Pythonは、機械学習や人工知能(AI)開発、データサイエンスなどで近年注目を浴びているプログラミング言語です。また、人気の言語なため、フレームワークやライブラリも数多く登場しています。そのため、Python自体に加えて、フレームワークやライブラリに興味のある方もいらっしゃると思います。
そこで本記事では、フレームワーク情報を実際の案件例をもとに紹介しています。ぜひともご確認ください。
Contents
Pythonのフレームワークとは
フレームワークとは、複雑なプログラムを構築する際の土台となる枠組みです。Pythonのフレームワークは、アプリケーションを開発するために必要なモジュールやパッケージの集まりを提供し、開発者がプログラムの基本的な構造を効率よく構築できるよう支援します。例えば、Webアプリケーションの開発や機械学習の実装など、Pythonが活用されるさまざまな領域で利用されています。
フレームワークを使うことで、開発者は低レベルの詳細を心配せず、アプリケーションのロジックに集中できるようになります。フレームワークの存在により、記述量を減らし、より迅速に信頼性の高いプログラムを作成できます。
さまざまな種類のフレームワークがあり、それぞれが特定の用途やプロジェクトの要件に合わせて選ばれます。フルスタックフレームワークは複合的なソリューションを提供し、マイクロフレームワークはHTTP操作を容易にします。
以上のように、フレームワークはプログラミング作業を効率化すると同時に、複雑なシステムの構築を可能にする強力な道具です。
フレームワークとライブラリとの違い
フレームワークは、アプリケーションを構築するための骨組みを提供し、開発者が決められた枠組みのなかで、一貫した方法でコードを書くことを助けます。コードの一貫性により、アプリケーションの構造を整理し、保守がしやすいコードを作成できます。
一方、ライブラリは特定の機能を実現するためのコードの集まりであり、開発者は必要な機能を持つライブラリを選び、自分のプロジェクトに取り入れて使用します。ライブラリはある特定のタスクをこなすためのツールとして提供されるため、開発者はより自由にコードを書くことができます。
言い換えれば、フレームワークは開発者に一定の規則を守るよう強いるものであり、規則に従うことで開発の効率化を図ることができます。しかし、ライブラリはあくまで個別の機能を提供するもので、機能をどのように使用するかは開発者の裁量に委ねられています。フレームワークが1つの大きな絵の枠組みを示し、ライブラリは絵を描くための具体的な筆や色に相当します。
Pythonでフレームワークを使うメリット
Pythonを用いた開発プロジェクトに、フレームワークを導入するメリットを具体的に見ていきましょう。
作業の効率化につながる
フレームワークの使用は、開発プロセスを効率化し、作業効率を大幅に向上させます。実用的なテンプレートと再利用可能なコードで構成されており、基本的な機能が組み込まれているため、すべてを一からコーディングする必要がなくなり、創造的な作業に注力できます。
特にWebアプリの開発では、ユーザー認証やデータベース操作など一般的な機能をフレームワークが提供し、開発時間の短縮に役立ちます。フレームワークの機能は多くのプロジェクトに採用されており、実績に基づく信頼性によって安心して使用できます。
フレームワークの活用は、時間節約に留まらず、プロジェクトの品質向上にも貢献し、フリーランスの競争力強化にも重要です。
コードの保守性を担保する
フレームワークを利用すると、コードの保守性を担保できます。
フレームワークが持つ一定の規約にしたがってコードを記述するため、一貫性のあるコードを維持できるためです。
例えば、命名規則やファイル構造が統一されていることで、異なる開発者が同じプロジェクトに参加しても、互いのコードを理解しやすくなります。コードの理解しやすさにより、迅速なバグ修正や機能拡張がおこなえるようになります。
複数の開発者が関わる長期的なプロジェクトでは、フレームワークを使用すると、あとからのコードのメンテナンスが容易になり、開発の生産性を向上させることができます。フレームワークの利用は、コードの品質を保ちつつ、持続可能な開発を助けます。
エラーやバグを最小限にする
