フリーランスとして活動を始めた方の中には、これまで利用してきた個人口座をそのまま利用して取引をおこなっている方も多いのではないでしょうか?この記事では、事業口座を利用するメリットを解説するとともに、銀行選びのポイントや口座開設までの流れを解説していますので、ぜひご覧ください。
Contents
フリーランスの場合、事業専用の口座は必要?
フリーランスにしろ、法人にしろ、個人の口座で事業を始めることができます。ですが、そのまま個人の口座で事業の取引をおこなうことは、あまりお勧めできません。事業のためだけに新たな口座を開設するというのは、手間に感じるかもしれませんが、手間がかかるという以外には、メリットしかないのです。
フリーランスが事業専用の口座を開設すべき理由
事業専用の口座を開設すべき理由について4つ解説します。
経費の管理がしやすい
個人の口座には、個人のクレジットカードや、個人の取引などの情報が入っています。その状態で事業の取引情報も混在すると、どれが個人の取引で、どれが事業の取引なのか分かりにくくなります。とくに、確定申告など、後で振り返って調べることもあるので、そのときは、はっきりと個人用、事業用と区別がついていたものも、何カ月も経った後に振り替えると、分からなくなっていることもあります。混在を避けることで、確認の手間を省けます。
屋号付きの口座が開設できる
屋号付きの口座は必ずしも必要ありませんが、以下の場合は検討してみても良いかもしれません。
・複数の個人事業を営んでいる場合
いくつも事業を営んでいる場合、誤って別の事業の口座で取引をおこなってしまう可能性もあります。事業ごとに屋号を変え、各事業ごとの屋号付きの口座を開設することで、そうした誤りを予防できます。
・ネットショップなどで物を販売している場合
ネットショップなどで物を販売している場合など、お客さまに口座振込をしてもらう際に、個人口座であることに、お客さんが違和感や不安を抱く可能性があります。例えばショップ名を冠した屋号を取得し、屋号付きの口座にすることで、そうした不安を和らげる効果が期待できます。
・本名を伏せたい場合
屋号付き口座は、屋号名だけでも振込は可能なため、本名を伏せたい場合は、屋号付き口座の利用を検討するのも悪くありません。
そもそもフリーランスに屋号が必要なのか、について下記記事で解説していますので、興味のある方はご覧ください。
関連記事:フリーランスには屋号って必要?屋号のメリットと決め方のポイントをわかりやすく解説
税務調査に対応しやすい
税務調査は、確定申告をおこなった際の書類や、各申告に対応した法定帳簿、通帳などを用意する必要があります。調査する事業年度の取引内容を調べる際に、口座情報や帳簿に余計な個人の情報が入っていないことで、スムーズに調査が進みます。
確定申告をスムーズに対応できる
青色申告で複式簿記による確定申告をしている場合、個人と事業が混在していると、個人の取引についても仕訳帳に記載する必要が出てきます。その手間を省くためにも、個人用と事業用の口座を分けるメリットがあります。
銀行口座や会計ソフトによっては、API連携をおこない、取引情報を自動取得してくれるサービスもあるので、会計ソフトを用いている方は、事業用の口座を開設する際はそのことを検討してみるのも悪くありません。
フリーランスが事業専用口座を開設する流れ
事業専用口座を開設する流れを3つ解説します。
口座開設するための条件を確認する
口座開設は、銀行によって条件が多少異なる場合があります。口座開設に必要な条件を予め確認しましょう。
例えば、屋号付きの口座を開設するには、同じ屋号で個人事業をおこなっている必要があります。屋号を決めて開業届を出しておきましょう。
他にも、一定以上の個人事業の所得があること、などの条件がある場合もあるので適宜準備を進めておきましょう。
開設する銀行を選ぶ
フリーランス向けの銀行口座は、個人用口座と異なり、事業用口座となります。事業用口座は個人用口座に比べて審査が厳しい傾向にあるので、審査基準などを確認し、自分に合った銀行を選びましょう。ネット銀行は比較的審査が厳しくない傾向にあるので、審査に通らない際などは検討してみても良いでしょう。
口座開設の手続きをしに行く際には、支店は自分が事業を営む所在地の最寄りを選ぶようにしましょう。中には、事業用口座を取り扱っている支店でなければ、口座開設ができない支店もあるので、その際は、その中から最寄りを探すと良いでしょう。
必要な書類を用意する
口座開設には本人確認以外に、個人事業主であることが分かる書類、屋号を確認できる書類、事業内容が確認できる書類、個人事業主としての売上や財務状況が確認できる書類などが適宜求められます。
中には準備に時間を要するものもあるため、予め必要書類を確認し、準備を進めておくようにしましょう。
フリーランスが事業専用の銀行口座を選ぶときのポイント
事業専用の銀行口座を選ぶときのポイントを3つ解説します。
金利
