エンジニアの方にとって、利用しているプログラミング言語の年収相場や将来性は知っておきたい情報のひとつです。この記事では、Rubyエンジニアの案件内容や必要になるスキル、年収アップのコツなども解説しています。ぜひともご確認ください。
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Rubyとは
1995年に日本人のまつもとゆきひろ氏が開発、リリースしたオブジェクト指向のスクリプト言語で、日本人が開発したプログラミング言語として初めて国際電気標準会議(IEC)という国際規格に認定されました。
オブジェクト指向とはシステム構成の考え方のひとつで、システムをクラスという単位にまとめ、クラスごとの関連性で開発をしていく概念です。スクリプト言語とは、プログラム言語の特徴で区別をしたもののひとつで、記述したプログラムを機械語に変換するコンパイルが不要で、文法が簡単で分かりやすいものになっています。
Rubyはこれらの特徴に加え、コードがシンプルで分かりやすくなっており、オープンソースで学習コストも低くなっているため、初学者の方にもおすすめできるプログラム言語のひとつです。
関連リンク:Rubyエンジニアの業務内容・年収や将来性について解説
言語の特徴
日本人が作ったプログラミング言語のため、日本語のドキュメントが多数用意され、学習しやすい環境が整っていることも魅力的な特徴のひとつです。Rubyが主に利用される場面は、WebアプリケーションやWebサイトの開発で、HuluやAirbnb、クックパッド、食べログなどの有名なWebサービスでも使われています。
また、RubyはこれらのようなWebサービスの開発以外にも、顧客情報などを管理する基幹系システムの開発や、クローリング、スクレイピングといったデータ収集のプログラムを開発することもできます。
関連リンク:クローリングとは?スクレイピングとの違いやSEO対策での意味を解説
Ruby on Railsの開発経験を求められやすい
Ruby on RailsはWebアプリケーションを簡単に開発することができる、フレームワークという枠組みのひとつで、2004年にデンマーク人のデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏によってリリースされました。
Ruby on Railsを使えば素のRuby開発よりも簡単にWebアプリケーション開発ができるようになります。そのため、Ruby on Railsはリリースされてから世界中で使われるようになり、JavaのPlay FrameworkやPHPのCakePHP、Laravelなどの後発のフレームワークにも大きな影響を与えました。
2004年のリリースながら、Ruby on Railsは現在でも広く使われているフレームワークです。実際に弊社TechReachでの案件数では、Rubyのスキルのみを求める案件より、Ruby on Railsのスキルを求める案件の方が多くなっています。そのため、Rubyエンジニアとしてステップアップをする際は、Ruby on Railsは必須スキルということができるでしょう。
Rubyエンジニアの年収
弊社でのRuby案件全201件の平均月収は約73万円となっており、年収に換算すると約876万円、月収幅は30万円〜115万円となっています。(2022年7月現在)
平均月収あたりに求められるスキルでは、RubyあるいはRuby on Railsでの開発経験3年以上を求めるものがほとんどで、案件によっては他のプログラミング言語やAmazonのパブリッククラウドであるAWSでの開発経験を求めるものもあります。
また、開発経験1、2年で応募可能な案件はかなり少なく、そのような案件は月単価も低くなる傾向があります。
Rubyの高単価案件には幅広い知識・スキルが求められる
月単価90万円以上になると最低でもRubyやRuby on Railsでの開発経験が3年以上、なかには5年以上を求めるものもあります。加えて、RubyやRuby on Railsだけのスキルではなく、Go言語やJava、JavaScript、PHPなどの他言語の開発経験を求めるものがほとんどです。
さらに、JavaScriptのライブラリであるReact.jsのスキル、AWSやGCPのパブリッククラウドのスキル、プロジェクトマネージャーの経験など、プラスアルファのスキルがないとRubyで高単価案件を獲得することは難しくなっています。
Rubyエンジニアとして年収をあげるには
Rubyエンジニアとして年収を上げるためには、まずは主要な開発案件であるシステムエンジニアやバックエンドエンジニアのスキルを身につける必要があります。その後にフロントエンド関連のスキルや、上述したようなプラスアルファのスキル、経験を身につけていきましょう。
知識の幅を広げる
まずは主要なWebサービスや基幹システム開発など、バックエンドでの開発実績を積んでいきましょう。その後のスキルとしては、Webサービス開発に注力するか、基幹システム開発に注力するかで学んでいく対象が変わってきます。
Webサービス開発では、バックエンド開発とフロントエンド開発、両方のスキルを求める案件があります。そのため、フロントエンド開発の必須スキルである、HTTP、CSS、JavaScriptや、後述するReact、Vue.jsなどのライブラリなども押さえておきたいところです。
基幹システム開発では、オープンソースのRDB(リレーショナルデータベース)管理システムのMySQLのスキルを求める案件が38件、サーバーOSのLinuxのスキルを求める案件が20件となっています。
これらは基幹システム開発に必須のスキルではありません。しかしながら、開発したシステムではデータベースからデータを取り出すケースが非常に多くなるため、MySQLやLinuxなどのサーバー関連の知識もステップアップには必要になってきます。
加えて、弊社のRuby案件ではAmazonのAWSが85件、GoogleのGCPが32件、MicrosoftのAzureが13件と、パブリッククラウド上でシステム構築をするケースが増えてきています。これらのスキルも高単価案件で求められる機会が多くなっているので、ご自身の方向性によっては必須スキルと成りうるでしょう。
