フリーランスや個人事業主の方で、「助成金と補助金の違い」をしっかりと説明できる方はあまりいらっしゃらないのでしょうか? 助成金と補助金は似ている制度ですが違いがあります。この記事では、それらの説明に加えてフリーランスや個人事業主が受け取れる助成金や補助金、メリット・デメリットなどをご紹介しています。ぜひともご確認ください。
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助成金とは
助成金とは、法人や個人の事業者、特定非営利活動法人(NPO法人)などの事業や活動を支援するために提供されるお金のことで、返済不要のものを指します。国や地方自治体が事業者に提供している助成金は、条件を満たせば受け取れるものとなり、審査がないものが多いです。
それに対して、NPO法人が受け取る助成金は財団などが提供しているものもあり、条件を満たすことに加え選考や審査がおこなわれるものも多数見受けられます。事業者向け、NPO法人向けの助成金でわずかな違いはありますが、助成金は「受け取るためには条件を満たす必要がある、返済不要のお金」と認識してよいかと思います。
給付金との違い
給付金とは、国や地方自治体から支給されるお金です。「給付」になりますので、助成金と同じように返済不要なものになります。助成金は、事業者やNPO法人などの特定の事業や活動を支援するものなのに対し、給付金は個人が受け取れるものが多数あるという特徴があります。
コロナ禍で給付された「特別定額給付金」や「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」は名称どおり給付金に該当し、個人に支給されました。また、「失業等給付」や「育児休業給付金」も個人に支給される給付金です。
助成金は「事業や活動に対して支給されるお金」、給付金は「条件を満たした個人にも支給されるお金」という違いがあります。
補助金との違い
補助金とは、国や地方自治体の政策目的に沿った事業に対して支給されるお金で、返済不要なものです。助成金や給付金との違いは、政策目的に沿った事業ではならない、審査がおこなわれる、補助金の予算や件数が限られている、などとなります。
NPO法人に対する助成金を除き、助成金と給付金は条件を満たせば支給されるものですが、補助金は必ず受け取れるものではない点が大きな違いです。また、補助金は基本的に後払いとなっており、政策目的にそぐわない事業には利用することができないようになっています。
助成金と給付金は「条件を満たせば支給されるもの」、補助金は「条件を満たしても支給されるとは限らないもの」と認識してよいでしょう。
フリーランス・個人事業主が受け取れる助成金
フリーランスや個人事業主が受け取れる助成金を7つ紹介します。
人材開発支援助成金
事業主などが雇用する従業員に職業訓練等を実施した際の、経費や訓練期間中の賃金の一部が支給される助成金です。「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」など7つのコースがあり、支給要件や提出書類が異なります。下記出典は公式サイトにリンクしていますので、気になった方はご確認ください。
出典:人材開発支援助成金
特定求職者雇用開発助成金
一般的な条件下での就労が困難だと考えられる方を雇用した際に、事業主に支給される助成金です。特定求職者雇用開発助成金には以下の8つのコースが用意されています。
・特定就職困難者コース
・生涯現役コース
・定雇用実現コース
・障害者初回雇用コース
・発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
・三年以内既卒者等採用定着コース
・生活保護受給者等雇用開発コース
・被災者雇用開発コース
それぞれのコースで対象者や支給条件、助成金額が変わります。しかし、公共職業安定所(ハローワーク)、地方運輸局、適正な運用が期待できる有料・無料職業紹介事業者からの雇い入れをしなければならない点は共通しています。詳しく知りたい方は、WEB上で【特定求職者雇用開発助成金 ⚪︎⚪︎コース】などと検索してみてください。
中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成
「中退共」と略称される助成金です。事業主が毎月の掛金を支払うことで、雇用している従業員の退職時に国から退職金が支払われます。中退共には「新規加入助成」と「月額変更助成」があります。事業主は掛け金を全額損金扱いができ、福利厚生などを従業員に提供できるなどのメリットがある制度です。
出典:1.中退共制度の概要としくみ – 勤労者退職金共済機構
中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成
