よくフリーランスとして独立する際に、開業届の提出と同時に、青色申告も一緒にした方が良い、という話を聞いたことがある方はいるのではないでしょうか?結論から言うと、青色申告をおこなうメリットは大きく、多くの方にとってそのメリットを享受できます。この記事では、青色申告をおこなうメリットとやり方について解説していますので、ぜひご覧ください。
Contents
フリーランスの確定申告
会社員からフリーランスになると、確定申告をする必要があります。青色申告は、確定申告をおこなう際に役立つものになります。青色申告の解説に入る前に、まずは確定申告について解説します。
確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の収入から経費等を引き、所得税などの納税の根拠となる書面(確定申告書)を提出し、納税するまでの一連の行為を指します。
確定申告は国民の義務のため、実は会社員も確定申告をおこなう必要があります。ですが、多くの場合、会社が代行しておこなってくれています。フリーランスとして独立すると、確定申告は自らがおこなわなければならなくなるという訳です。
フリーランスが払う税金・保険料の種類
フリーランスが払う税金・保険料のうち、青色申告による影響のある税金について主に解説します。
所得税
自分の給料や事業の収入などに応じて支払う税金で、確定申告をおこなった際に、納めます。
所得税は、所得額に応じて税率があり、例えば、1,949,000円までは税率5%、1,950,000円から3,299,000円までは税率10%となっています。なお、所得金額に応じて税率が変化することを累進課税といいます。
参考URL:No.2260 所得税の税率(国税庁ホームページ)
関連記事:フリーランスが支払う所得税とは?払い方と計算方法をわかりやすく解説
2.1.1 復興特別所得税
平成23年12月2日に発生した東日本大震災による震災からの復興のために、平成25年より実施された税金です。所得税に対して2.1%の税率が付加される税金です。
参考URL:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし(国税庁ホームページ)
個人住民税
自分の住む都道府県・市町村に支払う税金です。都道府県に納める道府県民税・都民税は、前年の所得に応じて4%、市町村に支払う市町村税は6%となっています。また、住民税には所得に関わらず支払う均等割があり、都道府県は3000円、市町村は1000円となっています。なお、現在は防災施策の財源として、都道府県・市町村にそれぞれ500円ずつ均等割に増税されています。また、自治体によっては、環境保全等を目的とした超過課税を採用しています。
個人住民税の納付は、徴収という形をとります。フリーランスの場合、普通徴収が一般的で、6月末、8月末、10月末、翌年の1月末の4回払いで徴収されます。
参考URL:個人住民税(総務省ホームページ)
国民健康保険料
国民健康保険料は、自治体によって計算方法は僅かに異なりますが、所得割、均等割、平等割、資産割などがあります。所得割は前年度の1月1日〜12月31日までの所得に応じた金額、均等割は一人ごとに一律の金額、平等割は世帯ごとに一律の金額、資産割は固定資産税に応じた金額となっています。
国民健康保険料は、年金から天引きする特別徴収、納付書などで納付する普通徴収により徴収されます。
参考URL:国民健康保険の保険料・保険税について(厚生労働省ホームページ)
その他の税金
青色申告による影響はありませんが、フリーランスが支払う必要のある税金についても、簡単にご紹介します。
・個人事業税
個人の事業に対してかかる税金です。事業の種類に応じて一律に税率(3~5%)が固定されています。なお、控除金額(課税対象額から減額される金額)が大きく、ある程度の所得がないと発生しない可能性もあります。
個人事業税の納付は、税金は税額が1万円を超える場合は、8月と11月、1万円以下の場合は、8月にまとめて徴収されます。
参考URL:個人事業税(東京都主税局)
・消費税
1月1日から12月31日の1年間が課税期間で、この間にクライアントなどから預かった消費税と仕入れ、経費、外注などに使用された消費税などを集計し、翌年3月31日までに消費税の確定申告をおこないます。
