未経験からプログラミング言語を学習する際は、さまざまな情報から言語の違いやメリット・デメリットを確認して、後悔のないように選択したいものだと思います。そこでこの記事では、JavaとPythonの特徴からはじまり、さまざまな角度から両者の違いを解説しています。ぜひともご確認ください。
Contents
Javaとは
1996年にリリースされた、Javaの得意分野や特徴について説明します。
用途や得意分野について
Javaで開発できるシステムは多岐に渡り、Webアプリケーション、組み込みシステム、IoT、デスクトップアプリケーション、Androidアプリなどで利用されています。なかでもWebアプリケーションやデスクトップアプリケーションでは、処理速度の速さや堅牢性、過去の実績から、業務基幹システムの開発で利用されるケースが多くなっています。
それらに加え、Javaはもともと組み込みシステムで利用されることを想定して作られたプログラミング言語となっているため、組み込みシステムやIoTも得意分野としています。また、Kotlinというプログラミング言語が開発されるまではJavaがAndroidアプリ開発のメインとして利用されていたため、Androidアプリ開発も得意分野となります。(KotlinはJavaと相互運用性も持ち、Androidアプリ開発の現場では現在でもJavaがよく利用されています)
特徴とサービス例
Javaの大きな特徴としては、プログラムを実行するソフトウェアであるJVM(Java Virtual Machine|Java仮想マシン)を挙げることができるでしょう。詳しくは関連記事をご参考いただきたいのですが、JVMはOSごとの違いを吸収し、どのようなプラットフォームでもプログラムの実行が可能になっています。近年では、JVMとは違うクロスコンパイルで、異なるOSでもプログラムを実行できるGo言語などがありますが、Javaは汎用性が高い言語としても有名です。また、JVMを利用するKotlinやScalaなどのプログラミング言語のことを、JVM言語として分類しています。
Javaを利用したサービス例としては、みずほ銀行、楽天、Google、Twitterなどが挙げられ、ゲームではMinecraft、デスクトップアプリケーションではOpenOffice、組み込みシステムではBlu-ray Discなど、さまざまな分野でJavaは活用されています。
関連記事:Javaは何ができる言語なのか?できることや汎用性の高さをご紹介
2. Pythonとは
1991年にリリースされた、Pythonの得意分野や特徴について説明します。
用途や得意分野について
Javaと同じく、Pythonも汎用性の高い言語です。開発できるものはWebアプリケーション、AI、機械学習、データ解析、スクレイピング、デスクトップアプリ、ブロックチェーン技術など多岐に渡ります。プログラミング言語としてのシンプルさやライブラリの豊富さ、Webアプリケーションで利用するフレームワークの人気から、流行しているプログラミング言語であるといえるでしょう。
Pythonの得意分野としては、AI開発、機械学習、データ解析が有名ですが、Webアプリケーション開発でも多く利用されています。また、スクレイピングを含むデータの自動収集プログラムの開発でも頻繁に使われている言語です。
特徴とサービス例
Pythonの特徴としては、文法のシンプルさとライブラリの豊富さが特筆すべきものになるでしょう。文法がとてもシンプルになっているため、同じ内容のプログラムを構築する際も、Javaと比べてコードの記述が少量で済みます。また、数学処理の「NumPy」、AIや機械学習の「Tensorflow」、管理ツールの「pip」、スクレイピングの「Scrapy」など、利用目的に沿って活用できるライブラリが豊富にあることは開発効率の向上につながります。
Pythonを利用して作られたサービスには、YouTube、Dropbox、Instagram、Pinterest、Spotify、PayPal、Googleなどが挙げられます。
JavaとPythonの共通点
Java、Pythonはプログラムの実行形式は違いますが、オブジェクト指向という点は共通しています。オブジェクト指向とは、プログラムを構成するオブジェクト(モノ)を定義づけ、モノごとに役割を与え、役割を持ったモノ同士を組み合わせることでプログラムを構築する考え方(概念)のことです。オブジェクト指向以外の共通点としては、両者とも学習環境が充実している点、Webアプリケーション開発にも強い点、ライブラリやフレームワークが豊富な点が挙げられます。
オブジェクト指向については、プログラミングの用語を用いずに説明した記事もありますので、こちらをご参考ください。
関連記事:Javaの勉強方法と進め方の例をご紹介
JavaとPythonの違いとは
JavaとPythonの違いをさまざまな角度から説明していきます。
設計思想
