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フリーランスになるには?必要書類の準備から手続きまで解説

組織などに属さず、独立してさまざまな案件をこなすフリーランスという働き方が、昨今増えてきています。しかし、いざフリーランスになりたいと思っても、どうやってフリーランスになればよいかわからない、またフリーランスとしてやっていけるのだろうか、と考えている人も多いと思います。

この記事ではフリーランスとは何か、フリーランスになる方法と必要な手続きなどについて、わかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

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フリーランスとは

組織などに属さず、独立してさまざまな案件をこなす人のことをフリーランスと呼びます。似たような言葉に、フリーター、自由業、自営業、個人事業主など複数あり、それぞれ意味や使い方などが混同、重複して使われることもあります。

令和3年3月に内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連盟により発表された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」によれば、フリーランスとは、

実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指す

と定義されています。

つまり、会社に属すことなく個人で働く場合だけでなく、個人が法人を設立して従業員を雇うことなく一人で働く場合も含めてフリーランスということです。

令和2年5月、上記ガイドライン作成のためにおこなわれたフリーランス実態調査結果によれば、フリーランスの人口は462万人(2020年調査)、内閣府の発表では341万人(2019年調査)、中小企業庁の発表では472万人(2019年調査)、厚生労働省の発表では367万人(2019年調査)となっています。

また、ランサーズ社の新・フリーランス実態調査 2021-2022年版では、1118万人(2019年時点)、1062万人(2020年時点)と発表されています。

各調査結果からも、フリーランスの人口のみならず、対象(※下図参照)にもばらつきがあることがわかります。

このように、フリーランスの実態の把握が難しく、長らく社会的な課題となっていました。

 

【対象】

内閣官房内閣府中小企業庁厚生労働省ランサーズ
自身で自営業を営んでいる自身で自営業を営んでいる自身で自営業を営んでいる自身で自営業を営んでいる副業系すきまワーカー
従業員を雇用していない従業員を雇用していない従業員を雇用していない従業員を雇用していない複業系パラレルワーカ
実店舗を持たない実店舗を持たない実店舗を持たない実店舗を持たない自由業系フリーワーカー
農林漁業従事者ではない農林漁業従事者ではない農林漁業従事者ではない農林漁業従事者ではない自営業系独立ワーカー
業務の委託を受けている
事業者が直接の取引先

※内閣官房、内閣府、中小企業庁、厚生労働省のいずれも、法人の経営者を含む

 

新・フリーランス実態調査 2021-2022年版によれば、フリーランスはコロナ禍を境に増加傾向にあると指摘しており、2020年は1062万人だったフリーランスの人口が、2022年には1577万人に増加しています。コロナ禍を境に562万人ほど増加している計算です。

リモートワークの普及などにより、インターネットを利用して単発の仕事を請け負うなどの個人で働く就業形態(ギグ・エコノミー)の拡大など、今後、高齢者雇用や働き手の増加などが期待されています。と同時に、フリーランスの実態の把握と、働くための環境整備が急務となっています。

会社員の違いとは

会社員とは、会社と正規に雇用契約を結んだ従業員のことです。従業員のなかには、非正規の雇用契約を結ぶパート、アルバイトなどがあります。役員は会社と委任契約を結んでおり、従業員には含まれません。また、会社と業務委託契約を結んだり、請負契約を結び単発の仕事を発注する個人事業主もいます。

以下、フリーランスと会社員の違いを簡単に表にまとめました。

 

会社員フリーランス
企業(一人会社を除く)との関わり方正規の雇用契約業務委託契約請負契約
給与月額月額、または案件ごと
出勤出勤を求められる場合が多い出勤しなければならない場合もある
勤務時間指定ありの場合が多い指定がない場合もある

個人事業主の違いとは

個人で事業を営む事業主を個人事業主といいます。個人事業主の対になる言語が、法人です。

個人事業主はフリーランスであるといえますが、フリーランスは一人法人の経営者も含まれます。

フリーランスのメリット

フリーランスのメリットについて、主に会社員と比較して解説します。

成果に応じて収入が上がる

会社員は成果をあげても、すぐに収入に結びつくことは滅多になく、出世や給与査定に影響の出るような成果をあげて、ようやく給料が増えるという場合が多いですが、フリーランスは自らの成果がダイレクトに収入に影響します。

