ITシステムが進化し、社会に浸透して便利になっている反面、サイバー攻撃などの増加から情報セキュリティに対する意識も高まってきています。本記事では、セキュリティシステムの専門家であるセキュリティエンジニアの業務内容や年収、必要な知識・スキルについて説明しています。ぜひともご確認ください。
Contents
セキュリティエンジニアとは
セキュリティエンジニアとは、名前のとおり企業システムなどのセキュリティに特化したエンジニアです。現代ではコンピューターで企業の事業運用をしていることがほとんどのため、ユーザーへ提供しているシステムや事業で利用しているシステムの安全性を保ち、損失が発生しないように守りを固めなければなりません。
なぜセキュリティ対策が必要なのかというと、インターネットが普及した1990年代から企業や個人に不利益をもたらすサイバー攻撃者が出現し、悪意のあるプログラムやソフトウェアであるマルウェア(コンピューターウイルス、トロイの木馬、ワーム、スパイウェアなど)で情報の抜き取りやシステムの改ざん、サーバーを利用できなくするDDoS攻撃などが発生しているからです。
サイバー攻撃によって企業や個人が攻撃を受けると、情報漏洩やシステムダウンなどの原因で、金銭的な損害や社会的信用を失ってしまうなどの被害につながってしまいます。また、近年ではコロナの影響でテレワークが普及し、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した『情報セキュリティ10大脅威2022』では『テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃』が4位に入るなど、セキュリティ面での新しい課題も発生している状況です。
セキュリティエンジニアは、上記の問題が発生しないようにITシステムやITインフラの情報セキュリティに特化した、専門性の高いエンジニアのことをいいます。
セキュリティアナリストとの違い
セキュリティエンジニアは、安全なシステムの構築や安定的なシステム運用を主たる職務とし、一方でセキュリティアナリストは、サイバー攻撃の分析や対策を軸に業務を展開します。
セキュリティアナリストは、攻撃の手法や動向を詳細に分析し、分析と知見をもとにセキュリティ対策の策定が求められます。分析のため、セキュリティアナリストはセキュリティエンジニアより高度な専門知識が必要とされる場合が多いです。
システムエンジニアとの違い
システムエンジニアは、ITシステムの設計や構築、運用を幅広く手がけ、システムが正しく機能するのに重点を置いています。
対してセキュリティエンジニアは、システムに対する脅威やリスクを考慮し、システムの防御や対策を専門的に扱うことが主な責務です。セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃が常に進化するのを前提に、システムを守るための戦略を立案し続ける必要があるため、専門性がより高いです。
ネットワークエンジニアとの違い
ネットワークエンジニアは、ネットワークシステムの設計や構築、運用に特化し、企業や組織にとって効率的かつ安定したネットワーク環境の提供を目指しています。
一方でセキュリティエンジニアは、ネットワークを含むシステム全体のセキュリティ対策を担当し、サイバー攻撃からの防御を主眼に置いた業務をおこないます。両者は似た対象を扱うものの、業務の焦点が異なり、専門性もそれぞれに特化しています。
セキュリティエンジニアの業務内容
セキュリティエンジニアの業務内容は、関わる案件によって変わってきます。下記工程の一部を担当する場合もありますし、場合によってはすべてに関わることもあるでしょう。
一般的な業務の流れは以下のようになっており、ITシステムやITインフラに関する業務のため、工程自体はシステムエンジニアなどとも共通する内容になっています。
企画・提案
クライアントにヒアリングをし、どのようなセキュリティ対策を導入するか企画・提案をします。ヒアリングは、企業システムの管理者や経営層と面談する機会も多くなっています。
セキュリティを構築するためには、サイバー攻撃の知識に加え、サーバーやネットワーク、企業経営やセキュリティ関連の法律に対する知識などが必要で、クライアントにわかりやすく説明するスキルも求められます。また、国際的なセキュリティ規格のISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)や、日本国内のセキュリティ規格のPマークの取得を求められる場合もあります。
プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会
設計
クライアントの要求と、費用や実装すべき内容などを鑑みたうえでセキュリティシステムを設計します。セキュリティシステムはウイルス感染、不正侵入、情報漏洩、災害などの機能障害などへの対策を、十分に盛り込んだものにしなければなりません。
実装・テスト
