エンジニアのキャリアに新たな選択肢をもたらすKotlin。本記事では、Kotlinがなぜ注目されているのか、JavaやScalaとの違いを比較し、徹底解説します。
10年以上の歴史を持つKotlinには、アプリケーション開発以外にも、モダンな言語としての優れた特徴が複数あります。Java言語での開発に慣れた方にもおすすめです。
Kotlinの特徴を理解し、キャリアアップにお役立てください。
Contents
Kotlinとは
Kotlinは、2011年にJetBrains社によって開発されたオープンソースの比較的新しいプログラミング言語です。Javaをベースに設計されたKotlinは、よりシンプルで簡潔なコードを書くことができ、Javaとの高い互換性を持っています。
Kotlinの大きな特徴は、null安全性(後述)が高いことです。Javaではnullが代入できる変数を使うとエラーが発生しやすいですが、Kotlinではnullを代入できない変数を宣言できるため、nullが原因のエラーを防ぐことができます。
2017年5月には、GoogleがAndroidアプリ開発の公式言語としてKotlinを採用しました。以来、KotlinはAndroidアプリ開発の分野で広く使われるようになっています。
Kotlinでできること
Kotlinは汎用的なプログラミング言語で、さまざまな分野で活用されています。代表的な用途としては、以下のようなものがあります。
- ・Androidアプリ開発
- ・サーバーサイド開発
- ・WEBアプリケーション開発
- ・デスクトップアプリケーション開発
特にAndroidアプリ開発の分野では、Kotlinの人気が高まっています。Kotlinを使えば、Javaよりも少ないコード量でアプリを開発でき、生産性を高められるからです。
Javaとの違い
KotlinはJavaと似ている言語ですが、次のような違いがあります。
- ・Kotlinのほうがシンプルで簡潔なコードを書けます。
- ・Kotlinでは、nullの安全性が言語レベルでサポートされています。Javaでは、開発者が手動でnullチェックする必要があります。
- ・KotlinにはJavaにない機能があります(拡張関数、データクラスなど)
ただし、KotlinはJavaとの互換性が高いため、Javaのライブラリやフレームワークをそのまま使うことができます。また、KotlinとJavaを混在して開発も可能です。
Scalaとの違い
ScalaもJavaをベースにした言語ですが、Kotlinとは次のような違いがあります。
- ・Scalaの構文はより複雑で、表現力豊かで高度な機能があるため、Kotlinより難しいです。
- ・KotlinのほうがJavaとの互換性が高いです。
- ・並列処理には、Scalaでは豊富な選択肢があり複雑ですが、Kotlinはシンプルな軽量スレッド(コルーチン)です。
Scalaは高度な言語機能を持っていますが、高度な分学習が大変です。一方、Kotlinは比較的シンプルで学習コストが低く、Javaからの移行もしやすいです。
Kotlinの特徴
Kotlinの使用にはどのような特徴があるのでしょうか。Javaとの比較で見ていきます。
記述コードが簡潔
Kotlinではセミコロンが不要で、変数の型宣言も省略できるなど、Javaと比べてコードがシンプルで読みやすくなっています。
例えば、JavaではString name = “John”;と型宣言が必要ですが、Kotlinではval name = “John”と記述可能であり、より簡潔になります。
また、ラムダ式や高階関数など、関数型プログラミングの機能も取り入れられており、例えばリストの各要素に対する操作がlist.filter { it > 10 }.map { it * 2 }のように1行で記述でき、少ないコード量で処理を記述できます。
短期間での開発が可能
コード量が少なくて済むため、短期間でのアプリ開発が可能です。また、Javaとの高い互換性により、Javaの資産を活かしてスピーディな開発ができます。
例えば、ニュースアプリ大手のスマートニュースでは、Kotlinを採用し、コード行数を20%削減し、検証時間を10%短縮できたとの話題もあります。
安全性が高い
Kotlinと違い、Javaではnull(ヌル)が問題になりがちです。nullとは、「値がない」ことを表す特別な値です。例えば、nullの人物データから名前を取得しようとすると、プログラムはエラーで停止してしまいます。
Kotlinには「null安全性」があります。nullを代入できない変数を宣言でき、実行時のnullポインター例外(実行が中断する深刻なエラー)を防げます。例えば、val name: String? = nullのように?付きで宣言すると、変数nameがnullを受け入れ可能なことを明示的に示すことができます。
また、型推論の機能により、変数の型ミスも防げるため、バグの少ないコードを書けます。型推論により、コードの記述が簡潔になり、同時に型安全性も確保されます。例えば、val number = 123と書いた場合、Kotlinは自動的にnumberを整数型と判断します。
Javaとの相互利用が可能
KotlinはJavaとの互換性が高く、Kotlinのコードから簡単にJavaのコードを呼び出せます。また、JavaのコードからKotlinのコードを呼び出すこともできるため、既存のJavaプロジェクトにKotlinを導入しやすいメリットがあります。
KotlinはJavaとの互換性が高く、Kotlinのコードから簡単にJavaのコードを呼び出せます。Kotlinを学んだばかりの開発者でも、Javaで書かれた既存のライブラリやフレームワークを容易に利用できるようになります。また、JavaのコードからKotlinのコードを呼び出すこともできるため、既存のJavaプロジェクトにKotlinを導入しやすいメリットがあります。
例えば、Androidアプリ開発で、UI部分のみをKotlinで書き、ビジネスロジックは引き続きJavaで開発する、のような段階的な導入が可能です。組み合わせの柔軟性により、プロジェクトのリスクを抑えつつ、Kotlinの利点を享受できます。
Kotlinのメリット
Kotlinには、次のようなメリットがあります。