トライアル雇用助成金
一般的な条件下での就労が困難だと考えられる方を、ハローワークや職業紹介事業者の紹介により3ヵ月間試行雇用した場合に助成金が入る制度です。トライアル雇用助成金には「一般トライアルコース」と「障害トライアルコース」が設けられており、それぞれに対象となる人材の条件が異なっています。
3ヵ月の試行雇用が過ぎたあとに常用雇用するか否かは企業の自由となっており、採用コストの削減や採用のミスマッチを防ぐことができるため、メリットの多い制度といえるでしょう。
障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース – 雇用
キャリアアップ助成金
有期雇用(契約)労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者のキャリアアップや意欲向上のために、正社員化や処遇改善をした事業主に助成金が渡される制度です。キャリアアップ助成金には以下の7つのコースが用意されています。
・正社員化コース
・障害者正社員化コース
・賃金規定等改定コース
・賃金規定等共通化コース
・賞与・退職金制度導入コース
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・短時間労働者労働時間延長コース
全コースの対象事業主になるためには、「雇用保険適用事業所の事業主」であることや「キャリアアップ管理者を置いている事業主」であることなど、5つの項目があり、助成金が受給できない事業主の決まりや、各コースごとの条件、支給金額も異なります。
中途採用等支援助成金
従業員を中途採用した事業主に支給される助成金です。中途採用等支援助成金には
中途採用者の雇用管理制度を整備した上で中途採用の拡大を図る事業主に対して助成する
「中途採用拡大コース」と
東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対し、その採用活動に要した経費の一部を助成する
「UIJターンコース」があります。
それぞれ受給要件が異なりますので、気になった方は公式サイトからご確認ください。なお、中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)は2022年3月31日に廃止されました。
地域雇用開発助成金
働こうとしても求人が少ない過疎地域などで雇用保険適用事業所を設置・整備し、労働者を雇い入れた際に支給される助成金です。「同意雇用開発促進地域」
「過疎等雇用改善地域」「特定有人国境離島等地域」の対象地域があり、これらの地域で対象となる労働者を3名以上雇い入れること、事業所の新設や増改築などの整備をおこなうことなどの条件を満たす必要があります。また、工事や不動産・動産などにかかった費用が税込300万円以上にならないと支給対象にはなりません。
フリーランス・個人事業主が受け取れる補助金
フリーランスや個人事業主が受け取れる補助金を5つ紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓を支援する
補助金です。通常枠は上限50万円、賃金引き上げや後継者支援の特別枠では上限200万円、令和5年10月から始まる予定のインボイス特例の要件を満たせば更に50万円の上乗せがあります。また、通常枠と特別枠はいずれか一つのみ申請可能となっています。
補助金対象者は商業・サービス業では従業員5名以下、宿泊業・娯楽業・製造業その他では従業員20名以下の事業主となっており、申請期間にも区切りがあります。気になった方は出典から詳細をご確認ください。
ものづくり補助金
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」が正式名称となる、中小企業などの生産性向上や革新的サービス・試作品の開発、生産プロセス改善のための
設備投資に対して支給される補助金です。製造業や建設業、運輸業、サービス業などの幅広い業種と、企業組合や協業組合、商店街振興組合などの組合、NPO法人などが対象事業者となっています。
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者などが自社の事業運営に適したITツールを導入する際に支給される補助金です。「通常枠(A・B類型)」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入累計)」「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入型)」の4種類があります。出典の公式サイトにてわかりやすく説明がされていますので、詳細はそちらからご確認ください。