作成した設計書に基づきシステムを実装します。OSやネットワーク機器、サーバー、ミドルウェアなどの設定、プログラミングでの開発を進め、セキュリティシステムを構築していきます。システム開発が一とおり終わったら、システムに問題がないことを確認するためにテストをおこないます。
テスト内容は、WEBアプリケーションなどのシステム全体を網羅的に確認する『脆弱性診断』、サーバー攻撃のシナリオを考え、開発したシステムへの侵入を試みる『ペネトレーションテスト』などをおこない、システムをリリースできるように調整します。
運用・保守
システムをリリースしたあとは、期待したとおりの運用ができるかをチェックをしていきます。サイバー攻撃の手口は常に新しいものが生まれてしまうため、セキュリティ関連ニュースのチェックなども必要で、セキュリティ情勢によってはシステムを新しく構築する場合もあるでしょう。
また、セキュリティシステムやOSのアップデートを適宜おこない、障害発生時には迅速に復旧するよう努めなければなりません。加えて、万が一セキュリティ関連の被害が発生した場合は、被害状況を調査したり、データが盗まれてしまった場合はデータを取り返せるように試みたりしなくてはいけません。
その他
セキュリティエンジニアの業務は上記の他にも、セキュリティポリシーの策定や、安全なデータ取り扱い手順の作成、法的なリスクに対する緩和策の作成など、組織内のルールを定めたり、以下のような業務があります。
脆弱性診断やセキュリティ監視
脆弱性診断には、手動診断と自動診断があり、両者を組み合わせることもあります。対象はWEB・スマートフォンアプリ、サーバーやネットワーク機器、IoT機器などです。
例えば、WEBやスマートフォンアプリがデータベースと連携する場合、SQL文に問題があればSQLインジェクション攻撃による情報漏洩や改ざんの危険があります。脆弱性診断は、既知の攻撃に耐えうるかどうかを検証するためにおこなわれます。
セキュリティ製品の導入・検証
セキュリティ監視は、不正侵入を検知するIDS(侵入検知システム)や防御するIPS(侵入防御システム)、ネットワーク通信の可否を判断するファイアウォールなどのシステムを監視する業務です。検知データやログの監視により、不正アクセスの際に迅速な対応が可能となります。
多くの企業がセキュリティ監視サービスを提供し、監視・運用をおこない、問題が発生した際には利用企業の担当者へ通知するケースもあります。
セキュリティエンジニアに向いている人の特徴
セキュリティに関わる専門的な知識を習得し、常に進化するサイバー攻撃に立ち向かうセキュリティエンジニアに適しているのは、どのような特徴を備えた人物でしょうか。
3つの特徴をご紹介します。
専門知識を身に着けていきたい人
セキュリティエンジニアにとって、専門知識の習得は仕事の質を向上させるために欠かせません。セキュリティエンジニアの職種では、日々新しい脅威や技術が登場し、左記に応じた対策や知識が求められるためです。特に、サイバーセキュリティの世界では、新たなウイルスやハッキング手法の出現により、常に学び続ける姿勢が重要となります。
例えば、最新の防御技術を学ぶことは、攻撃者に一歩先んじてシステムを保護するために役立ちます。また、情報技術の基礎から応用に至るまで、幅広い知識が求められるため、学習意欲の高い方には特に適した職種でしょう。
上記のような背景から、専門知識を深めることに喜びを感じ、自ら進んで新しい技術や情報に触れ、実務に活かすことができる人は、セキュリティエンジニアとしてのキャリアを成功させる可能性が高いです。また、積極的な学習姿勢は、セキュリティエンジニアとしてだけでなく、将来的なキャリアアップでも大きな武器となることでしょう。
責任感が強い人
セキュリティエンジニアの職場では、日々の業務で強い責任感が求められます。セキュリティエンジニアの現場では、万が一のミスが個人情報の漏えいやシステムへの被害など重大な結果を招くことがあるためです。
例えば、サイバー攻撃を未然に防ぐためには、セキュリティシステムの構築と維持に対して細心の注意を払うことが不可欠であり、注意の重要性は計り知れません。
責任感の強い人は、セキュリティシステムの構築と維持に取り組む状況で、自らの行動1つ1つがセキュリティシステムの効果に与える影響を深く認識し、真剣に業務に取り組むことができます。
以上の理由から、責任感が強いことはセキュリティエンジニアにとって重要な資質です。
リスクから利用者を守ることにやりがいを感じる
セキュリティエンジニアにとって大切なのは、システムや情報を守り、利用者が安心してサービスを利用できる環境を作ることです。セキュリティの高いシステムは、サイバー攻撃などのリスクから利用者を守る使命に直結し、多くの人々がセキュリティエンジニアの努力によって助けられています。悪意を持つ攻撃者から企業やユーザーを防衛するのに成功したとき、大切なものを守った達成感は計り知れないものがあります。
