プログラム言語を学習するうえで、言語の特徴を比較検討することは理解を深めるためにも重要になってきます。そこでこの記事では、JavaとC言語の違いやそれぞれの言語の特徴、言語を選択する際の考え方などを解説しています。ぜひともご参考ください。
JavaとC言語の大きな違い
C言語の歴史を踏まえて、JavaとC言語の大きな違いを説明していきます。歴史を知ることで学びやすくもなりますので、ひとつずつ確認していきましょう。
- C言語の歴史
C言語は1972年に開発され、現在でも使われている歴史のあるプログラミング言語です。開発当初はUNIXというOSを移植するために作られました。最近のC言語は、IoT(Internet of Thing)や組み込みシステムの開発、OS を含めたさまざまなソフトウェア開発ができる汎用性の高い言語になっています。
上述したように、C言語はUNIXを移植するために作られたプログラム言語でした。しかしながら、1973年に UNIX自体をC言語で書き換えたことにより、プログラム言語としての立ち位置が変わり、UNIXとC言語は世界中に広まっていくことになります。
UNIXが登場するまでは、アプリケーションごとにコンピューターを用意する必要がありました。たとえば、計算なら計算専用のコンピューター、データー整理ならデータ整理専用のコンピューターといった具合です。大きなプロジェクトになると大量のコンピューターが必要になってしまうため、現代では考えられないくらい非効率な状況です。
その問題を解決するために、MulticsというOSが作られました。しかし、Multicsは機能を充実させ過ぎたために複雑になりすぎてしまい、実用化するまでには至りません。その反省を踏まえ、Multicsの機能を小さくまとめたUnicsが作られます。Unicsは実用化に成功し、UNIXという名前に変更されて広く利用されるようになっていきます。
コンピューターにUNIXというOSを入れることで、1つのコンピューターでも複数のアプリケーションを開発できるようになりました。OSを利用して開発をすることは現在の状態と変わりがありませんので、UNIXでOSの土台を固めたともいえるでしょう。生産性の高いUNIXが利用されていくなかで、UNIXの開発言語であるC言語でアプリケーションを開発する人が増えていき、UNIXとC言語は広く普及していきます。
- C++とJava
C言語は大きな広がりを見せ、プログラム言語としてのディファクトスタンダード(業界標準)になりました。しかし、C言語は手続き型言語といい、プログラムの処理どおりにうえから順にプログラミングをしていく必要があるため、時代の進化とともに大規模開発に対応しづらくなっていきます。その問題を解決するために、C言語にオブジェクト指向の概念を加えたC++(シープラスプラス、業界ではシープラなどと呼ばれる)が1983年に誕生しました。
オブジェクト指向とは、システム開発に必要なモノ(オブジェクト)を組み合わせて開発をしていく概念のことです。C++はC言語と同じシステムを作るとしても、モノごとを別々に開発し、組み合わせることができるため、管理が簡単で大規模開発にも使いやすいというメリットがあります。
また、同時期にObjective-Cというプログラミング言語も誕生しました。C++もObjective-Cも、C言語をもとに開発された言語で、オブジェクト指向を採用しています。そのため、それぞれが利用されていくことによって、オブジェクト指向の概念が一般化していきました。
このような流れを汲んで、オブジェクト指向のプログラミング言語であるJavaが1996年に誕生しました。JavaはC言語とC++に影響を受けていますがC言語では記述せず、Java独自の文法を持っています。また、C++に比べると文法が簡単で保守性に優れ、OSに依存性がないことも大きな特徴です。
OSに依存性がないということは、Windows、macOS、UNIXなどのOSを問わず利用することができるということです。また、特筆すべきはJavaを動かすためのソフトウェアであるJava仮想マシン(JVM)で、JVMを利用すれば開発したシステムを他のOSに移行する際に、基本的にはプログラムの書き換えをしなくても済むようになっています。
このような特徴を持ったJavaは時代のニーズに合わせて普及されていき、現在でも多くの開発現場で利用されるプログラム言語になりました。
- JavaとC言語の大きな違い