多くの開発者によって検証され、改善されたフレームワークは、信頼性の高い安定したコードを提供します。開発者はすでに解決された問題に再び直面せず、開発に専念できます。
フレームワークの規約やベストプラクティスに従うことで、一貫性のあるコーディングが可能となり、エラーやバグの発生率が低下します。特にチームプロジェクトでは、フレームワークの一貫したコーディングスタイルがコード全体の品質維持に役立ちます。
例えば、Djangoではセキュリティ上のバグを防ぐ機能が組み込まれており、開発者が安全なコードを書くのを支援します。フレームワークの活用は、エラーやバグを抑制し、安定したアプリケーション開発に不可欠です。
案件の受注がしやすくなる
多くの開発案件で特定のフレームワーク使用が要求されるため、さまざまなフレームワークを習得していることは、あなたの市場価値を高めます。
特に、Web開発ではDjangoやFlaskなどのPythonフレームワーク知識が重要で、AI関連ではTensorFlow・PyTorchなどを使用したプロジェクトに参加する機会が増えます。フレームワークを習得すると、幅広い案件を受注できます。
実際、多くのプロジェクトはフレームワーク経験豊富な開発者を優先します。フレームワークの習得は技術力評価の重要な基準となり、よりよい条件で案件を受注する可能性を高めます。
セキュリティの向上につながる
フレームワークの使用により、Webアプリケーションのセキュリティは向上します。開発者によって検証されたフレームワークを採用すれば、セキュリティ対策をゼロから施すよりも高い安全性を期待できます。
特に、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)の対策がフレームワークには標準で備わっています。標準のセキュリティにより、セキュリティの専門知識がなくても、安全なアプリケーションの構築が可能です。
また、フレームワークは定期的に更新され、新しい脅威に迅速に対応できるため、安心して使用できるアプリケーションを提供するうえで、フレームワークは重要な役割を果たします。
Pythonでフレームワークを使うデメリット
Pythonのフレームワークを使う際のデメリットを理解し、フレームワークを選択する際の判断材料にご活用ください。
使いこなすのに時間がかかる
Pythonフレームワークを使いこなすためには、フレームワーク特有の規約や設計思想を学ぶ必要があります。学習のため、プロジェクトへの導入初期には、学習曲線を克服するための時間が必要になります。
特に、英語で書かれたドキュメントを参照しながらの学習は、言語の障壁もあり、さらなる時間を必要とします。また、市場規模が小さいフレームワークに関しては、参考情報が少ない場合もあるため、具体的な問題解決に苦労するケースもあり得ます。
学習と習熟の過程は、開発プロジェクトにフレームワークを迅速に適用するうえでの障害となることがあるため、フレームワークの選定時には、学習コストも考慮するようにしてください。。
全て無料で使えるわけではない
Pythonフレームワークの活用には、ときに費用がかかることがあります。例えば、一部のフレームワークでライセンス料が必要だったり、高度な機能の利用に追加料金が発生する場合があるからです。
例えば、多くのオープンソースフレームワークが無料で提供されていますが、なかには有料サポートや追加機能があるものもあります。また、企業用途の商用ライセンスが必要なフレームワークも存在します。
フレームワーク選びでは、アプリケーションの要件を満たすだけでなく、利用料金や維持費も重要です。予算内で最適な価値を提供するフレームワークを選択するためにも学習前に各フレームワークのコストと機能を比較するのが推奨されます。
カスタマイズの自由度が制限される
Pythonフレームワークを使用する際、独自の機能を組み込む自由度が制限されることがあります。フレームワークがコードの書き方にルールを設けているためです。
例えば、あるフレームワークでは、データベースの操作を簡単にするための特定の書き方を推奨していますが、推奨されたスタイルから逸脱すると予期せぬ問題が生じることがあります。
また、プロジェクトに特有の複雑な要件がある場合、フレームワークが提供する方法では対応できず、追加のカスタマイズが必要になることも考えられます。