たとえ攻撃の事実が表に出ることがなくても、地道なセキュリティの検査や対策が、大きなトラブルを未然に防ぐことにつながります。
攻撃を未然に防止し、トラブルを防止する重要な役割を担うことで、社会や人々の生活を間接的にでも支えることができるのが、セキュリティエンジニアの大きなやりがいとなっています。裏方としての活躍こそが、安全な日常を守るためには欠かせません。
セキュリティエンジニアの平均年収
セキュリティエンジニアの平均年収は、経験やスキル、勤務地によって異なりますが、全国平均は534.6万円で、一般的な給与所得者の平均458万円より高い水準となっています。
業務のデジタル化が進み、サイバーセキュリティのリスクが増加している現代では、セキュリティエンジニアの専門知識が企業運営に与える影響は拡大しているため、需要の高まりがセキュリティエンジニアの年収アップにつながっています。また、大都市圏や特定の業界での需要が高いことも、セキュリティエンジニアの年収を左右します。
出典:job tag」
年代別の平均年収
具体的に、セキュリティエンジニアの年収が年齢によってどのように変わっていくのかをご紹介します。
20代のセキュリティエンジニアの平均年収
厚生労働省の職業情報サイト「job tag」のデータによれば、仕事内容がセキュリティエンジニアに似ている「セキュリティエキスパート(オペレーション)」の職種は、20代の平均年収は362万円となっています。
20代のセキュリティエンジニアはキャリアの初期段階にあり、監視や保守などスキルをあまり必要としない業務を担当するケースが多いです。
しかし、20代に得られる経験は将来のキャリアアップにつながる貴重な基盤となります。
30代のセキュリティエンジニアの平均年収
同じくjob tagのデータによれば、30代の平均年収は512万円となっています。
30代になると、セキュリティエンジニアの年収は大きく上昇するのが一般的です。
20代で培われた経験やスキルを活かし、より高度なセキュリティ対策や管理職務に従事するようになるため、年収が上昇しています。30代で専門性をさらに深めることで、企業のセキュリティ体制に影響力を発揮し、年収にもつながります。
40代のセキュリティエンジニアの平均年収
同様にjob tagのデータによれば、40代の平均年収は646万円となっています。
40代のセキュリティエンジニアは一般的にキャリアの中盤を迎え、専門性や経験が高く評価されます。
プロジェクト管理やチームリードなどの責任ある役割を担うことが多くなります。セキュリティに関する戦略的な提案や、企業のセキュリティポリシーの策定など、より重要な業務に携わることが期待されます。
50代のセキュリティエンジニアの平均年収
job tagのデータによれば、50代の平均年収は688万円となっています。
50代のセキュリティエンジニアは、年収のピークを迎えます。
50代は、豊富な経験と高度な専門性を背景に、上級管理職やコンサルタントとして活躍する場面が多くなります。セキュリティ分野での深い洞察と戦略的な視点を持ち、企業のセキュリティ体制やポリシーの策定に大きな影響を及ぼし、高い年収につながります。
セキュリティエンジニアの年収はなぜ高いの?
セキュリティエンジニアの年収が高くなる要因を3つの観点で解説します。
デジタルリスクの増加
デジタル技術の進化にともなって、企業が取り組むべきセキュリティ対策の範囲は広がっており、リスクの増加にともないセキュリティエンジニアの役割がより重要になっています。
サイバー攻撃の複雑化により、企業に与える損害はさらに大きくなり、サイバー攻撃を効果的に防ぐためには、高度な知識とスキルが求められます。そのため、セキュリティエンジニアの報酬は、増加するリスクに対応するための価値を反映し、高くなります。
市場の拡大
サイバーセキュリティ市場は拡大を続けており、 2022年の世界のセキュリティ市場規模は、約22兆円以上で、2023年から2030年にかけての期間で、年平均12.3%で成長すると予測されています。
市場の成長にともないセキュリティエンジニアへの投資も増加していることが見て取れます。企業はセキュリティリスクを避けるために、優秀なセキュリティエンジニアに高い報酬を払うことをいとわない状況です。
人材不足と売り手市場
経済産業省が平成28年度におこなった調査によると、2020年にセキュリティ人材が19.3万人不足すると見込まれています。
セキュリティエンジニアの不足は企業にとって大きな課題であり、売り手市場が形成されています。結果として、優秀なセキュリティエンジニアを確保するための競争が激化し、セキュリティエンジニアの年収を押し上げる要因となっており、今後も売り手市場の傾向は続くことが予想されます。
セキュリティエンジニアが活躍できる業界7選
セキュリティエンジニアは、幅広い業界で専門性を活かし、企業の情報資産を守るために不可欠な存在です。
今回は、特にセキュリティエンジニアの活躍が期待される7つの業界を見ていきましょう。以下の業界は、それぞれ異なるリスクや課題を抱えており、セキュリティエンジニアのスキルが活かせる業界となっています。