事業再構築補助金
新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する
補助金です。コロナ禍によって波及した経済的損失に対応するために策定されました。「成長枠」「グリーン成長枠(エントリー)」「大規模賃金引上促進枠」などで補助金額が異なり、補助対象者にも条件があります。公式サイトでは、事業再構築への挑戦を支援する制度であると説明されています。
出典:事業再構築補助金
創業助成金
地方自治体が創業時にかかる費用の一部を補助してくれる制度です。東京都では、創業5年未満の中小企業も助成対象になっています。国から助成されるものではないため、地方自治体によって助成金額や対象者、内容などが異なります。これから創業しようとしている方、創業してまもない方は事業をおこなっている自治体の情報を確認してみてください。
助成金などを申請する際の注意点
助成金や補助金を申請する際の注意点を3つお伝えします。
申請要件を確認する
助成金や補助金には必ず申請要件が設けられています。そのため、まずは自身の事業が対象になっているかどうかを確かめましょう。国の担当事業所や商工会議所などでは質問窓口を設けていることがほとんどなので、わからないことがあれば上手に活用してください。また、支給対象者になっていないにも関わらず不当に条件を満たし、金銭を受け取ると不正受給となります。公序良俗はしっかりと守り、事業主などを助ける制度を悪用しないようにしてください。
応募締切りまでに申請する
年度内に数回応募があるもの、コロナ助成金のように一定期間だけ応募があるものがありますが、どちらも応募締め切りが過ぎたら申請することができなくなります。また、補助金は応募期間が短く設定されていることが多いです。
助成金や補助金は提出資料を揃えるまで時間がかかってしまうので、申請をする際はゆとりを持ったスケジュールを組むようにしましょう。
受給までの時間がかかる
助成金や補助金の受給は、早いものでも数ヵ月から半年、長いものだと1年以上かかるものもあります。申請をしてすぐに支給されるものではないので、それまでの資金繰りに注意しなければなりません。助成金や補助金がなくとも、通常どおり経営できる状態が望ましいです。
フリーランスが助成金などを申請するメリット
フリーランスが助成金や補助金を申請するメリットをお伝えします。
返済が不要である
助成金や補助金は基本的に返済が不要になっているため、支給されたお金を事業運営に活かすことができます。使用用途の指定や事後報告が必要な補助金などもありますが、銀行などの融資以外に事業資金を賄えることは非常に大きなメリットです。
事業の維持や設備投資などをおこなえる
事業運営をしていくと、一時的に資金繰りが苦しくなったり、金銭不足のために投資したい分野を拡充できないなどの悩みが出てくるものです。何をするにもお金がかかってしまうので、その点を支援してくれる助成金や補助金は事業主にとって大変有益な制度だといえます。今回ご紹介したように、助成金や補助金にはさまざまな種類がありますので、積極的に調べていきましょう。
フリーランスが助成金などを申請するデメリット
フリーランスが助成金や補助金を申請するデメリットをお伝えします。
申請手続きに時間と手間がかかる
助成金や補助金を受給するには、申請要件を確認したり、必要書類を揃えたりする必要があります。フリーランスは日ごろの事業運営も自分でおこなっている方が多いので、業務以外の手続きが増えることは負担となってしまうでしょう。
また、事業規模によっては、受給するためにかけた時間と受給金額が、事業収益にかけた時間と金額を下回る可能性もあります。個人の考え方にもよりますが、助成金や補助金を申請するか否かは、メリット・デメリットを鑑みてから決めるようにしましょう。
審査に通らない場合がある
予算額や件数が決まっているため、補助金の場合は審査に通らないことも考えられます。審査に通らない場合、受給できないだけでなく、それまでに費やした時間も無駄になるといえるでしょう。助成金は条件を満たせば大丈夫ですが、補助金はこのような事態に陥ることも考えられます。あらかじめ念頭に置いておきましょう。
助成金や補助金は積極的に活用しよう
事業主が申請できる助成金や補助金にはたくさんの種類があり、受給することができれば事業の役に立つことは間違いありません。国や地方自治体が私たち国民のために実施している制度なので、積極的に活用していきましょう。
また、繰り返しになりますが、助成金や補助金には申請期間があり、書類も揃えなければいけません。なるべく早くから行動し、受給できるようにしっかりと準備をしていきましょう。
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