Nuxt.jsは、Vue.jsの利点を活かしつつ、開発効率とWEBサイトのパフォーマンスを高めるためのフレームワークです。
デフォルトの設定が充実しており、ファイルシステムベースのルーティングやレンダリング方式の切り替えが可能。プラグインやモジュールで機能拡張も容易で、開発者にとって使いやすい環境を提供します。
本記事では、Nuxt.jsの主な特徴やメリット・デメリット、インストール方法を解説します。
Nuxt.jsとは
Nuxt.jsは、Vue.jsをベースにしたJavaScriptのフレームワークです。WEBアプリケーション開発を効率化し、パフォーマンスを向上させることができます。静的サイトジェネレーターとしての利用も可能で、SEOに強いWEBサイトを構築するのに適しています。
国内でもNuxt.jsの採用例が増えています。ブログサービス「note」や、東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」などがNuxt.jsで開発されています。Nuxt.jsを使うことで、開発効率とWEBサイトの性能を高めることができるでしょう。
JavaScriptで利用できるフレームワークについて詳しくは下記の記事で解説しているので、併せてご参照ください。
関連記事:JavaScript言語のフレームワークはこの5つを押さえよう【2022年版】
最新バージョンはNuxt.js3
2022年10月にリリースされた「Nuxt 3」が、現在の最新バージョンです。Nuxt 3では、より高速な開発体験とパフォーマンスの向上が実現されています。
また、Nuxt.jsバージョン3からは「Nuxt 3」と名称が変更されました。変更はNuxt.jsが正式にTypeScriptをサポートするようになったため、名称からJavaScriptを表す「.js」を除いた形です。今後はNuxtフレームワークとして、さらなる発展が期待できるでしょう。
TypeScriptに関しては下記の記事で解説しているので参考にしてください。
関連記事:TypeScriptについて|JavaScriptとの関係性や特徴を解説
Nuxt.js4をリリース予定
Nuxt.jsの開発チームは、2024年6月までにNuxt 4をリリースする予定と発表しています。
Nuxt 4では、ユーザーにとってのアップグレード体験をよりよいものにするのを目指しているようです。Nuxt 3からNuxt 4への移行をスムーズにするため、段階的な変更を取り入れる方針とのことです。
Nuxt.jsは今後もアップデートを重ね、WEB開発の効率化とユーザー体験の向上に貢献していくことが期待されます。
Nuxt.jsの5つの特徴
Nuxt.jsの主な特徴を5つのポイントで解説します。
デフォルトの設定が充実
Nuxt.jsは、アプリケーション開発に必要な機能が一通りセットアップされているため、機能の追加や複雑な設定をおこなうことなく、簡単に開発環境を構築できます。
例えば、ルーティングやメタタグの設定、APIサーバーの作成などの機能が最初から用意されており、開発者は初期状態で効率的に開発を進められます。また、TypeScriptやSCSS、JSX/TSXなどの実質的な必須機能も、追加設定なしですぐに使えるようになっています。
軽量高速な動作
Nuxt 3は古い方法ではなく、新しいツール(Rollupやesbuild)の導入により、ファイルが小さくなり、 Viteの技術を活用して、開発サーバーの立ち上げやホットリロードも速くなりました。
また、不必要なデータを排除して、全体のパフォーマンスが向上し、ユーザーがWEBサイトを閲覧する際のページ読み込みも高速で、ストレスのないスムーズな体験を提供できます。
ファイルシステムベースルーティングを採用
Nuxt.jsでは、「pages」ディレクトリにVueファイルを配置するだけで、自動的にルーティングを設定できるファイルシステムベースルーティングを採用しています。
例えば、「pages/about.vue」ファイルを作成すると、自動的に「/about」のURLが生成されます。ファイルとフォルダの構造がそのままルーティングに反映されるため、直感的に理解しやすく、管理も容易になります。
CSR・SSR・SSGの切り替えが可能