なお、消費税の確定申告は、免税事業者(消費税を納付する義務がない個人事業者)は対象外です。また、2023年10月1日より開始されるインボイス制度により、様々な影響が考えられます。インボイス制度の詳しい内容については下記関連記事をご確認ください。
参考URL:消費税及び地方消費税の申告等(国税庁ホームページ)
関連記事:フリーランスが知っておくべきインボイス制度について解説
フリーランスは消費税を請求できる?請求書の記載方法を詳しく解説
・固定資産税
土地や建物を所有している場合、毎年固定資産税がかかります。会社員でもフリーランスでも変わりはありませんが、フリーランスの場合、経費として使用することも可能です。
フリーランスには青色申告がおすすめ
ここからは、青色申告が具体的にどう役立つのかについて解説していきますが、その前に、青色申告とはどういうものなのかについて解説します。
青色申告とは
青色申告とは、青色申告制度を利用して確定申告をする方法の一つで、
一定の帳簿を備え付け、帳簿に日々の取引を記帳し、その記録にもとづいて、正しい所得金額や税額を計算し、確定申告をおこない納税する
ことにより、確定申告時に青色申告控除を受けることができます。
具体的には、確定申告では、確定申告書と青色申告書として、損益計算書、損益計算書の内訳、貸借対照表の提出が求められ、また確定申告では提出を求められませんが、複式簿記などの帳簿を作成する必要があります。
参考URL:No.2070 青色申告制度(国税庁ホームページ)
白色申告との違い
確定申告には、青色申告の他に、白色申告があります。白色申告は青色申告に比べ簡易なのが特徴です。具体的には、確定申告では、確定申告書と収支内訳書のみの提出でよく、また確定申告では提出を求められませんが、簡易簿記の作成が必要です。
参考URL:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(国税庁ホームページ)
フリーランスが青色申告を選ぶメリット
これまで見てきたように、税金の多くは、所得に対して納税が発生します。所得が大きければ税負担も大きくなるため、いかに所得を抑えられるかが節税の鍵となる訳です。中でも、青色申告は節税に効果的と言われています。そのメリットについてみていきましょう。
青色申告特別控除が受けられる
所得を抑えるには、経費を使用する方法がありますが、他には控除を利用する方法があります。青色申告の最大のメリットは、この控除を使える点です。
最大65万円の控除ができるため、節税効果が高いのが魅力的です。
参考URL:o.2072 青色申告特別控除(国税庁ホームページ)
家族に支払った給与を経費として計上できる
生計を一にしている配偶者やその他の親族に対して給与を支払っても経費として、基本的には経費として計上できませんが、特定の条件をみたすことで経費として使用できるようになります。
白色申告をおこなっている場合に使用できるのが『事業専従者控除』で、青色申告をおこなっている場合に使用できるのが『青色事業専従者給与』になります。事業専従者控除は一部しか経費にできませんが、青色事業専従者給与は、事前に『青色事業専従者給与に関する届出手続』をおこなうことで全額経費として使用できます。
参考URL:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除(国税庁ホームページ)
[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続(国税庁ホームページ)
貸倒引当金を設定できる
取引の多くは現金決済でない場合があり、その場合掛取引をおこない、後日取引金額をまとめて後払いで清算することになります。このとき、相手の経営状態によっては、倒産などが考えられ、債権の回収ができなくなります。それにより連鎖倒産という事態になりかねません。
そのため、売掛金残高の5.5%を損金として計上できるのが、貸倒引当金です。貸倒引当金は青色申告をおこなっている場合にのみ使用できます。
少額なら減価償却資産を経費として計上できる
白色申告の場合、経費として使用できる減価償却資産のうち、1個当たり10万円未満のものしか損金にできませんが、青色申告の場合、30万円未満のものであれば、一括で経費として損金にできます。
関連URL:No.2100 減価償却のあらまし(国税庁ホームページ)
3年間の繰越ができる