例えば、請負契約など単発で案件を受注する場合は、単価を高く設定したり、受注量を増やすことで、収入を増やせます。また、業務委託契約の場合、条件のよい現場にアサインすることで、収入を増やせます。個人経営の場合も、売上を増やし、自らの給料を高くすることで、収入を増やせます。

税金の負担が減る

会社員は経費を利用できないかわりに、給与所得控除があります。それに対して、フリーランスは、経費と青色申告特別控除額を併用できます。併用した結果が、給与所得控除よりも大きければ税負担は減ります。

また、小規模企業共済をはじめとした、さまざまな節税対策を利用することで、税金の負担額を減らすこともできます。

定年などに縛られない

会社員は「高年齢者雇用安定法」により70歳までの定年化、あるいは本人の希望により70歳まで引き続き雇用(継続雇用制度)の施行、を努力義務としていますが、フリーランスに定年はありません。そのため、フリーランスは定年後の高齢者の働き方としても期待が寄せられています。

フリーランスのデメリット

フリーランスのデメリットについて、主に会社員と比較して解説します。

収入が不安定になる

会社員は給与としてあらかじめ決められた給与を受けとりますが、フリーランスは業務委託や運用・定期案件などで月額固定支払いの契約などを結ばない限り、基本的に不安定な収入になります。

また、収入に直結するような仕事をしていなかった場合でも、会社員であれば会社からの指示を守っている限り、給料が支払われますが、フリーランスは収入になりません。

他にも、有給休暇や労災など、会社員であれば休んでいる間も収入を得られる制度もありますが、フリーランスは受けることができません。一人法人の代表者以外は、ボーナスや賞与もフリーランスにはありません。

審査が通りにくくなる

会社員と比較して、収入の不安定なことや、社会的な信用が低いことなどから、賃貸契約や、住宅ローンなど、審査が必要なさまざまなサービスが利用できなくなる可能性もあります。

将来もらえる年金が減る

会社員は厚生年金に加入しますが、フリーランスは会社員の副業や、一人法人の代表者などを除き、国民年金に加入することになります。国民年金は厚生年金に比べて、将来もらえる年金額が低い可能性があります。

そのため、将来にそなえて、iDeCo(イデコ)や小規模企業共済などの利用を検討するのも悪くありません。

確定申告に手間がかかる

一年間に一定以上の所得がある場合などに、翌年に確定申告をおこなう必要がある場合があります。確定申告は、確定申告書の作成と提出をおこなうとともに、所得税を納税しなければなりません。

会社員であれば、確定申告は会社がおこなってくれますが、フリーランスは自分で確定申告をする必要があります。

その際に、青色申告控除を利用する場合、複式簿記などの帳簿をこまめにつけていく必要がありますし、青色申告控除のメリットを最大限受けるには、電子申告(e-Taxによる申告)、あるいは電子データ保存(電子帳簿保存)などへの対応も必要になります。

フリーランスになるために必要なこと

フリーランスになるために必要なことについて解説します。

スキルや経験をつんでおく

フリーランスとして独立するには、事業所得を得ていく必要があります。事業を継続していくには、ノウハウやスキル、経験などが必要です。そのため、会社員時代からスキルや経験を培っていくとよいでしょう。

また、会社員時代とは別の事業をおこなう場合も、会社員時代から副業などをしながら、スキルを磨いていくことをおすすめします。

下記、未経験からでも比較的取りかかりやすいスキルをご紹介します。

 

・ライティング

紙媒体の記事や、Web上のテキストを作成するスキルです。 取材やインタビューが必要な場合もありますが、ライティングの作業自体はパソコンなどを使って一人で完結できるため、副業としておこなっている人も多く、おすすめのスキルです。

 

・プログラミング

システムやソフトウェアなどを作るために、コンピューター言語を用いるスキルです。プログラミング言語には流行り廃りがあり、また種類も多いため、どのプログラミング言語を学べばよいか、は難しいところですが、案件としては、需要が多く、単価も高いため、おすすめのスキルとなります。

 