Javaには「Write Once , Run Anywhere」(一度書いたらどこでも動く)という設計思想があり、その考えを反映しているソフトウェアがJVMです。それに対してPythonは、「Batteries included」(電池同梱|Python自体に便利な機能が含まれている)、「同じ動きをするためのコードは、できるだけ1つの方法でしか書けないようにする」などの設計思想があります。Javaはプラットフォームを選ばない汎用性の高さを重視し、Pythonは言語自体の機能の充実とシンプルさを重視していると判断できます。
学習難易度について
文法の複雑さや環境構築、コンパイラ言語という特徴から、PythonよりもJavaのほうが学習難易度が高くなっています。しかし、詳しくは後述しますが、作るものによってはPythonでの開発も難易度が高いものになります。
他の言語との組み合わせ
初心者のうちはあまり意識しなくてもよいものですが、特に大規模なシステムになるとプログラミング言語を組み合わせて開発する場面も出てきます。実際のシステム開発で連携することが少ない組み合わせも含めると、JavaはPythonやRuby、PHP、Kotlin、Scala、C言語、C#などと組み合わせが可能で、PythonはRuby、PHP、C言語、C#、R言語、Kotlin、Scalaなどとも組み合わせ可能です。また、PythonはExcelやBIツールのTableauなどとも連携ができます。
気になる年収と人気度
弊社TechReachのJava案件の総数は1400件、平均年収は約775.2万円となっており、月平均単価は約64.6万円、単価幅は40万円〜130万円となっています。それに対してPythonは、案件の総数419件、平均年収は約834万円、月平均単価は約69.5万円、単価幅は27万円〜125万円となっています。案件数ではJava、高単価案件ならPythonといった特徴があります。(2022年11月現在)
人気度で比べると、TIOBE SoftwareのランキングではJavaが3位、Pythonが1位となっており、GitHubのランキングではJava3位、Pythonが2位となっています。ランキング掲載元の情報やPythonの人気については下記関連記事にてまとめていますので、こちらからご確認ください。
関連記事:Pythonとは?特徴や学習方法などを他言語と比較しながら解説
将来性・仕事につながりやすいのはどっち?
Javaは企業のシステム開発で利用されることが多く、現在でもIT業界での需要がトップレベルに多い言語になっているため、将来性も高い言語といえるでしょう。しかし、PythonはAIや機械学習、データ解析など、これから需要が伸びていくと予想される分野に強いプログラミング言語のため、Javaよりもさらに将来性が高いと判断してよいかもしれません。
また、案件数の多さから、Javaのほうが仕事へつながりやすい言語といえるでしょう。実際に、Javaは案件数が膨大にあるため、フリーランスの案件で「Javaの利用経験1年」という条件で応募しているものも見受けられます。Pythonでもそのような案件は少なからずありますが、Javaのほうが案件数が多くなっています。
Java習得はどのような人におすすめか
JavaやPythonに関わらず、プログラミング言語では自身が開発したいものを基準に考えることが一番かと思います。それを踏まえたうえで、Javaの習得をおすすめする人は、業務基幹システムなどの大規模開発に興味がある人、Javaを習得して転職先や案件獲得を安定的に確保したい人、将来的な興味の広がりに備えて汎用性の高い言語を学習したい人、学習難易度が高いJavaを先に習得し、その後のプログラミング学習を楽にしたい人、などになるでしょう。
python習得はどのような人におすすめか
Pythonの習得をおすすめする人は、AI開発やデータ解析などの最先端のIT技術に携わりたい人、学習難易度が低いPythonからプログラミング言語を学び、徐々にスキルアップをしたい人、将来的にスキルを高めて高単価案件を獲得したい人、などになるでしょう。
JavaとPtyhonの勉強法
勉強法に関しても、JavaやPythonに関わらず、参考書やWeb学習サービス、YouTube、プログラミングスクール、資格試験などがプログラミング言語の学習では共通の選択肢となっています。
Javaの勉強法
Javaは関連する資格試験が2つあり、他の学習方法と並行して資格取得を目指して勉強を進めることをおすすめします。Javaの資格試験である「Oracle認定Javaプログラマ」と「Javaプログラミング能力認定試験」はレベルが3段階に区分けされているため、段階的に知識を深めていくことが可能です。以下の関連記事に情報をまとめていますので、ぜひともご確認ください。
関連記事:Javaの検定試験とは?資格取得のメリットや資格ごとの違いついて
Java Silverの試験詳細や対策方法、資格取得のメリットをご紹介
