし、屋号の印鑑を利用すると、クライアントなどにしっかりと仕事をしている事業者であるという印象を持たれやすい傾向にあります。必要だと感じた方は作成するようにしましょう。
備品購入や通信環境の整備
開業前に備品の購入や通信環境の整備をしておくことで、スムーズに事業を開始することができます。また、開業前に購入した費用が経費になるか心配になる方もいらっしゃると思いますが、開業前に購入した備品は「開業費」として経費に計上できます。自分が心地よく仕事ができる環境を整えておきましょう。
関連記事:フリーランスエンジニアが経費計上できるものとは?押さえたい知識や節税のポイントを解説
必要書類の作成
フリーランスになると、見積書や納品書、請求書、契約書などを自分で作成しなくてはなりません。そのため、WordやExcelなどでこれらのテンプレートを作成し、すぐに仕事を始められる状況を整えておきましょう。無料で利用できるフォーマットがWEB上にありますので、それらの書式を参考にしたり、一手間を加えたりして自分の書類を作成してみてください。
また、職業や案件によっては職務経歴書や履歴書の提出が求められるものもあります。そのため、これらの書類も同様に準備をしておきましょう。
関連記事:フリーランスでも簡単に作れる!フリーランスの請求書の作り方をわかりやすく解説
まとめ
フリーランスになるためには、自分がどういった職業で働いていくのかをまずは決めなければなりません。また、フリーランスは自分で仕事を獲得していくことになるため、専門性の高いスキルと営業力が特に重要なものになります。
しっかりとした見通しを立てずにフリーランスに転身すると、金銭面や仕事面、生活面で後悔することにもなりかねません。本記事でお伝えしたやるべきことや手続きの仕方に加え、下記の関連記事にあるようなフリーランスの情報も積極的に仕入れるようにしましょう。
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