プログラミング言語によって作成できるものが変わるため、習得する言語を比較検討することが大切になってきます。今回は、PHPとPythonの違いや習得難易度、案件の内容などをまとめています。確認していきましょう。
PHPとPythonの違い
PHPとPythonはともにバックエンド開発で用いられるプログラミング言語となっており、双方とも文法が簡単で、基本的には習得難易度が低いという点で共通しています。また、それぞれのプログラム言語で実装できる、際立った特徴のないWebアプリケーション開発であれば、極論的にはどちらを選んでも同じようなものを作ることができます。
しかしながら、実際の業務ではエンジニアが対応できるプログラミング言語の能力や、開発したい機能によってプログラム言語を選んでいく必要性が出てきます。PHPとPythonの違いを考えるなかで、まずはこういった前提条件があることを理解しておくと、開発をする際のイメージも付きやすいかと思います。
PHPとPythonの大きな違いとしては、PHPは主にWebアプリケーション開発に使われる言語であり、フロントエンド開発の必須要件であるHTMLに埋め込んで、動的Webページを作成できる点を挙げることができるでしょう。それに対してPythonは、さまざまな分野の開発ができ、統計学や数学式に強いライブラリが揃っているため、AI(人工知能)開発やデータ分析に強いという特徴があります。
PHPの特徴
Pythonに比べると難しいライブラリなどが少ないため、PHPのほうが習得難易度が低くなっています。
PHPの機能的な特徴は、先に挙げたWebアプリケーション開発に強く、HTMLへの埋め込みができることが挙げられます。HTML(Hyper Text Markup Language)とは静的Webページを作るもので、マークアップ言語といわれています。インターネット上のほぼすべてのWebページはHTMLをもとに作られており、弊社ホームページもHTMLで作成されています。
関連リンク:TechReach(テックリーチ)|フリーランスITエンジニア向けの案件・求人情報サイト
HTMLはWebページの枠組みを作ったり、文字を表示させることができます。しかし、文字装飾などができないのでCSS(Cascading Style Sheets)というスタイルシート言語で文字装飾をしたり、JavaScriptを使って動きのあるページを作ったりする必要があります。
下の画像にある、『エントリー』や『検索』アイコンなどの色がついてきるところや文字の大きさを変えているところはCSSを、『案件単価』をクリックして出てくる金額の表示にはJavaScriptを使っています。
Webサイトへの訪問やクリックで、画面が動くWebページのことを動的Webページといいます。PHPはJavaScripと同じようにHTMLに埋め込みをおこなうことができるため、動的Webページが作りやすいといった特徴があります。(※1)
それ以外の強みとしては、WordPressやDrupalといった、簡単にWebサイトが作れるCMS(Contents Management System)がPHPで作られていることが挙げられます。双方はPHPでカスタマイズすることができるので、PHPのスキルがあれば独自性の強いWebサイトを開発することができます。なかでもWordPressは、全世界のWebサイトの43%がWordPressで作られていると公式サイトは宣言しており、日本でも人気のあるCMSとなっています。
一般的に大手企業はWordPressなどのCMSを使わずに、自社独自のWebサイトを開発することが主流になっています。しかしながら、現在の企業運営では企業の規模に関わらずWebサイトがあることが当たり前になっているため、あまり予算をかけずにWebサイトを作成したい、というニーズも存在しています。実際に弊社TechReachの案件でも、WordPressのスキルを求める開発案件が38件ある状態です。(以降、すべての案件数は2022年7月現在のもの)
上述した2点以外にも、他のPHPの特徴や有名なフレームワークをまとめた記事を作成しています。(※1)PHPとJavaScriptの仕組みの違いも解説していますので、よければこちらもご覧ください。
関連リンク:PHP言語のフレームワークはこの5つを押さえよう【2022年版】
Pythonの特徴
PythonはPHPと違い、Webアプリケーション開発以外にも以下のようなことができます。
・AIや機械学習、データ分析システムの開発
・ゲーム制作
・スマートフォンアプリ
・デスクトップアプリケーション
・組み込みアプリケーション
・スクレイピングなどの情報収集プログラムの開発
・ブロックチェーン開発
これらのように、Pythonはさまざまな開発で利用することができる汎用性の高いプログラミング言語です。また、近年注目を浴びているAIや機械学習に強いライブラリが揃っており、それらを用いるAI開発、データ分析システムなどの需要からPythonが利用される機会が多くなってきています。