Nuxt.jsでは、レンダリング方式を柔軟に切り替えられます。プロジェクトの要件に応じて最適な方式を選択でき、パフォーマンスの高いWEBサイトを構築できます。
CSR(Client Side Rendering)とは
WEBブラウザでJavaScriptを用いて、ページをリアルタイムで生成する方式がCSRです。
最初に最小限のHTMLとJavaScriptを読み込み、残りのページはクライアント側で作成されます。ページ遷移の際にサーバーとの通信が少なくて済み、高速な動作を実現できる反面、初回アクセス時にはJavaScriptの処理が必要となり、ロードに時間を要します。
SSR(Server Side Rendering)とは
SSRは、サーバー側でHTMLを生成し、クライアントに送信する方式です。
特に、Nuxt.jsなどではSSRの手法を用いています。サーバー側でページが完成し、完成した結果がクライアントに届くため、初回表示が速くなるという大きなメリットがあります。
しかし、ページ遷移ごとにサーバーへリクエストを投げる必要があるため、ページ数が多い場合はサーバーに負担がかかる点を考慮する必要があります。
SSG(Static Site Generation)とは
ビルド時(サイトの公開に向けた準備段階)にHTMLを生成し静的ファイルとして提供する方式がSSGです。
完全にレンダリングされたHTMLファイルがユーザーに送られるため、表示速度の向上が期待できます。
更新頻度が低いコンテンツに最適な選択肢とされていますが、内容を更新する際はビルドの再実行が必要な点に注意が必要です。
機能拡張が容易
Nuxt.jsを使うと、プラグインやモジュールを活用して、簡単に機能を拡張できます。
例えば、プラグインにより、外部ライブラリの組み込みや共通関数の定義が可能で、アプリケーション全体で使う共通メソッドを簡単に各コンポーネントから呼び出せます。
さらに、50以上の公式モジュールが用意されており、認証やPWAを手軽に追加できる点も魅力です。
Nuxt.jsはプラグインやモジュールによって柔軟に機能拡張ができるため、プロジェクトの要件に合わせてカスタマイズしやすいフレームワークです。
他のフレームワークとの違い
Nuxt.jsは、Vue.jsをベースにしたフレームワークです。Vue.jsの利点を活かしつつ、サーバーサイドレンダリングや静的サイト生成などの機能を追加しています。
以下では、Nuxt.jsと関連の深いフレームワークのVue.jsとNext.jsとの違いを見ていきましょう。
Vue.js
Vue.jsは、UIの構築を得意とするJavaScriptフレームワークです。特徴は軽量かつ柔軟なこと、そして学習がしやすいことにあります。
Nuxt.jsは、上記Vue.jsをベースにサーバーサイドレンダリング、静的サイト生成、自動ルーティングなどの機能を追加したフレームワークです。追加機能により、より大きな規模の高性能WEBアプリケーションの構築が可能になります。
Next.js
ReactをもとにしたフレームワークのNext.jsは、Nuxt.jsと同様にサーバーサイドレンダリングや静的サイト生成、自動ルーティングなどの機能を備えており、大規模なWEBアプリケーションの開発に対応します。
主な違いは、Next.jsがReactのエコシステムに、Nuxt.jsがVue.jsのエコシステムにそれぞれ依存している点です。各エコシステムへ依存する点が、両フレームワークの選択に大きな影響を及ぼしています。
Nuxt.jsのメリット・デメリット
Nuxt.jsを導入するうえで、メリットとデメリットを理解しておくことは大切です。以下では、Nuxt.jsのメリットとデメリットを詳しく解説します。
メリット
Nuxt.jsを導入するメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- ・学習コストが低い
- ・開発作業の効率化が期待できる
- ・SEO対策に役立つ
Nuxt.jsは充実した日本語ドキュメントを提供しており、学習コストが低いメリットがあります。特にVue.jsの知識があるエンジニアであれば、スムーズに移行できます。