JavaとC言語の大きな違いは、オブジェクト指向とポインタの有無です。上述したように、C言語の手続き型言語とJavaのオブジェクト指向の言語は開発の考え方が違います。また、ポインタとはパソコン内部のメモリをエンジニアが操作できる機能のことで、C言語でシステム開発をする場合は使用するメモリを管理しなければなりません。
それに対して、Javaはシステム開発時のメモリ管理を自動でおこなってくれるため、メモリをエンジニア自身で操作する必要がありません。以上の2点がJavaとC言語の大きな違いになっています。
Javaの特徴
Javaはとても汎用性の高いプログラミング言語で、大手企業の大規模開発にも使われています。特に有名な企業にはGoogleが挙げられ、Googleが開発に使うGoogle三大言語(Java、C++、Python)のひとつとしてJavaは加えられています。具体的には以下のようなものが開発可能です。
・業務システム開発
・Webサイト
・Webアプリケーション
・Androidアプリケーション
・ゲーム開発
・CGソフトウェア
・IoT(Internet of Thing)、組み込みシステム開発
さまざまな分野の開発ができるという特徴以外には、上述したオブジェクト指向とOSの依存性が特筆すべきものになります。なかでもOSの依存性については、Javaはスローガンとして『Write once, run anywhere』(一度プログラムを書けば、どこでも実行できる)と掲げており、その理想を実現するためのソフトウェアであるJVMは大きな発明といえるでしょう。
大手企業でも積極的に利用されているJavaですが、メリットがあればデメリットもあります。ひとつめのデメリットは、Javaは大規模開発に向いているため、小規模開発にはあまり向いておらず、Java以外の言語を利用した方が効率的になる可能性があること。ふたつめは、文法やルールが他のプログラミング言語よりも多くなっており、開発現場では開発環境やネットワークなどの周辺知識も必要になるケースが多いため、習得難易度が高い点を挙げることができます。
また、名前の似ているJavaScriptは主にフロントエンド開発で用いるプログラミング言語であり、バックエンド開発で用いるJavaとは別物のため注意しましょう。
加えて、開発現場ではフレームワークという効率的に開発をするための骨組みが利用されるケースも多くあります。Javaのフレームワークについてまとめた記事もありますので、よければご確認ください。
関連リンク:Java言語のフレームワークはこの5つを押さえよう【2022年版】
C言語の特徴
C言語も汎用性の高い言語として認識されており、以下のようなものが開発できます。
・OSの開発
・基幹系システム開発
・ソフトウェア開発
・IoT(Internet of Thing)、組み込みシステム開発
・ゲーム開発
・ロボット・AI開発
C言語はOSや基幹系システムの開発など、IT関係のシステムでも重要な部分の開発に用いられることが多い言語です。また、OSの開発でいえば、UNIX、macOS、Linuxの一部、あるいは全部がC言語で開発されているため、C言語を習得すればOSなどに関する深い理解にもつながります。
それ以外の特徴としては、上述した手続き型言語やポインタの他に、C言語はコンパイラ言語のため処理速度が速い、という点が挙げられます。コンパイラ言語とは、記述したプログラムを機械語に一気に変換(コンパイル)して実行するタイプのもので、プログラムをひとつずつ変換し、実行していくインタプリタ言語よりも処理速度が速くなります。
Javaもコンパイラ言語となっていて、インタプリタ言語のPythonやJavaScriptよりは実行速度が速くなっています。しかしながら、C言語と比べるとJavaはコンパイラ言語でありながら、JVMを通して機械語に変換するインタプリタ形式のような実行処理をおこなっているため、C言語より処理が遅くなってしまいます。
さらに、C言語はメモリ消費量なども小さくなっているので、この点においても実行速度が速くなる要因として説明できます。このような理由から、C言語は最速のプログラミング言語だともいわれています。
C言語のデメリットとしては、小規模なソフトウェアの開発やWebアプリケーションの開発には向いていない点と、開発時の設計やバグ解析が難しく、他のプログラム言語にはないポインタについても理解しなければならないため、習得難易度が高い点が挙げられます。