フレームワークにはすでに設計パターンが組み込まれているため、パターンの枠を超えるカスタマイズをするには、予想外の工数が必要になる場合があります。
学習するPythonフレームワークやライブラリの選び方
Pythonフレームワークは同じ用途向けのものも多数あるため、どれか1つに決めるのが難しいケースもあるでしょう。
本項では、フレームワーク選びの基準として大切なポイントをご紹介します。
実績があるか
基本は、実績のあるフレームワークやライブラリを選ぶことが重要です。多くの開発者に利用され、企業での採用例も多いフレームワークは、情報量が多く、学習資料も豊富です。
例えば、Web開発のDjangoや機械学習のPyTorchは、実績が数多くのプロジェクトで証明されています。また、人気のフレームワークは活発なコミュニティを持ち、問題発生時にサポートを得やすいメリットもあります。
求めている機能が備わっているか
プロジェクトの要件に合ったフレームワークを使うことで、開発をスムーズに進め、効率的に機能を組み込むことができます。
例えば、リアルタイムのデータ処理には非同期処理に長けたフレームワーク、Webアプリケーション開発にはセキュリティやデータベース管理機能が充実したフレームワークが適しています。
選ぶ際には公式ドキュメントやユーザーコミュニティの評判を参考にし、機能的に優れた選択肢を見つけましょう。
自分に合った学習コストか
Pythonのフレームワーク選びで重要なのは、学習コストが自分に合っているかです。
初心者の方は、理解しやすい構造のフレームワークや、充実した学習リソースがあるものを選ぶとよいでしょう。一方で、経験豊かな方は、より高度なフレームワークに挑戦すれば、スキルの差別化を図れ、市場価値を高めることができます。
実際にチュートリアルを試すなどして、自分にとって学びやすいフレームワークを見極めましょう。
Pythonフレームワークの3つの種類
Pythonには、さまざまなタスクを助けるフレームワークがあり、大きく3つの種類に分けられます。
本項では、Webアプリケーションフレームワークの3つのタイプを詳しくご紹介します。
非同期フレームワーク
非同期フレームワークは、複数の作業を同時進行させる能力を持ち、Webアプリケーションのパフォーマンス向上に貢献します。送信者と受信者のタイミングを合わせる必要がないため、サーバー負荷の軽減と高速レスポンスを実現します。
例えば、Pythonの非同期フレームワーク「Tornado」や「Aiohttp」は、リアルタイムWebサービスや、大量のアクセスを捌く必要のあるアプリケーションに適しています。いずれのフレームワークも、非同期I/Oを利用し、同時に多くの接続を処理できます。
非同期フレームワークの利用は、快適なブラウジング体験を提供し、限られたサーバーリソースで処理性能を出すために重要です。
マイクロフレームワーク
PythonのWeb開発者にマイクロフレームワークが注目されています。
必要最低限の機能を備え、軽量で使いやすく、初心者にも親しみやすいフレームワークです。代表例として「Flask」や「Bottle」があります。
小規模プロジェクトやプロトタイピングに適しており、開発者は必要な機能を自由に組み込めます。シンプルでありながらプロジェクトの要望に応じたカスタマイズができ、柔軟な対応ができます。
パーソナライズされた機能の追加により、クライアントのニーズに合わせたサービス提供が可能です。また、規模が小さく始めやすいため、新技術への挑戦にも最適な入門ツールとして利用されています。
フルスタックフレームワーク
Pythonで複雑なWebアプリケーションを構築する際、フルスタックフレームワークは大いに役立ちます。フルスタックのフレームワークは、データベース操作、ユーザー認証、フォーム処理など、Web開発に必要な多岐にわたる機能を包括的に提供します。
例えば、よく知られるDjangoやPyramidなどがフルスタックのカテゴリに含まれます。フルスタックフレームワークを使うことで、開発者はアプリケーションの基盤に集中せず、ビジネスロジックの構築に専念でき、生産性と品質が向上します。
多機能なため習得には時間と努力が必要ですが、一度身につければ大規模プロジェクトにも対応できる強力なツールとなります。
