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フリーランスの保険の基礎知識|個人事業主が加入できる保険とは?

フリーランスや個人事業主の皆様、仕事の自由度が高い反面、健康や各種リスクへの保障が十分ではないことに悩まされていませんか?

本記事ではフリーランスや個人事業主の方々に向けて、自分に適した保険を見つけるためのポイントをご紹介します。保険の種類や特徴、保険加入の条件や注意すべきポイント、保険料の節約方法にも触れています。ぜひ本記事を参考に、自分だけの保険戦略を立ててみてください。

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フリーランスが加入する健康保険

健康保険は、自分や家族の健康、将来の安心を考えるうえで重要です。また、日本は国民皆保険制度となっているため、何らかの健康保険に加入する必要があります。

どのような健康保険の選択肢があるのか、大きく3つの方法をご説明します。

国民健康保険に加入

国民健康保険は、都道府県や市町村(特別区を含む)により運営されている公的な医療保険制度で、「地域保険」として分類されています。

国民健康保険には、個人事業主だけでなく、ご家族も加入できます。

保険料に関しては、それぞれの自治体が運営しているため、市区町村ごとに算出方法や金額が異なることを覚えておいてください。具体的な金額は、お住まいの地域の役所やホームページで確認してください。

また、保険料は前年度の所得に基づいて計算されるため、所得が多い場合には保険料が高額になることがあります。

会社を退職してフリーランスになる場合、退職日の翌日から14日以内に所在地の市区町村に届け出を出す必要があります。保険証がないと医療費を全額負担しなければならないため、手続きはできるだけ早くおこないましょう。

また、届出を提出する際は、将来の年金受給にも影響する国民年金への加入も同時におこなっておくことがおすすめです。

家族の扶養に加入

フリーランスのご家族が企業や組織に勤めている場合、扶養に入ることも検討してください。扶養に入れば、健康保険料はかからないため、国民健康保険や任意継続と比べて負担が少なくなります。

ただし、扶養に入るためには条件があり、①関係性②収入などの条件があります。

本項では以下、ご家族(被保険者)を「パートナー」と記載します。

 

①被扶養者になれる関係性

  • パートナーと別居でも、被扶養者になれるのは、配偶者・子・孫・兄弟・姉妹・父母・祖父母(直系尊属)
  • パートナーと同居を条件として被扶養者になれるのは、上記以外の3親等内の親族(兄姉、伯叔父母、甥姪と配偶者など)および内縁関係の配偶者の父母および子(配偶者の死後、引き続き同居をする場合も含む)です。
  • 日本国内に住所を有すること

 

②収入などの条件

  • 主としてパートナーによって生計が維持されていること
  • フリーランスの年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)※扶養による税金の控除を受けるためには、給与収入なら年間収入103万円以下などの条件があります。
  • 同居の場合、フリーランスの収入がパートナーの収入の半分未満
  • 別居の場合、フリーランスの収入がパートナーからの仕送り額未満

 

フリーランスの収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれることに注意してください。

以上の条件を満たす場合、被扶養者としてご家族の健康保険に加入できます。

国民健康保険組合に加入

国民健康保険組合は、同じ業種の方が集まって作り上げる組合です。

組合が対象とする業種に該当するなどの条件を満たしているフリーランスが加入できます。以下、代表的な国民健康保険組合をご紹介します。

文芸美術国民健康保険組合

文芸美術国民健康保険組合への加入条件は、

 

  • 文芸・美術や著作活動に従事している、日本国内にお住まいの方
  • 組合に加盟している各団体の会員になっていること(ご家族も含まれます)

 

両方の条件を満たしていれば、加入が可能となります。

文芸美術国民健康保険組合への加入手続きは、以下のフローでおこなってください。

 

  • まず、文芸美術国民健康保険組合の加入資料請求書を提出してください。
  • 次に、加入申込書、加盟団体証明書、預金口座振替依頼書などの必要書類を提出してください。
  • さらに、所得税の確定申告書控えすべて(第一表、第二表、所得の内訳書)を提出してください。
  • 作品例も提出が必要です。
  • 住民票(世帯全員の証明が記載されたもの、発行から3ヵ月以内のもので、マイナンバーが記載されていないもの)を提出してください。
  • 最後に、所得証明(70歳以上の加入予定者のみ対象)を提出してください。

 

※ 詳しい手続きは、文芸美術国民健康保険組合のサイトをご確認ください。

東京美容国民健康保険組合

東京美容国民健康保険組合への加入資格は、以下の条件を満たす方が対象となります。

 

  • 東京都内の事業所で美容業務に従事していること。
  • 東京都(離島を除く)、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、または山梨県に居住していること。
  • 組合員や被保険者として、同じ世帯に属する家族も対象です。

 

ただし、平成20年4月から始まった後期高齢者医療制度により、以下の方は後期高齢者医療制度の被保険者となるため、対象外となります。

 