金融機関によって異なる金利が設けられているため、銀行選びの際には分かり易い基準となります。金利が高ければ、利子所得に期待できるようになります。事業用の口座は、個人用の口座と比較して口座維持手数料や振込手数料が高い場合もあるため、そうしたデメリットだけでなく、利子によるメリットも考慮すると良いでしょう。
手数料
銀行によって、月額の基本料金が有料のところがあったり、口座間の振込手数料に差がある場合があります。外注費や従業員などに支払いが想定される場合は、どの程度の出費があるのか、など計算し、判断材料にすると良いでしょう。
会計ソフトとの連携有無
会計ソフトを利用している場合、会計ソフトによっては、口座とAPI連携をおこえるものがあります。銀行の取引を自動的に連携してくれるため、会計処理の負担を軽減できます。
こうした連携に期待する場合は、会計ソフトと、対応する銀行を確認しておくと良いでしょう。
フリーランスが事業専用の口座を開設する際の注意点
事業専用の口座を開設する際の注意点を2つ解説します。
口座開設まで手間がかかる
個人用の口座であれば、印鑑と本人確認書類があれば、すぐに口座開設ができる銀行がほとんどですが、事業用の口座は、事業の開始や、事業の内容、実際に事業をおこなっていることを証する内容、などの書類が求められ、審査がおこなわれることがあります。審査にはある程度の時間を要する場合もありますし、審査に落ちれば、口座は作れません。ネット銀行の中には、eKYC(オンライン本人確認)の導入などにより、最短即日を謳っている銀行もあるので、急ぎ必要な場合などは検討してみても良いでしょう。
審査が行われる場合がある
銀行は犯罪収益の移転や、テロ資金供与など口座の不正利用防止のために、事業が存在するのか、事業の取引がおこなわれているのか、などを審査する場合があります。
書類不備などなく、きちんと事業をおこなっていれば、審査に落ちる確率は低いでしょう。
フリーランスにお勧めの銀行口座
お勧めの銀行口座を4つ解説します。
楽天銀行
楽天銀行には大きく4つのメリットがあります。
①屋号(※屋号のみは不可)で個人ビジネス口座を作成できる
②楽天銀行かんたん決済サービスや、かんたん振込(メルマネ)などのビジネス向けサービスが利用できる
③口座維持手数料が無料。振込手数料は当行宛が52円、他行宛(3万円以内)が150円、他行宛て(3万円以上)が229円と手数料などが安価
④普通預金金利は0.001%、定期預金は0.001~0.004%と好金利
また、ATM利用手数料は220円。
年会費が1100円かかりますが、利用金額の1%がキャッシュバックされる楽天銀行ビジネスデビットカード(JCBカード)を発行可能です。
参考URL:個人ビジネス口座開設申込(楽天銀行ホームページ)
SBIネット銀行
まず、フリーランス用の口座を作ることができません。そのため、個人用口座を事業用口座として運用することになります。
個人用口座となるため、単純な比較は難しいですが、下記メリットとなります。
①口座維持手数料無料。振込手数料は当行宛は無料、他行宛が77円と手数料が安価
②ATM利用手数料がスマプロ(スマートプログラム)ランクに応じて、最大20回まで無料(有料の場合110円)
③普通預金金利は0.001%、定期預金は0.002%
参考URL:住信SBIネット銀行(トップページ)
PayPay銀行
PayPay銀行のメリットは下記のとおりです。
①口座維持手数料無料。振込手数料は当行宛は55円、他行宛が160円(ただし、口座開設日の翌々月末まで振込手数料が月10回無料)
②ATM利用手数料が利用額3万円未満は165円(ゆうちょ銀行は330円)(ただし、毎月1回目の利用は無料)、利用額3万円以上は無料
③普通預金金利は0.001%、定期預金は0.002~0.003%
④ビジネスアプリにより、口座確認、振込がおこなえます
⑤屋号付き(※屋号のみは不可)口座を最短即日口座開設
参考URL:PayPay銀行(個人事業主の方はこちら)
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行のメリットは下記のとおりです。
①屋号付き口座を開設可能(※事業用途として個人名義の通常貯蓄貯金の口座開設は不可)
②口座維持手数料無料。振込手数料はゆうちょダイレクトの利用で当行宛は100円(月5回までは無料)、他行宛が165円
③ATM利用手数料がゆうちょ銀行店舗内や郵便局内に設置しているATMであれば、無料
④普通預金金利は0.001%、定期預金は0.002%
参考URL:事業用途で個人名義の口座を開設されるお客さまへ(ゆうちょ銀行ホームページ)
まとめ
フリーランスが取引に使う銀行口座は、個人口座でも事業の継続は可能ですが、帳簿付け、確定申告の手間などを考えると事業口座を作成することが推奨されます。
銀行選びは条件を確認し、慎重に選んでください。
・口座開設までにかかる時間
・条件、審査の厳しさ
・口座維持手数料、ATM利用料、振込手数料、金利
・ネットバンクかメガバンク
口座開設には手間も時間もかかりますので、自分に合った銀行口座をみつけてください。
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