バックエンド開発やWordPressなどで利用されるPHPの知識やスキルを深める際に、網羅的・体系的な勉強に加えて客観的なスキルの証明になる資格取得を目指すことは効率的な方法のひとつです。この記事では、PHPの資格試験である『PHP技術者認定試験』についてまとめています。ぜひともご確認ください。
Contents
PHP技術者認定試験とは
PHP技術者認定機構が運営をしているPHPの資格試験です。PHP技術者認定機構は、10万人を超えるPHP技術者の技量に大きな差が生じている問題を解決するために設立されました。同団体はPHP技術の普及や技術者育成、試験運用などを目的として活動しています。
また、PHPの資格試験には『PHP技術者認定試験』と国際資格の『Zend PHP Certification』があります。Zend PHP Certificationは英語での受験が必要なことやPHP技術者認定試験に比べて認知度が低いこともあり、PHPの資格取得を目指す際はPHP技術者認定試験を受験するほうが一般的です。
試験概要
PHP技術者認定試験は難易度別に、『初級』、『上級/準上級』、『認定ウィザード』に区分されています。初級は受験料金が12,000円(税抜)、上級/準上級は受験料金が15,000円(税抜)となっており、学校法人の生徒や先生の方は半額料金で受験できるようになっています。加えて、認定ウィザードには受験料がかかりません。それぞれの試験概要は以下のとおりです。
・初級……PHPの基礎知識が問われ、7割以上の正解で合格。
・上級/準上級……PHPの言語仕様や実用的なプログラミングテクニックが問われ、7割以上の正解で上級に合格、5割以上7割未満の正解で準上級に合格。(同一試験の正解率で上級/準上級に分けられる)
・認定ウィザード……上級試験を9割以上の正答率で合格した方のみ受験可能。所定の文章を提出し、承認された場合に認定ウィザードとして合格。
初級、上級/準上級は全国にあるオデッセイコミュニケーションズのCBTテストセンターで受験することが可能です。会場によって開催日は異なりますが、ほぼ一年を通して受験をすることができます。また認定ウィザードは、TEXT形式、Word形式、MD形式での文書提出で受験可能です。
資格取得のメリット
一般的な資格取得のメリットとしては、網羅的・体系的に学習ができる、知識やスキルを客観的に証明でき、企業内の評価や就職、転職、フリーランスの案件探しで有利になる可能性がある、などを挙げることができます。
PHP技術者認定試験については、初級は難易度が低い部類に入るため、実務レベルでアピールすることは難しいかもしれません。しかし、未経験から転職をしようとしている方やPHPを始めたばかりの方にとっては、PHPの基礎知識を有していることや学習意欲があることを示せますので、その点で評価される可能性があります。
上級はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の有名な資格である『応用情報技術者試験』以上の難易度となっているため、資格取得による評価の上昇が期待されます。認定ウィザードは2015年までは論文形式の試験となっていましたが、現在は上級試験で9割以上の正答率があったほうが500文字以上の所定の文章提出をすることで応募可能になっています。そのため、上級と同じく評価される可能性は高いと判断できますが、実務上のメリットは未知数です。
PHP技術者認定試験の難易度や推奨勉強時間について
IT系資格の難易度を知るためには、ITSS(IT Skill Standard|ITスキル標準)という経済産業省がスキルレベルで区分けをした基準のなかの『ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ』を参考にするとわかりやすくなります。ITSSの認定試験・資格のレベルは0〜4に区分けされており、PHP技術者認定試験以外にもさまざまな資格試験と比較をすることができるからです。
今回の記事では、同マップの『Ver11r2』を参考に、初級、上級/準上級、認定ウィザード、それぞれの難易度や勉強時間についてお伝えします。
出典:ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ Ver11r2(以降のスキルレベルについてもこちらを参考)
初級
初級の試験難易度は、『ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ Ver11r2』のレベル1に該当し、『Ruby技術者認定試験Silver』、『LinuCレベル1』、『LPICレベル1』と同程度の難易度になっています。出題範囲は以下のとおりです。
試験内容は『初めてのPHP』(PHP7版)を中心に、PHPオンラインマニュアルなどからの出題もあるようです。インターネット上の情報では、プログラミング経験者であれば2週間前後の勉強で合格している方も見受けられます。
