フリーランスになって、ようやく仕事を受注できて、納品までこぎつけることができた。その後に待っているのが、請求書の作成です。面倒くさいと思っても、請求書を作らなければ、肝心の売上代金を受け取ることができません。この記事では、このポイントだけ抑えておけば作れる、という簡単な請求書の作り方について解説していますので、ぜひご覧ください。
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フリーランスでも請求書は発行すべき?
下請法によれば、
下請事業者からの請求書の提出のあるなしにかかわらず、受領後60日以内に定めた支払期日までに下請代金を支払う必要がある
、としています。つまり、請求書を発行しなくても、発注元は下請代金を支払う必要があります。実際、法律では、
「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」(民法522条2項)
となっており、メールなどの文章で合意した内容でも、支払いをおこなうことが可能です。
ですが、請求書がないと、どのような作業内容に対して請求がおこなわれたのか、ということが曖昧になりやすく、言った言わない問題などのトラブルが発生しやすくなります。同様に、税務調査が入った際などに、その曖昧性を指摘される可能性も出てきます。
請求書には、曖昧性を回避し、取り引きの内容を証明する役割があります。もっと言えば、そうした内容を請求書に盛り込む必要がある、と言えますが、詳しくは後述します。
発行すべきタイミング
請求書の発行タイミングは、多くの場合、納品後になります。場合によっては、着手前に着手金(手付金)という形で請求する場合もあります。いずれの場合も、クライアントと相談してしかるべきタイミングに発行します。多くの場合は、納品後すみやかに、もしくは月末に、クライアントの締め日に合わせるかなど、になります。同じ月に複数の納品物があった場合は、都度方式(納品の度に代金を支払う方式)か掛売方式(まとめて代金を支払う方式)かを選ぶことになりますが、こちらについてもクライアントと相談して決めると良いでしょう。
フリーランスの請求書の書き方
上記で、請求書は取り引きの内容を証明する役割がある、と説明しましたが、では実際にどのような項目があれば、取引内容の証明になるのでしょうか。必要な5項目と、その他についても解説します。
発行日
請求書には、発行日の記載が必須です。発行日とは、取引年月日のことで、実際に取引がおこなわれた日になります。多くの場合、この日付は、クライアントの締め日になります。請求書を作成した日と必ずしも一致しない場合があるので注意しましょう。特に期をまたぐ際は、本来その年に入れるべきだった売り上げを、次年度に繰り延べてしまうことになるので注意が必要です。
差出人の氏名
請求書には、差出人(自分)の氏名または名称(屋号など)の記載が必須です。また、インボイス制度開始後は、適格事業の場合、クライアントが仕入税額控除を受けるために、登録番号の記載が必要です。
インボイス制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
関連記事:フリーランスが知っておくべきインボイス制度について解説
請求書の宛先(請求先)
請求書には、請求先が法人であれば法人名、個人であれば氏名又は名称などの記載が必須です。請求先が分からない場合や、正式名称が不明な場合は、クライアントに相談すると良いでしょう。
請求内容および商品内容
請求書には、取引内容の記載が必須です。品名、単価、数量、金額などの項目を入れるのが一般的ですが、クライアントから指定がある場合は、適宜合わせます。
請求金額
請求書には、請求金額の記載が必須です。税抜き価格の合計を小計とし、小計から消費税や源泉徴収税などを割り出し、合計金額を出します。小計、消費税、合計金額をそれぞれ記載するのが一般的です。
その他
以上5項目は、あくまで取引の証明に必須の項目についての解説になりますが、他にも請求書によく記載される項目や、記載されていないと不自然な項目もあるため、そうした項目についても解説します。
支払期日
支払期日は、クライアントから振り込んで欲しい期日を記載します。翌月末支払い、翌々月末支払いなどが一般的です。下請法でも、
受領後60日以内に定めた支払期日までに下請代金を支払う必要がある
とあるため、60日以内に設定すると良いでしょう。
クライアントにも、支払いサイクルがあるため、どうしても早く振り込んでもらいたい場合は、クライアントに相談すると良いでしょう。