コンサルティング業界
コンサルティング業界では、企業の戦略策定やリスク管理に関連する機密情報の保護に重要な役割を担います。セキュリティエンジニアは顧客企業の情報資産を保護するため、セキュリティポリシーやシステムを設計・実装し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えます。
定期的なセキュリティ監査や脆弱性評価もおこない、業界特有の複雑なデータ環境でセキュリティの維持を担当します。
セキュリティベンダー業界
セキュリティベンダー業界では、製品の設計、開発から脆弱性評価まで、幅広い分野で活躍できます。セキュリティエンジニアは最新のセキュリティ脅威に対応するための技術を開発し、新しいセキュリティソリューションを市場に提供する役割を担います。
業界では技術革新が急速に進むため、エンジニアは常に新しい知識を学び、専門性を高める機会が豊富にあります。また、セキュリティの最前線で働くことで、業界全体の発展に貢献できます。
金融業界
金融業界では、取引情報や顧客データの保護にセキュリティは不可欠です。セキュリティエンジニアは不正アクセスやデータ漏洩を防ぐための高度なセキュリティの設計と実装を担当し、金融取引の信頼性を保つために日々努力しています。
金融機関では、サイバー攻撃に対する高度な対策が求められるため、エンジニアは常に最新のセキュリティ技術と知識を実装し続ける必要があります。セキュリティエンジニアは、顧客の資産を守ります。
インフラ業界
インフラ業界では、電力や水道などのライフラインを支えるシステムの安全を確保するために不可欠です。セキュリティエンジニアはライフラインのシステムをサイバー攻撃から守るため、高度なセキュリティ技術を駆使します。
社会基盤のセキュリティは国民生活の安全と直結しており、エンジニアはシステムの脆弱性評価、定期的なアップデート、緊急時の対応計画の策定などを通じて、社会全体の安全と安定に大きく貢献しています。
小売・卸売業界
小売・卸売業界でセキュリティエンジニアは、消費者の個人情報保護とデータの安全性を確保する重要な役割を担います。
オンライン取引の増加にともない、顧客データの漏洩防止は業界の信頼性と直結しており、エンジニアは取引システムのセキュリティ強化、不正アクセスの監視、データ暗号化技術の導入などをおこないます。
また、従業員に対するセキュリティ意識の向上や、顧客との連絡の安全確保も、重要な責務です。
情報サービス業界
情報サービス業界では、日々取り扱う膨大なデータの安全を守るため、データの機密性、完全性、可用性の確保に注力します。セキュリティエンジニアはデータ保護のための戦略を策定し、サイバーセキュリティ対策の実装と監視をおこないます。また、不断のセキュリティリスク評価、脆弱性対応、インシデント管理も重要な業務です。
データの重要性が増すにつれ、セキュリティ対策の強化とエンジニアの専門性向上が求められています。
製造業界
製造業界で、製品の設計情報や生産技術など重要な知的財産をサイバー攻撃から保護する責任を担っています。不正アクセスの防止、データの暗号化、セキュリティシステムの継続的な更新と監視をおこない、製造業の競争力を守ります。
特に、製造工程と連携した産業用IoT機器のセキュリティ対策は、製造業界のエンジニアにとって重要な課題です。セキュリティエンジニアの専門知識は、企業の知的財産の保護に欠かせません。
セキュリティエンジニアに必要な知識・スキル
セキュリティエンジニアに必要な知識・スキルは以下のものになります
ネットワークやアプリケーションなどの知識・スキル
サーバー、ネットワーク、WEB・スマートフォンアプリのセキュリティ構築には、基礎となる知識とスキルが不可欠です。
特に、不正アクセスやウイルス感染はネットワーク経由が多く、侵入経路の特定にはネットワーク知識が重要です。また、アプリケーションの構造を理解していなければ、セキュリティ対策は困難です。ITシステムやインフラを構築する際、上記の知識やスキルを備えているかどうかが、業務の成否を大きく左右します。
セキュリティに関する知識・スキル
ウイルスなどのマルウェア、DDoS、SQLインジェクション、ゼロデイなど多様なサイバー攻撃の知識が求められます。攻撃に対抗し、安全を保つため、攻撃手法の把握は不可欠です。
また、サイバー攻撃の手口は絶えず進化するため、情報収集も重要です。さらに、認証システムや暗号化技術に関する知識も、適切な対応策を講じるうえで重要な役割を果たします。
技術的面だけでなく、新しい脅威に対応する柔軟性も求められる職種です。
暗号化・認証技術などに関する知識
通信の安全を守るため、セキュリティエンジニアには暗号化や認証技術の知識が不可欠です。暗号技術には対称鍵暗号化や非対称鍵暗号化があり、データの秘匿性を保ちます。また、数学的な理解も求められることが多いです。