そのため、事前にPHPや他のプログラミング言語の知識があれば難易度は高くないと判断できます。しかしながら、プログラミング未経験者の場合は主教材である『初めてのPHP』を理解するためにある程度の時間がかかってしまうでしょう。そのため、未経験者の方は少なくとも1ヵ月程度は勉強が必要になると考えられます。また、『初めてのPHP』以外では、『徹底攻略PHP7技術者認定[初級]試験問題集』が認定教本として紹介されています。
出典:認定教材 – PHP技術者認定機構(上級の参考書もこちらで紹介されています)
上級/準上級
準上級はレベル2に該当し、『Citrix認定試験(CCA-Vなど)』や『HTML5プロフェッショナル認定試験(HTML5)レベル1』と同程度の難易度で、IPAの『基本情報技術者試験』よりも難しいとされています。
上級はレベル3に該当し、『CompTIA認定資格(Cloud+)』などと同程度の難易度で、『HTML5プロフェッショナル認定試験(HTML5)レベル2』や『RedHat エキスパート認定』IPAの『応用情報技術者試験』よりも難しいとされています。出題範囲は以下のとおりです。
上級は合格率が10%以下となっており、簡単な試験ではありません。また、実務で数年PHPを利用している方でも1ヵ月は勉強をしたという情報もあり、プログラミング未経験者がいきなり受験をして受かるような試験ではありません。そのため、PHPの開発を通して知識やスキルを蓄積したうえで試験に挑むことが現実的な選択肢になるかと思います。
また、初級と同じように認定教材があることに加え、PHP技術者認定試験の認定スクールであるプライム・ストラテジー株式会社が無料の模擬試験を公開しています。そちらも利用しながら試験勉強をしていきましょう。加えて、PHP技術者認定試験では合格体験記も公開されていますので、初級・上級/準上級に関わらず参考にするのもよいかと思います。
出典:PRIME STUDY(プライム・スタディ) – Python試験とPHP試験の無料模擬試験サイト
PHP試験合格体験記– category – PHP技術者認定機構
認定ウィザード
認定ウィザードは公式サイトでPHP技術者認定試験の最上位資格であると宣言しています。しかしながら、2016年の認定ウィザード試験の募集終了以降、2020年3月14日まで試験は実施されていませんでした。また、ITSSの認定試験・資格マップにも認定ウィザードは記載されておらず、過去の試験内容と現在の試験内容も変わっているため、実質的な難易度は測定が難しいものになります。
いずれにせよ、上級試験で9割以上の正答率がないと受験することはできないため、その点では間違いなく高難易度の試験であるといえるでしょう。
基礎知識やスキル、経験は必要?
初級であれば未経験者でもしっかりとした学習を続けることで合格可能です。また、プログラミングの知識やスキルを身につける際は、最初は簡単なものでよいので実際にコードを打ち込んでいったほうが早く覚えることができます。そのため、参考書や問題集の勉強に加えて、自分でプログラミングをしていくこともおすすめです。
上級に関しては、実務経験がない状態での合格は非常に困難なものであると判断できます。そのため、初級に合格したあとは経験を積み、基本的な知識やスキルを習得しながら上級合格を視野に入れて行動したほうがよいでしょう。
PHP技術者認定試験に合格してスキルや年収をアップ
PHP技術者認定試験の勉強や資格取得を通したスキルアップにより、自社内の昇進や就職、転職、フリーランスの案件探しが有利になることが期待でき、資格取得による特別手当を出している企業も確認できています。
また、個々人の感じ方にもよりますが、資格取得によって自信が付き、勉強で得た知識も含めて業務効率が上がったという報告も見受けられます。資格を取得することで客観的なスキルの証明になり、実際のエンジニアスキルも上がることで年収アップに関わることもあるかと思いますので、ぜひとも受験を検討してみてください。
まとめ
資格試験には一定の努力が必要であり、日々の業務や生活で忙しいと手を出しにくくなってしまいます。しかし、資格取得によるメリットは多岐に渡り、スキルアップやキャリアアップにもつながるため、PHPエンジニアとして一歩先に進むためにもPHP技術者認定試験はおすすめできます。受験によるデメリットは勉強時間の捻出や金銭的なものだけかと思いますので、気になった方は行動してみましょう。
フリーランスの案件をお探しの方はTechReachにご相談ください。
TechReachを運営する株式会社アールストーンはIT・Web業界特化で15年以上の実績がございます。
そのため、高単価・高品質な数多くの案件紹介が可能です。
また一人のコンサルタントが企業と求職者様の担当を行う「両面型エージェント」を採用しているため、あなたの希望に合う案件がきっと見つかるはずです。
TechReachを活用して、理想の案件を見つけましょう!