・クリエイティブ系(Webデザイン、イラストレーターなど)のスキル

Adobe XDやFigmaなどを用いて、Webサイトのデザインをしたり、AdobeのIllustratorやPhotoshopなどを用いてデザインパーツやイラストを作成したりするスキルです。見た目に影響してくるスキル領域のため、クライアントに提案する機会も多く、コミュニケーションスキルもつんでおくとよいでしょう。

 

・マーケティング系(Webマーケティング)のスキル

クライアントのWebサイトやSNSなどに、集客をするためのスキルです。Googleの検索エンジンの最適化をおこなったり、広告やSNSの運用をおこないます。

Webにおける日本の広告需要は年々上昇しており、Webマーケティングの需要も高まっています。

仕事口を確保しておく

独立してから営業などをおこない仕事を探し始めても、すぐには収入になりません。可能なら独立前から収入源の確保をしておくとよいでしょう。

会社員時代からのコネクションがあればそれを活用するのが理想的ですが、コネクションが十分にない場合は、副業を検討してみてください。副業が徐々にうまくいくようになり、本業の収入を上回るようになってから独立を目指すのが、理想的です。

貯金をしておく

会社を設立した際に、事業の元手となる資本金が必要なように、フリーランスとして事業を始める場合も、貯金をしておくとよいでしょう。

事業開始時は、収入が不安定なうえ、生活費や営業などの費用も必要になります。最低でも、1〜2ヵ月分の生活費に相当する金額を貯金しておきましょう。

人とのつながりを作っておく

新・フリーランス実態調査 2021-2022年版によれば、仕事の獲得方法として「人脈」と解答した人が全体の44.6%と最も多い結果となっています。人脈はすぐには構築できないため、会社員時代からの人脈作りをしておくとよいでしょう。

また受注し、実際に仕事をする際も、チームで作業できるようなつながりを作っておくとよいでしょう。お互いの作業領域をカバーし合うことで、幅広い仕事をこなせるようになります。そのことがクライアントに評価されれば、徐々に相談される機会も増えてくるでしょう。

審査がある手続きは済ませておく

デメリットの項目で解説しましたが、フリーランスになると審査が通りにくくなります。例えば、住宅ローンは、起業後3年以上経過していないとローンを組めない、という金融機関が多いです。場合によっては、退職前に住宅ローンを組むなど検討するとよいでしょう。

納める税金や社会保険について簡単に解説

フリーランスになってから納める税金と社会保険料について解説します。

所得税

所得税とは、一年間の給与所得や事業所得などの所得の合計から経費を引いた課税所得に、所得に応じた税率をかけ合わせた金額を支払う税金のことです。

また、所得に応じた税率のことを、累進税率といいます。

会社員であれば、会社が確定申告をおこない、納税までおこなってくれるため、あまり意識をしたことがないかもしれませんが、フリーランスは、自分で確定申告をし、所得税を納める必要があります。

所得税の金額がいくらになるのか、簡単に求めるための表は下記のとおりです。

 

(所得税の速算表)

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超 330万円以下10%97,500円
330万円超 695万円以下20%427,500円
695万円超 900万円以下23%636,000円
900万円超 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

参考:所得税の税率(国税庁ホームページ)

住民税

住民税は、前年度の所得に応じて決まり、非課税限度額を上回る際に定額に課せられる均等割(5000円)と、納税義務者の所得金額に応じた所得割(課税所得額の10%)の合計金額が徴収されます。

会社員であれば、会社が特別徴収(12回に分けて分納)という方法で代わりに納税に必要な手続きをしてくれ、毎月給料より天引きされますが、フリーランスは確定申告をおこない自分で手続きをおこなったうえで、一括または年4回(6月、8月、10月、1月)の分納のいずれかを選び、選んだ方法により徴収されます。

個人事業税

会社員をしていたころにはあまり聞きなじみがない言葉かもしれませんが、個人で事業を営む場合、事業が法定業種(地方税法等で定められた事業)に当てはまる場合、自治体(都道府県)に事業税を納める必要がある場合があります。

課税所得から事業主控除(290万円)を引き、業種ごとに設定された税率(3〜5%)により求められます。

申告は、確定申告の際に、申告書の「事業税に関する事項」に必要事項の記入によりおこないます。徴収は8月、11月の年2回です。

 

参考:法定業種と税率(東京都主税局ホームページ)