Pythonが用いられる領域
Pythonが用いられるシステム開発を、弊社TechReachの求人案件を例にしてご紹介します。
Webアプリケーション開発
Pythonは、Webアプリケーション開発ができるプログラミング言語のため、弊社の求人でもさまざまな種類の募集がかかっています。
業界 | Webサービス |
ポジション | アプリケーションエンジニア |
スキル | Python, AWS, Django, jQuery |
単価 | ~60万円/月 |
職務内容 | 作業内容:スポーツ記録システムの統合に伴うアプリ開発業務AWS環境を中心に構築したシステムのアプリケーション動作仕様に従いPythonで新規実装工程:詳細設計、製造、テスト※アジャイル開発です |
本件は、スポーツ記録アプリケーションをPythonで新規実装するWebサービスの開発案件です。
フレームワークはDjangoを使用し、設計からテストまでを担当します。
Python側はDjangoでの開発経験、JavaScript側はイベントハンドリング、アニメーション、Ajaxなどの機能を容易に扱えるjQueryの経験が2年間必須となっています。
(※本記事の情報はすべて2023年11月現在のものとなります。)
機械学習・統計解析
Pythonといえば、データ分析・人工知能開発などを思い浮かべる方も少なくないと思います。実際に、弊社案件でも、機械学習・データ分析ジャンルの開発では、Pythonが用いられることが多くなっています。
業界 | Webサービス |
ポジション | システムエンジニア(SE) |
スキル | Python |
単価 | ~95万円/月 |
職務内容 | ・災害や事故を判定するモデルの精度向上・学習データの作成やモデルデプロイのための機械学習基盤(MLOps)の整備・SNSの解析/データ分析・データの可視化【開発環境】・言語:Python・フレームワーク:PyTorch/PyTorchLightning/TensorFlow/Keras・環境:JupyterNotebook/ColabPro+/BigQuery/GitLab/Slack/Zoom/Tandem・貸与マシン:MacBook Pro |
本件は、機械学習モデルの改善や、SNSの分析システムの構築だけでなく、機械学習の開発や運用のベースとなる基盤の整備など機械学習の開発から運用まで幅広いステージに関わることができる案件です。機械学習プロジェクトの経験、自然言語処理の知見が必須となっています。
フレームワークとしては、PyTorchやTensoFLow・Kerasなどのディープラーニング向けフレームワークを用います。
ロボット開発
Raspberry Piなどの小型コンピュータを使った制御ではPythonが広く用いられています。Pythonのライブラリを使えば、センサーのデータ処理やモーターの制御など、ロボットを動かすためのプログラムを簡単に記述でき、開発の敷居が大幅に下がります。
業界 | Webサービス |
ポジション | フロントエンドエンジニア |
スキル | Python, Linux, AWS |
単価 | ~70万円/月 |
職務内容 | ・主に調理ロボットのオーダー管理システムのフロントエンド開発(Vue.js)をしていただきます。・業務が固定されているわけではないので、バックエンドも開発(Python)もしていただく可能性が高いです。 |
本件は、調理ロボットの開発案件です。Vue.js(Webインターフェイスの構築を簡素化する軽量なJavaScriptフレームワーク)を主に担当しますが、バックエンドのPythonにも携われる可能性があります。
おすすめのPythonフレームワーク
本項では、Pythonのフレームワークの中から特におすすめのものを紹介します。
主に、WebアプリケーションやAPIサーバー構築に適したフレームワークを取り上げるほか、機械学習やディープラーニング分野で不可欠なフレームワークも掘り下げます。
Django(ジャンゴ)
DjangoはPython製のWeb開発を助けるフレームワークで、「ユーザー認証」や「サイトマップ」「RSSフィード」など、Webアプリケーション構築に必要な多彩な機能を取り揃えています。