次に、Nuxt.jsを導入すると、開発作業の効率化が期待できます。Nuxt.jsには、ルーティングの自動生成機能や、コードの自動分割機能など、開発作業を効率化するための機能が数多く搭載されています。機能を活用すると、開発者は実装作業に集中でき、生産性の向上が期待できます。
また、SEO対策にも有効です。サーバーサイドレンダリングによって、検索エンジンのクローラーにコンテンツを効率的に認識させることが可能となり、結果としてSEO効率が高まります。
デメリット
Nuxt.jsにはいくつかのデメリットも存在します。主なデメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- ・開発環境が限られる
- ・デプロイに時間がかかる
まず、Nuxt.jsはNode.js環境を必要とし、Node.jsに対応していない環境では使用が困難です。また、プロジェクトに導入する際、Nuxtが想定しているディレクトリに合わせて、既存のディレクトリ構成を変更する必要が生じる場合もあります。
次に、Nuxt.jsを使用してSSRを実現する場合、デプロイに時間がかかるデメリットがあります。SSRを実現するためには、Node.jsをサーバー上で動作させる必要があります。そのため、デプロイ作業が複雑になり、静的サイトと比較してデプロイに時間がかかってしまいます。
Nuxt.jsのインストール方法
Nuxt.jsをインストールするには、以下の3つのステップを踏みます。
①Node.jsをインストール
- ・① Node.jsの公式サイトにアクセス
- ・②自分のOSに合った推奨版(LTS)のインストーラをダウンロード
- ・③ダウンロードしたインストーラを実行し、指示にしたがってインストール
インストールが完了したら、ターミナル(macOS)やコマンドプロンプト(Windows)で以下のコマンドを実行し、Node.jsとnpmのバージョンが表示されることを確認しましょう。
node -v
npm -v
②Nuxt.jsをインストール
- ・プロジェクトの作成
- ・Nuxtのインストール
- ・必要なパッケージのインストール
Node.jsのインストールが完了したら、Nuxt.jsをインストールします。以下のコマンドを実行すると、カレントディレクトリに「nuxt-sample」ディレクトリが作成され、nuxt-sampleディレクトリ中にNuxt.jsプロジェクトが生成されます。
npx nuxi@latest init nuxt-sample
プロジェクトの作成が完了したら、以下のコマンドを実行して「nuxt-sample」ディレクトリに移動し、必要なパッケージをインストールします。
cd nuxt-sample
npm install
③実行
- ・Nuxt.jsの開発サーバーを起動
- ・ブラウザで開発サーバーにアクセス
必要なパッケージのインストールが完了したら、以下のコマンドを実行して開発用にNuxt.jsを起動します。
npm run dev — -o
開発サーバーの起動が完了すると、ターミナルに以下のようなメッセージが表示されます。
※バージョン番号は実際と異なる場合があります。
Nuxt 3.11.2 with Nitro 2.9.6
➜ Local: http://localhost:3000/
表示されているURLにWEBブラウザでアクセスすると、Nuxt.jsの初期画面が表示されます。(上記コマンドは自動的に標準のWEBブラウザを開きます)
以上で、Nuxt.jsを使ったWEBアプリケーションの開発を始められます。
※開発サーバーを停止したい場合は、ターミナル・コマンドプロンプトでCTRL+C(2つのキーを同時)を押してください。
Nuxt.jsの充実した機能と優れた開発者向け機能を活用して、高品質なWEBアプリケーションを効率的に開発していきましょう。
まとめ
Nuxt.jsはVue.jsの開発体験を一新するメタフレームワークです。本記事で確認したように、デフォルトの最適化設定や、SSR/SSG対応、ファイルベースルーティングなど、開発者にうれしい機能が盛りだくさんです。
一方で、学習コストもそれなりにあることがデメリットでしょう。しかし、Nuxt.jsを使いこなせば高い生産性が期待できます。
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