コードが書きやすい
Kotlinは文法がシンプルで、記述量が少なくて済むため、開発者の負担を軽減できます。例えば、条件分岐を扱う際、Javaでは複数行にわたって記述する必要がありましたが、Kotlinでは式として扱うことができるため、1行で済む場合も多々あります。このように、同じ処理をJavaよりも簡潔なコードで実行できるので、プログラミングの工数を削減できます。
また、構文構造や文法が分かりやすいため、習得が難しいと言われるJavaに比べると、Kotlin学習の難易度はかなり下がります。プログラミング初学者や他言語からの移行者にとっても、Kotlinの学習は比較的容易であり、Javaからの移行もスムーズにおこなえる点も魅力です。
例えば、Kotlinではwhen式を用いた分岐処理がJavaのswitch文よりも直感的であり、より柔軟に条件を記述できるため理解しやすいです。
Javaエンジニアも使いやすい
JavaからKotlinへの移行は比較的容易です。なぜなら、JavaとKotlinは互いに呼び出しが可能なので、開発途中のプロジェクトでも、すでに開発が進んでいる部分はJavaのままでありながら、新しく開発する機能はKotlinで実装するなど、ハイブリッドな開発が可能となります。
Javaエンジニアの方でも、既存の知識を活かしてKotlinを使いこなせるでしょう。例えば、Javaで使われる概念やライブラリはKotlinでもそのまま利用可能であり、今までのJavaの経験を無駄にせず、新しい言語の利点を享受できます。Javaのノウハウを蓄積してきた企業にとっても、開発効率の向上やプログラムの信頼性向上などKotlinの導入は、メリットが大きいです。
Googleからのサポートが受けられる
KotlinはGoogleがAndroidアプリ開発の公式言語として採用したことで、Android開発者はGoogleから手厚いサポートを受けられるようになりました。
無償で提供されるAndroidの統合開発環境Android Studioが、Kotlinのコーディングを手厚くサポートしており、コード補完や構文チェックなどの機能が、JavaやXMLと同様にKotlinでも利用でき、作業効率がアップします。
また、Googleが提供するオンライン学習コースなど、手厚いサポート体制が整っています。今後もAndroidアプリ開発の現場でKotlinの需要は高まっていくでしょう。
需要が高く求人数が多い
Kotlinの求人数は右肩上がりに増えており、レバテックキャリアのサイトでは約1,500件以上の募集があります。今後もKotlinの需要は高まり続けるでしょう。
他の求人サイトでも多くの募集がありますが、JavaやScalaなど他の言語とセットで募集されているケースがほとんどです。
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Kotlinのデメリット
Kotlinは比較的新しいプログラミング言語のため、Javaほど利用場面が多くありません。特に日本では、Androidのシェア率が海外に比べて低いこともあり、Kotlinを扱えるエンジニアの数はまだ限られています。
また、登場から10年ほどしか経っていないため、ドキュメントや情報サイトの日本語対応があまり進んでいないのが現状です。今後Kotlinの利用が広がり、Androidアプリ開発の主流言語になれば、日本語の情報も充実していくことが期待できますが、現時点ではJavaと比べるとやや不便さを感じるかもしれません。
ただし、Kotlinの言語設計自体は、Javaの課題を解消するように工夫されているため、言語仕様に由来するデメリットはほとんどありません。Javaのライブラリをそのまま利用できたり、一部の機能をJavaで書いてKotlinから呼び出せたりと、Javaとの高い互換性を備えているのも大きな魅力です。
学習面でも、文法がJavaよりシンプルで習得しやすい利点があります。ただし、関数型プログラミングのアプローチに慣れていない場合は、少し学習コストがかかるかもしれません。Googleが公式に学習リソースを提供しているので、活用すれば効率よくKotlinを学べるでしょう。
Kotlinの将来性は高い?
Kotlinは、新しいプログラミング言語ながら将来性が期待されています。主な理由は、Googleが公式にAndroid開発言語として採用し、Kotlinの普及のためのさまざまな支援をおこなっている点にあります。Googleに限らず、GradleやCordaのような世界的なプロジェクトや企業にも採用され、Kotlinの市場価値をさらに高めています。
また、2016年の安定版リリース以来、Kotlinは年々バージョンアップを重ね、開発者向けの公式ライブラリやサードパーティーのフレームワークが増加し、Kotlinの柔軟性と使い勝手が向上し続けています。特にスマートフォンアプリ市場の拡大とともに、Kotlinを利用した開発案件も増加傾向にあることが予想されます。
求人市場では、現在Kotlinのエンジニアの求人数は限られていますが、Kotlinの認知度上昇とともに需要は高まることが期待されています。プログラミング言語ランキングでもシェアを順調に伸ばしており、将来的にはJavaを上回る可能性も指摘されています。
以上の点から、Googleのバックアップ、Kotlin自身の進化、市場の拡大傾向、そしてエンジニアの需要の高まりなどの側面から見ても、Kotlinは将来性の高いプログラミング言語です。Kotlinのスキルを身に着けることで、開発者は今後のキャリアで大きなアドバンテージを得られるでしょう。
まとめ
JavaやScalaと比べ、Kotlinはコードを簡潔にでき、比較的習得が容易です。特にAndroidアプリ開発では、Googleの公式言語としての地位もあり、求人数も増加傾向にあります。
登場してから10年ほどと、比較的歴史の浅い言語のため、日本語の情報があまり多くはありませんが、逆に考えると日本のプロジェクトでKotlinエンジニアは貴重なため、Kotlinをマスターすればさまざまなチャンスが開けてきます。この機会に、Kotlinのエコシステムに触れてみてはいかがでしょうか。
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