一方、認証技術では、パスワードやPINコード、非接触ICカードなどを用いて、不正アクセスやなりすましを阻止します。二要素認証のように認証手段を組み合わせ、セキュリティを高める実践的知識も必要です。
法律に関する知識
セキュリティエンジニアは、法律の知識も必要です。
特に、セキュリティ対策に関連する法律に精通するのが重要です。法律は、データ保護やプライバシーに関わるため、法律違反を避けるためにも知識が必要です。
EUのGDPRのように国際的な規則もあり、世界規模での業務をおこなうには理解が欠かせません。法律は変わるため、常に情報の収集が必要です。セキュリティと法的対応の両立は、セキュリティエンジニアの大切な役割です。
プログラミングに関する知識
プログラミングは、システムの防御壁を構築するために必要です。安全なコーディングのためには、入力データの検証やエラー処理を徹底し、プログラムが必要最小限の権限で動作するよう配慮する必要があります。
また、PythonやC/C++のような言語は、セキュリティツールの開発に使われ、JavaやJavaScriptはWEBのセキュリティで不可欠です。攻撃者が利用する技術を理解し、防ぐために、重要なスキルの1つです。
最新情報を得るための英語力
海外のサイバー攻撃情報やセキュリティ関連ニュースは多くが英語で発信されるため、最新情報を得るには英語力が必要になります。また、多くのセキュリティシステムや規格は海外製で、公式情報は英語で提供されることが多いです。
英語力はセキュリティエンジニアにとって必須ではないものの、専門性を高めるためには重要です。IPAが発表した「セキュリティエンジニアのためのEnglish Reading」にも、重要性が詳しく説明されています。
運用経験のあるセキュリティエンジニアは重宝されやすい?
弊社TechReachの案件では、セキュリティ運用の実績を求める案件が見受けられます。運用経験のあるセキュリティエンジニアが重宝される理由を2点ご説明します。
セキュリティエンジニアの需要は高まっている
セキュリティエンジニアは近年需要が増している職種のため、運用経験がある人は重宝されやすいです。実際に、総務省が発表した『令和2年版情報通信白書』によると、日本企業の9割がセキュリティ人材の不足を感じており、セキュリティ対策に苦慮している実情が伺えます。(P273、274に記載)
また、サイバー攻撃が国際的な問題となっている今日、セキュリティ対策の専門家は、国内外を問わず広い活躍の場が期待されます。
企業のサイバー攻撃への意識も高まっている
企業のデータ管理への意識が高まる中、サイバー攻撃への警戒も強くなっています。企業の情報は貴重な資産となり、資産を守るためにセキュリティエンジニアの専門性が求められています。
ウイルスは進化し、攻撃手法も巧妙化しているため、企業は情報セキュリティを強化する方針を取り、専門家の確保に努めています。セキュリティエンジニアは、企業の関心の高まりから今後も市場価値が高まり、重要性が増していくと予想されます。
セキュリティエンジニアが年収1,000万円を目指すためには
セキュリティエンジニアが高収入を目指すには、専門性を高め、市場価値を向上させる必要があります。以下で具体的な方法をご紹介します。
高難易度の資格の取得
セキュリティエンジニアとしての専門性を示すため、難易度の高い資格を取得するのは効果的です。資格はエンジニアの技術水準を証明し、企業からの信頼を勝ち取る手段でもあります。
例えば、業界大手のシスコシステムズが運営するCisco Certified Internetwork Expert(CCIE)やCertified Information Systems Security Professional(CISSP)などの資格は、国内外で高く評価される資格です。
上記のような資格を取得すると、高度な専門知識が認められ、年収アップにつながる可能性があります。さらに、資格取得によって企業から資格手当が支給されるケースもあり、収入を増やす一助となるでしょう。
昇格を目指す
セキュリティエンジニアが年収を増やすためには、管理職への昇格を目指すことが有効です。管理職になることで、より多くの責任を担うため、責任に見合った報酬が期待できます。求人サイトによると、企業にもよりますが、セキュリティエンジニアの管理職の年収は800〜1,500万円ほどとされています。
管理職に昇格するためには、高度な技術スキルとともに、チームを率いるリーダーシップやコミュニケーション能力が求められます。また、経営層との折衝や戦略立案にも関わるため、経営視点で物事を考えられる能力も重要です。積極的にプロジェクトのリードを志願し、自らが提案し実行する姿勢は、昇格のチャンスをつかむために不可欠です。
キャリアアップのための転職
セキュリティエンジニアが年収を上げるためには、転職も有効な手段です。市場価値が高まる専門技能を有するセキュリティエンジニアにとって、より条件のよい職場への移籍は、年収アップに直結するのが期待できます。