大規模開発に強く、InstagramやPinterestなどの著名なWebサービスにも採用されるほどです。開発者が共通の規則に従うことで、コードの統一性と保守性を高めます。
Djangoは全体的な構造が複雑で、学習には時間がかかるかもしれませんが、一度マスターすれば高度なアプリケーションの実現が可能になります。Pythonを駆使したWeb開発で重宝されることは間違いなく、学びの労力は後々大きな価値を生むこととなるでしょう。
Tornado(トルネード)
シンプルながら高機能なTornadoは、リアルタイムWebアプリケーション構築に適したPythonフレームワークです。高負荷通信や大量ユーザーの同時アクセスに強く、特に非同期I/O処理能力が大きな特徴です。非同期I/Oにより、従来の同期処理方式に比べ、サーバー負荷を軽減しながら多くのリクエストを効率的に処理できます。
Tornadoは、チャットアプリケーションやゲームサーバーなど、ユーザー間インタラクションが多いプロジェクトに適しています。活発な開発者コミュニティによりさまざまな機能拡張が可能で、利用者が生み出したモジュールや拡張機能を組み合わせて多彩なプロジェクトを実現できます。
Bottle(ボトル)
マイクロフレームワークのBottleは、複雑な設定を必要としないシンプルなWeb開発に特化しています。主な特徴は、1つのファイルで構成されており、インストールが容易な点です。
また、BottleはWSGIに準拠しており、さまざまなWebサーバーでの運用が可能です。
Bottleは迅速なプロトタイピングや小規模プロジェクトに理想的で、柔軟性と簡潔さを兼ね備えています。また、ルーティング、テンプレート、ユーティリティ機能などの基本的な機能を提供しつつ、必要に応じて拡張が可能な点も魅力です。開発者にとって手軽で効率的な選択肢であり、軽量ながらも機能豊富なWebアプリケーションの開発を支援します。
Flask(フラスコ/フラスク)
FlaskはPythonの軽量Webアプリケーションフレームワークで、シンプルかつ必要最小限の機能を備えています。PythonでWeb開発をおこなう際、特に小規模プロジェクトやAPI構築に適しているとされます。
Flaskフレームワークは基本的な土台を提供しつつ、開発者が必要に応じて機能を追加しやすい柔軟な構造が特徴です。オリジナルの機能に集中できるため、開発期間の短縮につながります。
また、小規模から始めてもあとで拡張可能なため、初期投資を抑えつつ将来的な成長に対応できる点も評価されています。Flaskの主な利点は、シンプルさと拡張性の高さにあり、開発者にとって高い自由度とカスタマイズ性を提供します。
FastAPI(ファストエーピーアイ)
FastAPIは、API開発を効率化します。スピードと使いやすさに注力し、開発者には必要な機能を迅速に実装するためのツールを提供します。
特にOpenAPIとSwagger UIのサポートにより、自動的にインタラクティブなAPIドキュメントを生成し、APIの動作をリアルタイムでテスト・確認できることが魅力です。自動ドキュメントとテスト機構により、API構築とテストの一元管理が可能になり、ドキュメント作成の手間が軽減されます。
FastAPIのコードは明瞭で読みやすく、新規開発者の学習コストを下げる効果もあります。また、非同期プログラミングのサポートにより、高い並行性を持つAPIサーバーの開発が容易になります。
Plone(プローン)
Ploneとは、柔軟なコンテンツ管理がおこなえるオープンソースのWebアプリケーションフレームワークです。
主に企業向けのCMS(コンテンツ管理システム)として活用され、データベースやWebサーバーを搭載しているため、ApacheやMySQLのような追加のシステムをインストールする必要がない点が特長です。
Ploneを使えば、文書や画像などの管理に加え、ユーザー権限の設定やコンテンツの公開スケジュール管理など、幅広い利用が可能です。また、セキュリティ面も強化されており、企業や組織にとって安全なWebサイト環境を提供します。幅広い機能があり、大規模な情報を扱う組織や企業で使用されます。
Streamlit(ストリームリット)
StreamlitはPythonのフレームワークで、特にデータ分析や機械学習モデルの視覚的表示に優れています。わずかなコーディングでWebアプリケーションを作成でき、データサイエンス領域で高く評価されています。