Pythonの勉強法
PythonにはPython学習に特化した「PyQ」というWeb学習サービスがあり、フレームワークを含む幅広いPythonの学習が可能となっています。また、Pythonにも「Pythonエンジニア認定試験」という資格試験があるため、こちらの資格取得も含めて勉強を進めることができます。JavaもPythonもブラウザ検索をすればさまざまな勉強方法が出てきますので、いろいろと調べ、自分に合ったやり方を選択しましょう。
出典:PyQ | Pythonで一歩踏み出すあなたのための、独学プラットフォーム
Python試験・資格 – Pythonエンジニア育成推進協会
Javaのメリット・デメリット
ライブラリが豊富にある、セキュリティが高い、実行速度が速い、小規模開発には向いていないといった、実際にシステム開発をする際のメリット・デメリットではなく、学習するうえでどうなのか、仕事としてどうなのかといったメリット・デメリットをお伝えします。
Javaのメリット
Javaはフリーランスの案件数や転職求人数が非常に多い言語になっているため、Javaを身につけることで仕事を探しやすい、というメリットがあります。また、将来性も高い言語のため、利用できるプログラミング言語の価値が下がるかもしれない、という不安を抱かずに済むでしょう。
さらに、難易度が高いJavaを先に身につけることで、仕事を探しやすい状態を作ったうえで他の勉強も進めることができ、予想に反してJavaの需要が落ちていったとしても、その頃には状況に対応できるエンジニアになっているはずです。
Javaのデメリット
Javaは現在主流のプログラミング言語と比較しても学習難易度が高くなっているため、その点を最大のデメリットととらえても問題ないでしょう。また、フリーランスの案件では高単価案件の割合が低く、Java一本で高収入を得ようとするとサーバーやデータベースといったバックエンド関連の知識やスキルはもちろん、PM(プロジェクトマネージャー)などの上位職の経験や最新技術へのキャッチアップも必要となります。
Pythonのメリット・デメリット
Javaと同じように、学習するうえでどうなのか、仕事としてどうなのかといったメリット・デメリットをお伝えします。
Pythonのメリット
文法がシンプルでプログラムの実行もしやすいため、学習難易度が低く、独学でも勉強が続けやすいというメリットがあります。また、AI、機械学習、データ解析などは高単価のものが多く、将来性も高い分野のため、知識やスキルを身につけることでそれらの分野で安定的に仕事を獲得しながら、高収入を得られる可能性があります。
加えて、これはデータサイエンスや機械学習の話になりますが、「Kaggle」というプラットフォームではコンペがおこなわれているため、初心者でも目的を持って開発することができ、Kaggleの成績を実績として、転職やフリーランス案件でアピールすることも可能です。
Pythonのデメリット
2022年度では、弊社案件数が増加しているPythonですが、Javaに比べると案件数が少なく、それにともなって未経験者がPythonを習得してすぐに応募できる案件も少なくなっています。しかし、転職市場であれば、Javaと同じく20代未経験で転職可能な企業も多数存在しています。
また、こちらもAIやデータサイエンスの話になりますが、これらの分野は開発をするために数学や統計学の知識が必要になり、システム自体も複雑になるため学習難易度は高いものになります。Javaでも開発ができるWebアプリケーションに関してはPythonのほうが難易度が低くなりますが、分野によっては難しい内容を覚える必要があると心得ておきましょう。
JavaとPythonの比較まとめ
JavaとPythonはともに将来性が高く、どちらを学習するかは個々人の判断によるところが大きくなると思います。プログラミングの学習を始めてから学ぶ言語を切り替える人もいらっしゃいますので、気になった人はブラウザ検索やYouTubeの動画検索など、手軽にできることから行動していきましょう。また、JavaとPythonを他のプログラミング言語と比較した記事もありますので、よろしければこちらもご覧ください。
関連記事:JavaとC言語の違いとは?特徴や習得難易度について解説
Ruby vs Python|どっちのプログラミング言語がおすすめか
Go言語とPythonどっちを選ぶ?できることの違いや年収などを比較
フリーランスの案件をお探しの方はTechReachにご相談ください。
TechReachを運営する株式会社アールストーンはIT・Web業界特化で15年以上の実績がございます。
そのため、高単価・高品質な数多くの案件紹介が可能です。
また一人のコンサルタントが企業と求職者様の担当を行う「両面型エージェント」を採用しているため、あなたの希望に合う案件がきっと見つかるはずです。
TechReachを活用して、理想の案件を見つけましょう!