  • 75歳以上の方。
  • 65歳以上で一定程度の障害認定を受けている方。

 

以上の条件を満たす方は、東京美容国民健康保険組合に加入できます。

東京美容国民健康保険組合への加入手続きは、以下のフローでおこなってください。

 

  • 被保険者資格取得届(加入申込書)を提出してください。
  • ご家族の健康保険加入状況確認書を提出してください。
  • 世帯全員分の住民票(マイナンバーが記載されたもの)を提出してください。※もし美容国民健康保険に加入されない方のマイナンバーが記載されている場合は、マスキングしてください。
  • 被保険者証のコピー(国民健康保険からの異動の場合)または資格喪失証明書のコピー(社会保険からの異動の場合)を提出してください。

 

※ 詳しい手続きは、東京美容国民健康保険組合のサイトをご確認ください。

会社員時代の保険の任意継続

任意継続被保険者制度は、退職後も元の勤務先の健康保険に加入し続けられる方法です。

国民健康保険よりも保険料が安くなるケースもありますが、会社が保険料を負担しないため、勤務していた頃と比べて保険料の負担額は倍増します。

また、任意継続は一時的なもので、2年後には資格が失効するので、失効後の保険選択も考慮する必要があります。

任意継続を利用するためには、「2ヵ月以上連続して被保険者であったこと」と、「資格を失った日から20日以内に申請をおこなうこと」が必要です。

健康保険以外でフリーランスが加入できる保険

健康保険の他にも、フリーランスならではのトラブルに対応する保険があります。代表的なものをご紹介します。

所得補償保険

所得補償保険は、フリーランスの方が病気やケガで長期間働けなくなった場合に保険金が支払われる保険です。医療保険とは異なり、入院の有無に関わらず、働けない状態が続くと保障が受けられます。

ただし、各商品によって保険金の支払い対象とならない「免責期間」や、補償期間を示す「填補期間」が異なります。加入を検討する際には、商品の詳細を確認しましょう。

さらに、所得補償保険の保険料は、生命保険料控除の対象であり、税金の負担も軽減できる点が魅力です。

賠償責任保険

賠償責任保険は、フリーランスや個人事業主が働くうえで起こりうるトラブルに対して、損害賠償責任を補償する保険です。具体的には、不法行為、債務不履行、製造物責任などに対する損害賠償責任が対象となります。

働いているうえでよくあるトラブルには、第三者に怪我をさせたり、情報漏えいが起こったり、納期の遅れ、などが挙げられます。

トラブルが生じた場合、クライアントや第三者に損害を与えることになり、訴訟リスクが高まることがあります。訴訟に発展すると、時間や費用、手間の負担が大きくなるため、フリーランスにとってリスクが高いです。

賠償責任保険で補償される主な内容は、第三者への怪我や機密情報の漏えい、納品物の不備による怪我や病気、訪問先での物品破損、著作権侵害、作業ミスによる金銭的損失、事故による納期遅延などです。

なかでも、保険金の上限に注目し、無制限か1億円以上のものを選ぶことがおすすめです。なぜなら、損害賠償請求の金額が損失の程度や過失の割合、契約書の内容によって決まるため、大きな被害があった場合には金額が上がることが考えられるからです。

また、保険に加入する際には、示談交渉サービスが付帯されているかどうかもチェックしましょう。示談交渉サービスが付帯されている保険では、万が一のトラブルが発生した場合、専門知識を持った保険会社の担当者が代わりに適切な交渉をおこなってくれます。

労災保険

労働者災害補償保険(以下、労災保険)は、もともと日本国内で労働者として会社や事業主に雇用され、賃金を受け取る方が対象です。事業主や自営業主などの労働者でない経営者は、通常労災保険の対象外となっていたため、特別加入制度が登場しました。

労災保険の特別加入制度は、経営者などであっても、業務上の事故や疾病による治療費用をカバーできるのが大きな利点です。労災認定がされると、治療費の全額が保険から支払われるため、心配なく治療に専念できます。さらに、所得保障制度も利用が可能です。また、家族経営をおこなっている場合には、家族従業員の加入も認められており、補償内容が充実していることが利点として挙げられます。

特別加入制度の対象者は、労働者に準じて保護する必要があると認められる方です。例えば、2021年9月からは、フードデリバリーサービスの配達員も特別加入が認められるようになりました。

令和3年4月1日に特別加入対象がさらに拡大され、

 

  • 芸能関係作業従事者
  • アニメーション制作作業従事者
  • 柔道整復師
  • 創業支援等措置に基づき事業をおこなう方
  • 自転車を使用しておこなう貨物運送事業をおこなう者
  • ITフリーランス

 

などが含まれるようになりました(詳細は厚生労働省Webサイトを参照)