事業を営んでいれば、黒字の年もあれば、赤字の年もあります。白色申告であれば、赤字の年は単に赤字として確定申告をおこなうだけで終わってしまいますが、青色申告であれば、その年の赤字を翌年度以降に繰り越し、損金として使用できます。
フリーランスが青色申告をするデメリット
これまで青色申告のメリットについて説明してきましたが、デメリットについても解説します。
青色申告と白色申告の大きな違いは、確定申告時に必要な手続きが多い点と、作成が義務付けられている帳簿の量と難易度の違いになります。具体的には、青色申告は確定申告書の他に青色申告書の提出が求められますし、複式簿記による総勘定帳・仕訳帳の作成が必要になります。ですが、複雑であるという以外は、多くのメリットがあるため、可能であれば、青色申告に挑戦したいところです。
e-Taxで青色申告をスムーズにおこなうやり方
青色申告にはe-Taxを用いた方法と窓口や郵送による方法がありますが、青色申告によるメリットを最も受けられるe-Taxを用いて確定申告をおこなうやり方について解説します。
複式簿記による各種帳簿の作成をおこなう
まずは1月1日から12月31日までの会計をまとめます。これが完成していなければ、青色申告による確定申告をおこなうことは難しいでしょう。
事前準備をする
e-Taxを利用して確定申告をおこなうには、マイナンバーカードと、マイナンバーカードを読み込めるスマホか、PCでおこなう場合はカードリーダーなどが必要です。マイナンバーカードの発行には時間がかかるため、事前に用意しておきましょう。
マイナポータルで利用者登録をする
マイナポータルとは政府が運営するオンラインサービスで、行政サービスの検索、お知らせの受け取り、サービスの利用などに使用できます。確定申告にも利用でき、マイナポータルとe-Taxを連携することで、控除証明書等をe-Taxへ自動入力できます。
マイナポータルの利用は、マイナポータル公式ページにアクセスし、案内に従って、マイナポータルの開設をします。
マイナポータルとe-Taxとの連携は、e-Taxによる申告書等の作成中にも、『マイナポータル連携の選択』より可能です。
参考URL:マイナポータルと連携した所得税確定申告手続(国税庁ホームページ)
e-Taxにアクセスし、確定申告書を作成する
確定申告書等作成コーナー(国税庁ホームページ)にアクセスし、『申告書等を作成する』から『作成開始』を押下し、確定申告書の作成を開始します。
必要な書類を用意し、確定申告書を完成させる
総勘定元帳、銀行口座の通帳、経費帳、現金による取り引きなどがあれば現金出納帳などを用意し、確定申告書、青色申告決算書を完成させ、送信します。
期限内に電子納税する
確定申告の結果から、電子納税が可能です。インターネットバンキングなどによる振替納税、ペイジーなどにより電子納税、クレジットカードによる納税、スマホアプリによる納税、コンビニエンスストアなどでの現金納税、金融機関や税務署窓口での納付などがあります。
納税期間を過ぎてしまうと延滞税がかかる可能性があるため、納付期限はきちんと守りましょう。
参考URL:No.9205 延滞税について
フリーランスは確定申告しないとどうなるの?
確定申告が必要ない方であれば、確定申告をしなくても問題ありませんが、確定申告が必要であるにもかかわらず確定申告をおこなわなかった場合、無申告加算税を始めとしたペナルティがあります。
無申告加算税は、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の割合を乗じて計算した金額になります。
参考URL:確定申告が必要な方(国税庁ホームページ)
関連記事:フリーランスが確定申告をしないリスクや対処方法について解説
まとめ
青色申告をおこなうことで、青色申告特別控除が利用でき、所得税や住民税といった税金の負担が減ることで、節税することができます。白色申告に比べ確定申告時の手間や、日頃の帳簿付けは煩雑ですが、それを補って余りあるメリットが青色申告にはあります。
この記事を参考にぜひ青色申告に挑戦してみてください。
また、下記国税庁のページも、青色申告をおこなう際はの参考になるので、ぜひ参考にしてみてください。
参考URL:はじめてみませんか?青色申告(国税庁)
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