関連リンク:IoT/サーバーエンジニアのフリーランスエンジニア向け案件・求人
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JavaとC言語の単価相場を比較
弊社TechReachでの、JavaとC言語の案件相場や内容を比較してみました。(2022年7月現在)
案件相場
Java | C言語 | |
総案件数 | 1211件 | 96件 |
平均月単価 | 約65.2万円 | 約60.8万円 |
最高月単価 | 120万円 | 110万円 |
最低月単価 | 30万円 | 30万円 |
月単価80万円以上の割合 | 20% | 6% |
すべての項目でJavaのほうが条件がよくなっています。JavaとC言語を比較した場合、フリーランスの案件では他社でも弊社と同様の傾向が見られました。そのため、現在のフリーランス市場ではJavaのほうが総案件数、単価ともに好条件であるといえます。
エンジニア職種別の求人数
案件数 | Java | C言語 |
1位 | システムエンジニア|872件 | システムエンジニア|71件 |
2位 | バックエンドエンジニア|112件 | ソフトウェアエンジニア|10件 |
3位 | スマホアプリエンジニア|66件 | 組み込み開発|6件 |
4位 | フロントエンドエンジニア|36件 | バックエンドエンジニア|4件 |
5位 | ソフトウェアエンジニア|17件 | スマホアプリ/インフラエンジニア|2件 |
エンジニア職種でも、Javaの汎用性の高さから幅広い職種で求人があります。弊社TechReachではポジションを18種類に区分しているのですが、Javaは15種類のポジションで1件以上の求人があり、C言語の7種類の2倍以上となっています。
総案件数や月80万円以上の割合などから、いかにJavaが言語として利用されているかが反映されています。
JavaとC言語はどちらを学べばいいか
JavaとC言語で選択をする際の考え方を3つお伝えします。
- フリーランス市場から考える
現在のフリーランス市場を鑑みると、案件数や単価の観点からJavaのほうがおすすめできる言語であるといえるでしょう。なぜならば、趣味で開発をしない限り、プログラミング学習の先には将来的な収入を見越すことになるため、案件数が圧倒的に多いJavaのほうが案件獲得が容易であると判断できるからです。
- 難易度や覚える内容から考える
JavaとC言語はともに高難易度の言語として有名ですが、C言語のほうが難しいという意見が多く見受けられます。理由としては、ポインタやバグの解析など、他の言語にない知識が必要になるからです。
習得難易度が高い反面、C言語を覚えることでプログラミングの基本が身につき、他のプログラム言語の習得が楽になったり、OSについての知識を深められるといったメリットがあります。この観点から考えると、C言語を覚えたほうがJavaよりもプログラミングに対する土台を固められる、といえるでしょう。
しかしながら、C言語を通して覚える知識がJavaで身につけられないといったものではありません。そのため、Javaから覚え、必要に応じて知識を増やしていけばよいという考え方もあります。また、Javaから学習をすると必然的にオブジェクト指向を学ぶことになるため、その点はC言語にはないメリットであるといえます。
- 開発できるものから考える
上述したように、Javaは汎用性が非常に高いためいろいろなものを開発することができます。C言語も汎用性が高くなっていますが、Javaと違いWebアプリケーション開発では使われることのない言語です。Webアプリケーションの開発がしたい場合はJava、あるいは他のプログラム言語を選択しましょう。
まとめ
JavaとC言語はともに習得難易度が高いプログラミング言語のため、習得するまでに時間がかかると認識しておきましょう。また、プログラム言語の特徴が大きく異なっているため、上述してきたような違いを理解してから選択することをおすすめします。
今回の記事をきっかけに、別のプログラミング言語を検討してもよいかと思います。人によって言語の選択基準や考え方は変わってくるので、さまざまな情報に触れ、後悔のない選択をしてください。この記事が少しでもお役立てになれば幸いです。
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