消費税

法人、フリーランス含め、事業の対価をえる際などに課税され、対価に対して一定の消費税率(標準税率10%、軽減税率8%)によって税額が決まります。

消費税は広く公平に課されますが、二重三重に加算されない仕組みとなっており、最終的に消費者が負担した消費税を、納税義務者である事業者が納税します。

納税義務者(課税事業者)とは、

課税期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)の基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超える事業者

のことですが、納税義務のない事業者を免税事業者といいます。

なお、免税事業者も課税事業者になることを選択できます。

課税事業者となった場合、

個人事業者は翌年の3月末日までに、法人事業者は年度末より2ヵ月以内に、消費税の申告と納付をする必要があります。

令和5年10月1日よりインボイス制度が開始されます。下記の記事も併せてご覧ください。

 

関連記事:フリーランスが知っておくべきインボイス制度について解説

健康保険

会社員であれば、会社が日本年金機構に健康保険の加入手続きをし、会社から保険証などが支給されます。副業や、一人法人の事業者以外のフリーランスは、自分で年金事務所におもむくなどして手続きし、国民健康保険に加入することになります。

また、会社員は健康保険料の半額を会社と折半になりますが、国民健康保険に加入したフリーランスは、保険料の全額負担となります。

国民年金

会社員であれば、会社が日本年金機構に厚生年金の加入手続きをし、毎月の給料から天引きし、支払いをおこないます。副業や、一人法人の事業者以外のフリーランスは、自分で市・区役所や町村役場などにおもむくなどして手続きし、国民年金に加入することになります。

厚生年金は、国民年金にも自動的に加入しているため、年金を受け取る年齢になった際に受け取れる年金は厚生年金のほうが多くなります。

そのため、将来が不安の際は、フリーランスのデメリットの項目でも解説しましたが、iDeCo(イデコ)や小規模企業共済などの利用を検討してもよいでしょう。

フリーランスになるための手続きについて

会社員を辞めて個人事業主となるための手続きについて解説します。

健康保険と国民年金を切り替える

退職後は、会社に健康保険証を返却し、市・区役所や町村役場などにおもむくなどして、退職日がわかる証明書、基礎年金番号、本人確認できるものを持参し、国民年金、国民健康保険(職場の健康保険を任意継続する場合や、他の健康保険を利用する場合を除く)への加入手続きをします。

 

参考:転職・退職したときの手続き(日本年金機構ホームページ)

開業届を提出する

税務署に個人事業の開始を知らせる「開業届の手続き」をします。開業届の届出は、主に「青色申告承認申請手続」をおこなうためにおこないますので、同時に手続きをします。

開業届を出さなかった場合も、その年の確定申告をおこなうことはできますが、白色申告となります。

 

参考:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

   [手続名]所得税の青色申告承認申請手続

その他に準備すること

上記の手続きが終わればいよいよ事業の開始です。事業開始から準備していくとよいものについて解説します。

 

・複式簿記のひな形

青色申告控除を利用するには、複式簿記を付けていく必要があります。定期的に記入していくものなので、あらかじめひな形を作り準備をしてくとよいでしょう。

 

・仕事用の口座

事業用と個人用の口座を共用すると、複式簿記に事業主借で処理しなければならない項目が増えるので、可能であれば用意するとよいでしょう。

 

・その他必要なもの

見積書や請求書のひな形や、営業用の名刺なども適宜用意していくとよいでしょう。

フリーランスが活躍している職種

新・フリーランス実態調査 2021-2022年版によれば、平均収入の多いフリーランスは、士業、経営・企画職に引き続き、ITエンジニアとなっています。

弊社テックリーチの求人では、ITエンジニアのうち、システムエンジニア(SE)がもっとも多く、1879件、次にバックエンドエンジニアが1013件、アプリケーションエンジニアが832件、フロントエンジニアが569件となっています。

また、新・フリーランス実態調査 2021-2022年版の今後習得したいスキルでは、20~40代

がプログラミングを最も習得したいスキルとしてあげています。

まとめ

自分で好きな仕事が選べるフリーランスは、魅力的な働き方にみえるかもしれません。しかし、デメリットもあり、必ずしもうまくいくとは限りません。この記事を参考に、フリーランスになるための準備を少しずつ進めていってください。

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