フロントエンドの専門知識がなくても、インタラクティブなダッシュボードやグラフを簡単に作成できるのが特徴です。データを活用したプロジェクトやプロトタイプ開発に適しており、株価分析ダッシュボードや機械学習モデルを使ったデモアプリの迅速な開発が可能です。
初心者にも親しみやすい直感的なAPI設計と充実したドキュメントがあり、学習のハードルを低く抑えることが多くのエンジニアに選ばれる理由です。
CherryPy(チェリーパイ)
CherryPyはPythonのフレームワークで、Webサーバー構築を手軽におこなえることが大きな特徴です。数行のコードで機能するサーバーを設置できるため、プログラミング初心者にも親しみやすいです。
軽量性とオブジェクト指向に基づく明瞭なコードがCherryPyフレームワークの背景にあり、10年以上の発展を経て多くの場面で性能と信頼性を実証しています。
シンプルなWebアプリケーションから複雑なものまで幅広く対応できる汎用性もCherryPyの魅力の1つです。CherryPyは軽量でありながらWebSocketや認証、キャッシュなど多くの機能を備え、多くのPython開発環境で活用されています。
Web2py(ウェブツーパイ)
Web2pyは幅広いプログラミングスキルレベルに対応するWebアプリケーションフレームワークです。Windows、Mac、Linuxなど多様なプラットフォームで動作するため、プロジェクト毎に異なる環境に対応する際に便利です。
Web2pyは各種データベース連携やWebセキュリティ管理のための効率的なツールを備え、開発者はデータベース構築やセキュリティ対策に集中できます。
日本ではまだマイナーな存在ながら、実力を知る開発者やプロジェクト管理者にとっては価値あるツールとなり得ます。Web2pyを活用すれば、効率性の向上、セキュリティ強化など、大きな魅力があります。
Hug(ハグ)
HugはPython 3向けのWeb APIサーバー構築フレームワークです。
Web APIのシンプルな構築を追求し、ユーザーフレンドリーな実装が特長です。API設計からデータ取扱い、ドキュメンテーションに至るまで、分かりやすさと迅速性に焦点を当てた開発が可能です。
Pythonコードを小さな修正でAPIに変換でき、特に既存のPythonプロジェクトからのAPI提供に有効です。例えば、データ分析結果を他のアプリケーションやサービス用のAPIに容易に変換可能です。Hugフレームワークは、開発の煩雑さを排除し、Pythonの柔軟性を活かして、多くの場面で役立つツールとして注目されています。
Pyramid(パイラミッド)
Pyramidはモジュール化された構造を持つフルスタックフレームワークで、小規模から大規模プロジェクトまで柔軟に対応します。
大きな特徴は、開発者が必要な機能だけを選択して利用できる点にあります。
例えば、ルーティング設計やセキュリティ機能のようなコンポーネントをプロジェクトに応じてカスタマイズ可能です。また、WSGI標準に準拠しているため、他のWSGIミドルウェアやアプリケーションと組み合わせて使用できる柔軟性を持ちます。
Ruby on Railsに影響を受けた設計思想を持ち、コンポーネントの再利用や取り外しによる拡張がしやすい環境を提供します。
TurboGears(ターボギアーズ)
TurboGearsは、MVC(モデル・ビュー・コントローラー)アーキテクチャを採用したPythonのフルスタックフレームワークです。
Ruby on Railsの影響を受けたTurboGearsは、直感的かつ明瞭なコーディング規約と豊富な機能を提供し、初心者から上級者まで幅広い開発者に適しています。
主な特徴は、機能の柔軟性と拡張性にあります。必要な機能を簡単に取り入れ、プロジェクトの初期段階から効率的に開発を進めることが可能です。
国内での情報量が豊富なため、学習しやすい点も大きな魅力です。TurboGearsは、開発をスムーズかつ迅速におこなう選択肢として、多くの開発者に支持されています。
TensorFlow(テンソルフロー/テンサーフロー)