労災保険料率は、対象が拡大された方のうち、「原動機付自転車又は自転車を使用しておこなう貨物の運送の事業」が12/1000、その他が3/1000です。給付基礎日額は、原則自分で選ぶことができます。選ぶ際には、自分の報酬水準に合わせて決定するのが望ましいです。

フリーランスが保険料を安くする方法

フリーランスの皆さんにとって、保険料の節約は重要なテーマです。保険料を節約する方法を3点ご紹介します。

国民健康保険組合に加入する

国民健康保険は所得に応じて負担額が大きくなるのに対し、国民健康保険組合は収入に関係なく保険料が一定です。

収入が多いフリーランスの場合、保険料が一定の国民健康保険組合に加入すれば保険料を抑えられます。

ただし、国民健康保険組合にはデメリットもあります。例えば、家族にも保険料がかかるため、家族の人数によっては一般の国民健康保険のほうが保険料が安くなる場合があります。

また、収入が少ない場合でも保険料は固定のため、国民健康保険のように減免などの措置はありません。収入が少ない場合は、国民健康保険のほうが保険料が安くなる可能性もあります。

保険料が安い市区町村へ引っ越す

国民健康保険の保険料は市区町村によって異なるため、保険料が安い自治体へ引っ越すことで、保険料を節約できます。

フリーランスは働く時間や場所に制限がないため、住む場所も選びやすく、保険料の安い自治体を検討するのも一つの方法です。

しかし、引越しには費用と時間がかかることを考慮する必要があります。引越しにかかる費用を含めたうえで、結果的にお得になるかどうかを慎重に比較し、選びましょう。また、引越し先の生活環境や交通アクセスなども総合的に評価して、最適な選択をおこなってください。

社会保険料控除制度を利用する

毎年の確定申告で社会保険料の控除を申請すれば、節約が可能です。確定申告書には、控除する社会保険料の種類と金額を記載し、控除証明書を添付して税務署に提出する必要があります。

フリーランスが控除できる社会保険料の種類は、国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料(条件あり)、国民年金基金(制度加入が必要)、および一人親方の労災保険(任意加入)です。

一方、フリーランスは厚生年金保険料や労働保険料を利用できないため、社会保険料控除の対象になりません。

ご家族がいる場合、ご家族の社会保険料も全額控除対象となります。ただし、ご家族が自身で確定申告して控除している場合は、重複して控除はできませんので注意が必要です。

また、従業員を雇用している個人事業主の場合、社会保険料の半分を負担しなければなりませんが、従業員の保険料は控除の対象にできません。ただし「福利厚生費(法定福利費)」として、経費へ計上できます。

リスクに備えたいフリーランスの方への保険

フリーランスが業務をおこなっていく中で、意図する・しないに関わらず、問題が発生し、損害が生じたクライアントや利害関係者から損害賠償請求される場合があります。例えば以下のような場合が考えられます:

 

  • 提供した製品やサービスに問題があった場合、クライアントに損害が発生し、損害賠償請求される
  • 約束した期日に納品ができなかった場合、クライアントの業務に影響を及ぼし、損害賠償請求される
  • 他人の著作物を無断で使用した場合、著作権者から損害賠償が請求される
  • クライアントから預かった機密情報が漏洩した場合、損害賠償が請求される

 

普段から、品質管理・情報管理・納期管理、著作権の確認をおこなうことは重要ですが、自助努力でカバーしきれないリスクに備えたい方には、一つの対策として賠償責任保険への加入があります。

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、フリーランスのための非営利団体です。

一般会員費として年額1万円支払うことで、フリーランス向けの賠償責任保険を含む、さまざまなサポートを受けられます。

業務遂行中に発生する対物・対人事故に加えて、情報漏洩や納品物の欠陥、著作権侵害、納期遅延など、フリーランス業務に特有の賠償リスクに対処する内容で、大手保険会社4社が共同で保険を提供しています。一般会員だけでなくクライアントも補償対象となります。

副業を含むフリーランス、法人化したフリーランス(雇用者5名以内)など趣旨に賛同した方であれば幅広く利用可能です。 協会のWebサイトから、身分証・クレジットカードまたは銀行振込・メールアドレスで申し込みが可能です。

賠償責任保険の他にも、福利厚生、所得補償制度などが提供されています。

まとめ

フリーランスが加入できる各種保険のポイントをご紹介しました。

 

  • 健康保険は、国民健康保険の他に、国民健康保険組合や任意継続があります。
  • 健康保険以外にも、所得補償保険・賠償責任保険・労災保険の利用を検討するとよいでしょう。
  • 社会保険料控除制度など、保険料負担を軽減する3つの方法

 

フリーランスや個人事業主にとって、健康面や法的リスクを軽減できる保険は重要です。自分に適した保険を見つけることで、安心して仕事に取り組むことができるようになるので、ぜひ本記事を参考に保険の知識を身につけてください。

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