特に外資系企業や大手企業は、セキュリティエンジニアの需要が高く、年収1,000万円を超える可能性もあります。外資系企業は成果主義を導入していることが多く、実力次第で収入向上が望める環境です。
キャリアアップを図る際には、保有する資格や過去の実績をアピールすることが重要です。難易度の高い資格を取得している場合、高い技術力を証明する材料となり、転職市場での評価を高めるでしょう。
さらに、管理職への昇進を目指す動きも、収入アップのためには効果的です。管理職には、チームを率いた経験や高度なコミュニケーション能力が求められるため、スキルを磨くことも重要となります。
なお、転職活動をおこなう際には、信頼できる転職エージェントの利用も検討するとよいでしょう。専門のアドバイザーが、個々のスキルやキャリアプランに合わせた転職支援をおこなってくれます。
フリーで案件を獲得する
フリーランスとしてセキュリティエンジニアの案件を獲得するには、高い専門性と幅広い人脈が必要です。まずは、セキュリティに関する深い専門知識と豊富な経験を積むことが重要で、信頼性と実績を築くことができます。
次に、案件獲得のためには、業界内での人脈を作り、信頼関係を築く必要があります。そのため、業界イベントへの参加やオンラインコミュニティでの活動が効果的です。
フリーランスとして成功しているセキュリティエンジニアの多くは、以前所属していた企業からの紹介や、過去のクライアントからのリピート依頼により案件を獲得しています。案件獲得後は、納期厳守や高いクオリティの維持を心がけることで、次の案件につながる良好な評価を得られるでしょう。
フリーランスとして活躍するためには、専門性と信頼性を兼ね備えることが、年収を上げるための大きな鍵を握っています。
また、フリーランス専門の案件情報サイトを利用して、新たな案件を探すこともできます。
未経験でセキュリティエンジニアになるには?
セキュリティエンジニアになるためには、サーバー、ネットワーク、ソフトウェアなどの深い理解が不可欠なため、初めはシステムエンジニアやインフラエンジニアなど、IT関連の職種で実務経験を積むことが一般的です。経験を通じてセキュリティ分野に必要なスキルと知識を身につけ、理解を深めることが可能です。
さらに、資格を取得して専門知識を証明するのも、キャリアアップに役立ちます。一部の企業は未経験者も受け入れているので、関連分野での経験を積みながら、セキュリティエンジニアへの転職機会を探ることも大切です。
参考記事:未経験からフリーランスになるには?必要な知識や手続きを詳しく解説
セキュリティエンジニアが年収アップのための役立つ資格
セキュリティエンジニアにとって、資格取得はセキュリティ技術への熱意を所属企業に示し、セキュリティの専門知識を深め、業界での地位を高めるのに役立ちます。また、資格取得は、自己のスキル向上だけでなく、将来的なキャリア形成でも大きな価値を持ちます。積極的な資格取得はセキュリティエンジニアにとって重要な投資です。
市場価値を高めて年収アップにつなげるため、いくつかの資格が特に効果的です。以下で、セキュリティエンジニアにとって特に有効な資格として、7つの資格を紹介します。
シスコ技術者認定
シスコ技術者認定は、ネットワーク機器販売大手のシスコシステムズが運営するグローバルな資格で、セキュリティエンジニアを目指すうえで大きなメリットをもたらします。
認定を取得すると、基礎から上級レベルまで、セキュリティに関する幅広い知識を証明できるため、求職活動でも大いに役立つでしょう。
例えば、CCNA Securityは基礎レベル、CCNP Securityは上位レベル、そしてCCIE Securityは最高難易度となっており、取得すれば世界でも評価されるセキュリティスペシャリストの存在を示すことができます。進行するデジタル化社会で、国際的に認められた資格が、キャリア形成の大きな糧となることは間違いありません。
情報処理安全確保支援士試験(旧:情報セキュリティスペシャリスト試験)
情報処理安全確保支援士試験は、日本国内で実施されているなかでも特に難易度が高い国家試験です。資格は、サイバーセキュリティリスクの分析・評価、情報システムの安全確保、セキュリティ対策の助言・提案など、セキュリティに関わる幅広い知識と技能を証明します。
資格取得者は、情報セキュリティマネジメント、リスクアセスメント、セキュリティインシデント管理など、多岐にわたるセキュリティ業務でリーダーシップの発揮が期待されます。
また、暗号利用、マルウェア対策、システムのセキュリティ強化など、実務に直結する知識を身につけることができます。
セキュリティエンジニアは情報処理安全確保支援士試験に合格して能力を大きく伸ばし、高い専門性を証明し、キャリアアップや年収アップの機会を広げることができます。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、セキュリティエンジニアにとっての基盤となる知識を問う国家資格であり、多岐にわたるITの知識を有することを証明します。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験は、エンジニアの基礎的なスキルを評価するため、セキュリティエンジニアへのキャリアチェンジを考えている方にとってよいスタート地点となるでしょう。