また、実務経験の観点では、プロジェクトマネージャーや要件定義・設計から関わる上級エンジニアになると月単価が上がりやすくなります。これらは既存の仕事でポディションに着かなければ、経験することができません。そのような理由から、将来的にフリーランスとして高単価を得ようと思った場合、日々の業務からステップアップを意識して、経験を積んでいくことが必要になります。
フレームワークを学ぶ
弊社のRuby案件では、JavaScriptのライブラリであるReactのスキルを求めるものが54件、同じくJavaScriptのフレームワークであるVue.jsのスキルを求めるものが31件となっています。
これらはフロントエンド開発で近年人気が出ているものになっており、ReactとVue.jsどちらかのスキルを持っているだけでも選べる案件の選択肢が広がります。また、Rubyのスキルと合わせることでバックエンドとフロントエンドの開発に対応できる、レベルの高いエンジニアと判断されるでしょう。
Rubyのフレームワークに関しては、弊社案件ではRuby on Rails以外のスキルを求めるものはありません。他社案件でも同じような状態になっているため、Rubyをメインに扱うエンジニアの方はRuby on Railsを習得し、対応できる範囲を広げておきましょう。
また、フロントエンド開発の必須スキルであるJavaScriptについてまとめた記事がありますので、よければこちらも確認してみてください。
関連リンク:JavaScript言語のフレームワークはこの5つを押さえよう【2022年版】
Ruby案件を安定して受注するには
ここでは主に、フリーランスの方が安定して案件を受注していく方法をお伝えします。
エージェントを利用する
フリーランスが案件を獲得していく方法としては、自身での営業や知人などの紹介を通す直営業と、エージェントやクラウドソーシングなどの仲介企業を通す方法があります。
直営業が得意な方は、ご自身の方法で案件を獲得することもできるでしょう。しかしながら、フリーランスになりたての場合は直営業で案件を獲得することも難しくなってきます。また、直営業の場合は各種交渉や契約書、請求書などの作成も自身でおこなう必要があるため、業務以外での負担も多くなってしまいます。
そのため、案件探しや契約、請求までのシステムが整っているエージェントか、クラウドソーシングを利用することをおすすめします。なかでもエージェントでは、担当が付くことがほとんどであるため、キャリアプランや案件探しでの相談や、担当者からおすすめの案件紹介などのサービスを受けることもできます。
加えて、エージェントでは案件の契約期間が切れる前に、次の案件を担当者と一緒に探していくことができるため、継続的な仕事の獲得もしやすくなります。フリーランスは案件を獲得し続けなければ収入を増やしにくくなってしまうため、この点は大きなアドバンテージといえるでしょう。
関連リンク:フリーランスエンジニアで年収2000万円は達成可能?案件の相場から考える
業務外でも学ぶ
フリーランスは基本的に即戦力としての参画が期待されるため、精神的な理由から自身が持っているスキル以外の業務に応募しづらくなる傾向があります。そのため、今持っているスキルの切り売りになってしまい、会社員に比べると業務を通しての成長が鈍化する可能性が出てきます。
その点をカバーするため、また、先に述べたようにRubyエンジニアとして年収を増やすためにも、業務外で学んでいく必要があるといえます。まずはRuby on Railsを習得し、自身の進みたい方向性に沿って、サーバー系の知識かフロントエンド開発の知識を深めていきましょう。
Rubyのニーズについて
JavaやPHPなど、他のバックエンド開発で利用されるプログラミング言語に比べるとRubyの案件数自体は少なくなっています。なぜなら、RubyやRuby on Railsからシステム移行をしている企業や、新規開発で他言語を利用するケースが少しずつ増えているからです。
特にRuby on Railsに影響を受けたPHPのフレームワークLaravel、機械学習などで需要が増えているPythonのフレームワークDjangoと比べると、約20年の間にGoogleトレンドでの検索数も逆転しています。
Ruby on Railsは2004年、Djangoは2005年、Laravelは2011年にリリース。
しかしながら、現在でもRubyやRuby on Railsで開発されているシステムは多くあり、弊社案件数でも2022年5月の137件に比べ、2022年7月では201件と増加傾向にあります。加えて、Rubyは学習コストが低く、素早い開発が可能なためスタートアップ企業の開発で選ばれやすいという特徴があります。そのような理由から、Rubyは今後も一定の需要を保つことが見込まれています。
また、全体的なクライアントのニーズとしては、Ruby以外のスキルを求めるものがとても多くなっているという特徴があります。その証拠に、Rubyの知識に加えてAWSのスキルが85件、Reacのスキルが54件、MySQLのスキルが38件と、案件を獲得していくためには複合的な知識が必要になるといえるでしょう。
まとめ
RubyやRuby on Railsの需要が急速に失われていくことは考えずらく、弊社案件数のように業界全体でのニーズが増加していく可能性もあり得ます。年収相場は他言語に比べて低くなっているわけではありませんので、スキルさえ身につければフリーランスでも十分に稼いでいけるプログラム言語といえるでしょう。
しかしながら、年収を上げるためには複合的なスキルや経験が必要になるため、サーバー関連かフロントエンド開発で差別化できるよう努力をしていかなければなりません。自身の適性を見極め、エンジニアとしてスキルアップをしていくよう考えていただければと思います。
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