PHPと同じように学習コストが低いといわれているPythonですが、AI開発などで使うライブラリの難易度が高く、AI開発自体も難しい分野の開発になるため、その点においては習得難易度が高いといえます。また、自身が開発をしたいものによって身につけるスキルが変わってくるため、その辺りも加味しながらキャリアプランを考える必要があるでしょう。
Pythonについてより具体的にまとめている記事もありますので、よければこちらもご覧ください。
関連リンク:Pythonの案件の種類やフリーランスとして受注するコツを解説
PHPとPythonの単価相場を比較
弊社TechReachでの、PHPとPythonの相場や案件内容を比較してみました。
案件相場
PHP | Python | |
総案件数 | 570件 | 352件 |
平均月単価 | 約67.3万円 | 約69.7万円 |
最高月単価 | 110万円 | 125万円 |
最低月単価 | 30万円 | 40万円 |
月単価80万円以上の割合 | 24% | 33% |
PHPはバックエンド開発で世界で1番使われているプログラム言語でもあるため、Pythonよりも総案件数が多くなっています。平均月単価はそこまで大きな差はないものの、月80万円以上の割合はPythonのほうが高くなっており、需要のあるスキルを持っていればPythonのほうが単価が高いと判断できます。
また、Pythonの高額案件ではデータ解析やAIなどを含めたシステム開発が多く、PHPの高額案件はプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーなどのスキルを求めるものが多くなっています。
出典:Webサイトのサーバー側プログラミング言語の使用統計における過去の年間傾向
エンジニア職種別の求人数
案件数 | PHP | Python |
1位 | システムエンジニア|361件 | システムエンジニア|202件 |
2位 | バックエンドエンジニア|90件 | バックエンドエンジニア|41件 |
3位 | フロントエンドエンジニア|39件 | データエンジニア|40件 |
4位 | ソフトウェアエンジニア|23件 | インフラエンジニア|19件 |
5位 | プロジェクトマネージャー|17件 | フロントエンドエンジニア|10件 |
エンジニア職種から見ると、双方の3位から違いが表れています。PHPは上述したように動的Webページ作成の面からもJavaScriptとの親和性が高く、フロントエンドのスキルとバックエンドのスキルを求める案件が見受けられます。また、Pythonの3位であるデータエンジニアも、Pythonの特徴を反映した結果であるといえます。
PHPとPythonのどちらを学べばいいか
できるだけ早く案件獲得がしたい方や、Webアプリケーション開発がしたい方はPHPのほうがよいでしょう。PHPはPythonに比べて習得難易度が低く、案件数も豊富にあるため、初学者でも案件獲得がしやすくなっています。
一通りPHPが使えるようになったあとは、PHPの有名なフレームワークであるLaravelや、WordPress、フロントエンド開発のスキルであるHTML、CSS、JavaScriptなどを学んでいきましょう。これらすべての知識を得ることができれば、フロントエンドとバックエンドに対応できるエンジニアとなり、Webアプリケーション開発の専門性を高めていくことができます。
将来的に高単価案件を獲得したい方や、データサイエンスなどに興味のある方はPythonをおすすめします。Pythonは上述してきた特徴から今後の需要拡大が見込まれる言語となっており、弊社の調査でも案件単価が高くなってきています。しかしながら、需要増の主な要因であるAI開発やデータ解析は習得難易度が高く、初学者がライブラリなどをすぐに使いこなすことは難しくなっています。
未経験者がPythonの案件を獲得するためには、まずはPythonでWebアプリケーションなどの開発ができるようになる必要があります。基本的なスキルを身につけたあとは、自身が開発したいものに適した学習を続けていきましょう。
関連リンク:【目的別】Pythonの習得時間の目安や学習サイトをご紹介
まとめ
極端にお伝えするのであれば、仕事の安定性やWebアプリケーション開発を重視する場合はPHP、高収入やデータサイエンス系の開発を重視するのであればPythonをおすすめします。
また、プログラミング言語を選ぶ際は、①開発したいもの、②現在・将来のニーズや収入、③学習の難易度、が主な選択基準となります。これらの基準は人によって変わってきますので、自身でよく考えて、優先順位を決めて選択をしましょう。
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