セキュリティエンジニアは、常に新たな技術や知識の習得が求められる業界のため、情報処理技術者試験は基礎を築くために活用できます。
CISO
CISO認定資格は、セキュリティエンジニアがキャリアアップを図るために役立つ資格です。CISO(Chief Information Security Officer)資格制度は、情報セキュリティ、ITガバナンス、リスクマネジメントなど、企業経営に直結する情報の発信や会員間の情報交換を目的としています。資格取得者は、最新のセキュリティ情報を常にキャッチアップし、適切な意思決定や施策を実施する活動が求められます。
CISO認定試験は、情報セキュリティ技術評価やシステム構成要素、情報セキュリティ対策などの幅広い知識をカバーしており、セキュリティエンジニアにとって実務に直結する知識とスキルを得ることができます。
また、継続的な認定資格セミナーを通じて、専門知識を常に更新し続けることが可能です。
CompTIA Security+
CompTIA Security+は、国際的に認知されているセキュリティ資格です。資格は、ネットワークセキュリティやコンプライアンス、アクセスコントロールなど、幅広いセキュリティに関連する知識を問われます。
特にグローバルな環境で活躍するのを目指すセキュリティエンジニアにとって、CompTIA Security+が技術力の証明として有効です。資格取得を目指すことは、自己研鑽にも価値があり、セキュリティエンジニアとしての専門性を示すことができるでしょう。
CISM(Certified Information Security Manager)
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)は、情報セキュリティマネジメントに特化した国際的な資格であり、セキュリティプログラムの管理や設計、監督などをおこなう上級者向けの資格です。
資格を有すると、セキュリティエンジニアとしての専門性だけでなく、管理職としての能力も認められ、キャリアアップにも大きく貢献します。情報セキュリティ管理に関する5年以上の実務経験が求められるため、実践的なスキルと経験を積んでから挑戦するのが重要です。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、セキュリティエンジニアにとっての入門資格と位置づけられ、情報セキュリティの基本的な知識や管理、法規に関する知識など、広範な分野が出題されます。
資格を取得すると、セキュリティエンジニアとしての基礎を固めることができますし、さらなる専門資格への第一歩となるでしょう。情報セキュリティの重要性がますます高まる社会で、本資格はセキュリティエンジニアのスタートラインとして役立ちます。
セキュリティエンジニアのキャリアパス
セキュリティエンジニアとしての知識と経験は、情報セキュリティ分野でさらなる高みを目指すための貴重な資産となります。
セキュリティエンジニアとして道を進むことで、セキュリティコンサルタント、セキュリティアナリスト、セキュリティアーキテクトなどさまざまなキャリアへと発展させることができます。
本項では、キャリアそれぞれの役割と必要なスキル、年収の見通しを、具体的に解説します。
セキュリティコンサルタント
セキュリティコンサルタントは、企業の情報セキュリティ課題を理解し、適切な解決策を提案する専門家です。クライアントとの緊密なコミュニケーションを通じて技術的な問題を解決します。
就任するにはセキュリティエンジニアとしての実務経験に加え、顧客との交渉能力やプレゼンテーションスキルが求められます。
セキュリティコンサルタントの年収は一般的に500万円から1000万円程度で、専門性と役割の重要性が反映されています。
セキュリティアナリスト
セキュリティアナリストは、サイバー攻撃が発生した場合に攻撃手法を分析し、迅速に対処することを主な役割とします。
セキュリティエンジニアとしての経験をもとに、不正アクセスやマルウェア攻撃のパターンを特定し、企業の防御戦略を策定します。
高い技術力と専門知識が要求され、年収は一般的に500万円から1000万円の範囲になります。セキュリティアナリストは、深い技術的洞察力と迅速な問題解決能力が必要とされます。
セキュリティアーキテクト
セキュリティアーキテクトは、組織のセキュリティ戦略を担う重要な役割を果たします。システムのセキュリティ要件の定義や、リスクへの対策策定など、戦略的な観点からセキュリティ管理をおこないます。
セキュリティアーキテクトになるには、セキュリティエンジニアとして上流工程の経験が有利であり、年収はおおよそ500万円から800万円程度が相場です。組織の構造を深く理解し、俯瞰的にセキュリティを構築する能力が求められます。