機械学習分野で不可欠なTensorFlowは、Googleによって開発された深層学習フレームワークです。テンソル計算を基盤とし、複雑なニューラルネットワークの構築に必要な豊富な機能を提供します。
画像認識や言語処理など、AI(人工知能)に関連するさまざまな機能を効率的に実装できることが特長です。オープンソースで無償利用可能なため、学習しやすく、AI技術の発展に貢献できます。
エンジニアにとって、TensorFlowの習得は大きな価値を持つスキルです。公式サイトが充実しており、学びやすく、また活発なコミュニティもサポートを提供しています。
PyTorch(パイトーチ)
PyTorchは、機械学習のための強力なフレームワークです。Python向けに設計されており、直感的で柔軟なプログラミング体験を提供します。
特に、動的計算グラフ(Dynamic Computational Graph)を用いたモデル設計が特徴で、複雑なニューラルネットワークも容易に実装できます。PyTorchは、GPUにより高速な計算が可能で、大規模なデータやモデルに対応します。
また、コミュニティが活発で、豊富なライブラリとツールが提供されており、継続的な開発とサポートが受けられます。学術研究から実際の産業応用に至るまで、幅広い分野でのAI開発におすすめのフレームワークです。
Pythonフレームワークのトレンド状況
Python開発者へ2022年に実施したアンケートによると、Webフレームワークの人気上位はFlask、Django、FastAPIとなっています。
また、Googleトレンドによると、Django、NumPy、PyTorch、TensorFlow、Flaskの順に検索される頻度が高く、Webだけでなく機械学習やデータ解析に関するフレームワークも注目されているのが分かります。
【用途別】Pythonの人気フレームワーク
Pythonにはさまざまなフレームワークがあり、それぞれ使う目的によって最適なものが異なります。本項では、Webと機械学習の分野それぞれで人気のPythonフレームワークを簡潔にご紹介します。
Webアプリケーション系
PythonのWeb開発にはさまざまなフレームワークがありますが、2023年現在、推奨されるフレームワークは以下の通りです。
- Django
- CherryPy
- Pyramid
- Grok
- TurboGears
- Web2Py
- Flask
- Bottle
フレームワークを使うと、ページ毎の処理の振り分けや、ログイン機能やデータベース連携などがあらかじめ整えられており、Web開発の工数が削減できます。
フレームワークは、それぞれ異なる特性を持っており、例えば、Djangoは大規模なプロジェクトに適しており、Flaskは小規模でシンプルなプロジェクトに向いています。
上記に加えて、2023年現在、以下のフレームワークも注目されています。
- Falcon
- Dash
- CubicWeb
機械学習系
Pythonの機械学習にはさまざまなフレームワークがありますが、2023年現在、推奨されるフレームワークは以下の通りです。
- TensorFlow
- PyTorch
- Scikit-learn
- Keras
- XGBoost
- LightGBM
- CatBoost
機械学習は、複雑な計算が必要で、大量の計算を実行するため速度やメモリ管理も必要なため、多くの用例によって検証済みのフレームワークを使うことが推奨されます。
機械学習といってもさまざまなタスクがありますが、例えば、TensorFlowはディープラーニングに特化しており、Scikit-learnは機械学習のさまざまなアルゴリズムを提供しています。
上記に加えて、2023年には以下のフレームワークも注目されています。
- MXNet
- H2O
- Prophet
- Ludwig
- AutoKeras
それぞれのフレームワークの特性や利点を比較し、プロジェクトに最適なものを選択するのが重要です。
Pythonフレームワークを用いた案件の単価相場
本項では、Pythonのさまざまなフレームワークを使ったプロジェクトの単価相場をご紹介します。
Webアプリケーション系
DjangoやFlaskのWebフレームワークを使用したTechReach掲載案件の単価(2023年11月現在)は、55万円〜80万円の範囲となっております。