振込先
振込先には、クライアントから振り込んで欲しい銀行口座を記載するのが一般的です。クライアントが正しく入金できるように、金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号、口座名義などを適宜記載します。
請求番号
請求書番号は、自分のデータ管理目的で記載します。数字で管理することで、検索性が高くなり、また請求漏れや二重請求などのミスを減らしたりするのに役立ちます。
備考欄
備考欄には、補足事項を記載します。よく記載する内容は、振込手数料を相手に負担してもらいたい際などに記載します。また、支払期日・振込先などの情報をこちらに記載する場合もあります。
フリーランスの請求書のサンプル
上記を踏まえた請求書のサンプルを掲載します。
請求書に必須の5項目について記載漏れがないか確認しましょう。
請求書を作成するときの注意点
請求書を作成するときの注意点について解説します。
金額の記載
金額の前に円記号の『¥』を書くか、金額の後に『円』と書く場合があります。『¥』は日本円(Japanese Yen)だけでなく、人民元(Chinese Yuan)も表します。あまり機会はないかもしれませんが、海外との取引の際は注意が必要です。また、『¥』や『円』を入れずに、数字だけを用いる場合もあります。数字は3桁区切りでカンマを入れます。その場合も、合計金額は『¥』か『円』のいずれかを用いるのが一般的です。
源泉所得税の記載
源泉所得税の記載が必要な場合のみ記載します。源泉所得税は、小計に源泉徴収税率を掛けた値を、小計と総額の間に記載するのが一般的です。また、源泉所得税は小計から引かれるため、金額の前に『-』または『△』を用います。
振込手数料の負担
民法に持参債務の原則があり、支払う側(クライアント)が振込手数料を支払うのが一般的です。ですが、合意があれば、受け取り側(こちら)が負担する場合もあります。
請求書の保存
フリーランスには請求書の保存義務があり、期間は5年間(インボイスは7年間)です。保管方法は請求書をプリンターなどで印刷し、年度ごと、月ごと、クライアントごとなどに分類し保存するのが一般的です。
請求書の作り方
請求書の作り方について解説します。
テンプレートを使う
請求書には決まった形式がないため、手作りでも問題ありません。その際は、これまでの記事の内容を参考に、請求書に必須の5項目や、フリーランスの請求書のサンプルなどを見ながら作成してみてください。
ですが、インターネット上にサンプルとして公開されているエクセルデータが多数あるため、そうしたテンプレートを活用するのが最もお手軽です。
コストも発生しないため、最初のうちはこの形で運用するのが良いでしょう。
ソフト・クラウドサービスを使う
クライアントから指定されて使用する場合が多いと思いますが、請求書発行システムなどのクラウドサービスを活用するのも一つの方法です。請求書の作成のみならず、郵送したりメールに添付したりといった手間をかけずに、ソフトウェア上で添付するだけで送付できるため、お手軽です。
手作りの請求書やテンプレートは、電子帳簿保存法や、インボイス制度といった、法律の改正などがあった際に、改めて作り直す必要が出てくることがありますが、サービス側で対応してもらえるのも、サービスを活用するメリットといえます。
請求書発行代行サービスを使う
自分からクライアントに請求書を発行する代わりに、サービス会社がクライアントに発行してくれるサービスです。ある程度の案件数をこなすようになると、毎月の請求書の作成や、請求書の郵送が必要な場合は送付も、大きな負担になってきます。代行サービスを使うことで、売上など請求書作成に必要な情報を渡すだけで、請求書の作成から郵送まで代行してもらえます。
まとめ
最後に、これまでの内容をまとめます。
・請求書は必ずしも必要ではありませんが、請求書を発行するのが一般的です。
・請求書には決まった形式はなく、最低限必要な5つの項目が載っていれば、請求書としての役割を果たすことができます。
・請求書の内容は、クライアント側に要望があることもあるため、クライアントと合意しながら作成すると良いでしょう。
・請求書の作成は、最初のうちはテンプレートで作成したもので運用し、状況によりクラウドサービスや請求書発行代行サービスなどを検討してみてください。
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