セキュリティエンジニアの将来性
セキュリティエンジニアは、情報技術が進化し続ける社会で、重要な役割を担う専門職です。企業や組織がデジタル化するにつれ、セキュリティ対策の需要は高まり、エンジニアの価値はさらに増しています。
情報処理推進機構による2018年IT人材白書の予測にもあるように、2030年までに約79万人の技術者が不足するデータがあり、セキュリティエンジニアの将来性を端的に示しています。
デジタル庁は、サイバーセキュリティ強化のため、ゼロトラストアーキテクチャ適用方針や常時リスク診断・対処アーキテクチャなどの施策を実施しています。セキュリティ強化の取り組みは、企業や個人にとって必要不可欠なもので、サイバー攻撃者による情報抜き取りやシステム改ざん、DDoS攻撃などの脅威から情報システムを守るために欠かせません。
同様に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)も、政府機関の情報セキュリティ水準向上を目指して「統一基準群」を運用しています。サイバー攻撃は、企業や個人に大きな金銭的損害や信用の喪失をもたらす可能性があり、特に最近では、コロナによるテレワークの普及にともない、セキュリティ面での新たな課題が生じています。
サイバー攻撃は巧妙化、多様化しており、情報を守る専門家はますます求められるようになります。政府もセキュリティ対策の強化と人材育成に注力しており、セキュリティエンジニアはまさに今後の社会を支えるキーパーソンです。
さらに、セキュリティエンジニアは広くIT技術に通じ、最新の攻撃手法を熟知した高い専門性のある人材が必要とされ、経験を重ねるほどに知識と技術が価値を増すため、息の長いキャリアを築くことが可能です。
以上のように、セキュリティエンジニアは将来的にも安定した需要が見込まれる職業であり、高度なスキルと専門知識を持つことにより、確固たるキャリアを築ける可能性が高いです。
セキュリティエンジニアのよくある質問
セキュリティエンジニアに関してよく聞かれる疑問にお答えします。
未経験でセキュリティエンジニアになるには?
まず、基礎的なITスキルを身につけることが重要です。ネットワークやサーバーに関する知識やプログラミングの基本などは、専門学校やオンラインで学ぶことができます。
次に、インフラエンジニアやネットワークエンジニアとして実務経験を積むのが一般的です。さらに、セキュリティに特化した資格を取得すると、自身の知識と信頼性を高められます。例えば、CompTIA Security+や情報セキュリティマネジメント試験などがあります。
そして、未経験でもセキュリティエンジニアを募集している企業に積極的に応募するのが大切です。
参考記事:未経験からフリーランスになるには?必要な知識や手続きを詳しく解説
セキュリティエンジニアになるために何を勉強すればいい?
セキュリティエンジニアになるためには、ネットワークやシステム、アプリケーションの基本から始め、セキュリティの原則と実践を深く追求するのが推奨されます。プログラミング言語の理解も、セキュリティの脆弱性を評価し対策を講じる際に役立ちます。
また、新たな脅威や防御手法を学び続けるため、自己学習の習慣や英語力を身につけることが重要です。セキュリティに関連する資格取得するため勉強するのを通じ、専門知識をさらに深めることができます。資格の例としては、情報処理技術者試験やシスコ技術者認定などがあります。
セキュリティエンジニアのやりがいは?
セキュリティエンジニアとしてのやりがいは、IT犯罪から企業や利用者を守り、ひいては社会全体の安心安全を守ることにあります。
日々変わる脅威への対応や、侵入を未然に防ぐ戦略を立てることは、高度な専門知識とスキルを必要とします。セキュリティ対策が功を奏し、攻撃を阻止した際の達成感は大きく、組織内での重要な役割を果たし、信頼を得られるのは、セキュリティエンジニアの魅力です。
また、セキュリティの専門家としての知識を共有し、啓発活動を通じて社会に貢献するのも大きなやりがいとなっています。
まとめ
これからセキュリティエンジニアを目指す方は、ITシステムやITインフラの知識から覚えていくようにしましょう。システムエンジニアやバックエンドエンジニアも関連職種になりますが、ネットワーク関連の被害が多くなっているので、ネットワークエンジニアとして専門性を高めてからのキャリアアップもよい選択肢でしょう。
また、基幹システムやWEBアプリケーション、ソフトウェア開発など、企業が開発するシステムによって求められるセキュリティが変わり、セキュリティのコンサルタントをメインに据えている企業もあります。そのため、実際に業務をおこなうことを見据え、自身がどのような企業でどういったセキュリティ対策がしたいかも考えておくことをおすすめします。本記事が少しでもお役立てになれば幸いです。
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