年収に換算すると660万円〜960万円相当となります。
業界 | メーカー |
ポジション | バックエンドエンジニア |
スキル | Python, AWS, Django |
単価 | ~80万円/月 |
職務内容 | 某大手飲料ブランドBtoC販促アプリのPythonバックエンドAPI開発者を募集します。現在第一開発フェーズが完了している新規サービスの拡張開発プロジェクトとなり、AWSサーバレス環境でのAPI開発の知見がある方の募集となります。新しい技術を積極的に採用しており、フルリモート環境での業務となります。新たな技術要素に柔軟に取り組める方がいらっしゃいましたら是非ご応募ください! |
本件は、Djangoフレームワークを使用した、API構築の案件です。AWSでサーバレス(Lambda、APIGateway)開発の実務経験が必須となっています。
機械学習系
弊社TechReachの取り扱うPythonを使った機械学習関連の案件の単価は、45万円~105万円の範囲となっております(2023年11月現在)
年収に換算すると540万円〜1260万円相当となります。
業界 | ビッグデータ |
ポジション | バックエンドエンジニア |
スキル | Python |
単価 | ~105万円/月 |
職務内容 | LLM(LargeLanguageModels)を用いたプロジェクト/プロダクトの企画・立案・開発を行っていただきます。・LLMに関連する技術動向や新技術の調査・研究・社内外の関連部署やパートナー企業との連携・協力・プロジェクト進捗管理、品質管理、スケジュール管理・LLMを用いたソリューションやプロダクトの企画・LLMに関連する開発の推進【本ポジションの魅力】・LLMの自社プロダクトへの組み込みが行える・証券会社や運用会社などの顧客と一緒にLLMの導入事例を作る経験・国内外問わず各分野のトップクラスのメンバーで構成された少数精鋭の組織のため、意思決定のスピードが早く、経営層との距離が近い・外国籍の社員も複数名在籍しており、全体のMTGは英語で行うなど、英語を生かしたい方にもマッチするグローバルな環境 |
本件は、ChatGPTで一躍有名になったLLM(大規模言語モデル)を用いた製品開発を企画・研究段階から担う案件です。英語力、LLM開発経験、機械学習や自然言語処理の経験が必須となっています。
Pythonフレームワークの今後
Pythonフレームワークは、将来的に市場の需要が増えると予測されます。Pythonの柔軟性と拡張性が背景にあり、IoTや人工知能などの先進技術領域での活用が期待されています。
先進分野での人材不足が見込まれるため、Pythonフレームワークの知識は価値を増すでしょう。特にTensorFlow、Keras、Pytorchのようなディープラーニングに特化したフレームワークの需要は拡大しています。
フレームワークの世界は常に新しい動きがあり、流行り廃りも激しいため、開発者として最前線で活躍するには、最新のトレンドを追い続け、新技術の習得を怠らず、将来性のあるプロジェクトへの参画を目指しましょう。
まとめ
- フレームワークは開発の効率化、保守性、セキュリティ向上に寄与
- フレームワーク選びは実績、機能、学習コストを考慮
- Django、Flask、FastAPIなどが人気フレームワーク
Pythonは、さまざまなシステム開発ができる汎用性の高いプログラミング言語でありながら、近年注目を浴びている機械学習や、人工知能開発、データサイエンスにも強い特徴があります。
フレームワークやライブラリの知識やスキルを持っていて損になることはありませんので、気になったものがあれば実際に使ってみるようにしましょう。
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TechReachを運営する株式会社アールストーンはIT・Web業界特化で15年以上の実績がございます。
そのため、高単価・高品質な数多くの案件紹介が可能です。
また一人のコンサルタントが企業と求職者様の担当を行う「両面型エージェント」を採用しているため、あなたの希望に合う案件がきっと見つかるはずです。
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