プロジェクトの成功を導く鍵となるプロジェクトマネージャー。責任ある役割を担うためには、戦略的な思考と高度な管理能力が求められます。
一体どのような資格がプロジェクトマネージャーの能力を磨き、キャリアを加速させるのでしょうか?
本記事では、プロジェクトマネージャーにとって必須の資格と、資格取得がキャリア形成へ及ぼす影響を詳しく解説します。
Contents
プロジェクトマネージャ(PM)とは
プロジェクトマネージャ(PM)はプロジェクトの全体を指揮し、目標達成のための計画立案や資源の効率的な配分、進行状況の監視をおこないます。
PMの役割には、チームメンバーの能力を活かし、プロジェクトを計画通り進めることが求められます。また、プロジェクト内外のステークホルダーとの効果的なコミュニケーションも重要です。不測の事態に対しては、適切な判断と迅速な対応でプロジェクトを成功に導く能力が必要です。
プロジェクトマネージャの仕事内容
プロジェクトマネージャの主な仕事内容は、プロジェクトの目標を定め、目標を達成するための具体的なアクションプランの作成です。
プランには、タスクの分割と配分、スケジュールの管理、予算の策定と管理が含まれます。チームメンバーの選定とスキルの最大限の活用、プロジェクトに関わるリスクの特定と管理、品質の確保も重要な責務です。
プロジェクトを期限内に、予算と品質の要件を満たす形で成功に導くことが主なミッションで、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決、組織力などの多角的なスキルが求められます。
プロジェクトマネージャの資格とはどんなもの?
情報処理推進機構(IPA)の「プロジェクトマネージャ試験」は、IT業界でのプロジェクトマネジメントの知識と技能を証明する資格です。
本資格は、プロジェクト成功に必要な知見と実践的スキルを持つことを示し、実務経験がある者には業界標準の方法論に基づく経験を、経験が少ない者にはスキルアップと仕事の機会を提供します。
試験は多肢選択式と論述式の問題があり、事前準備が重要です。プロジェクトマネージャとしての実践力を身につけることが可能です。
合格率は約13〜15%と難易度は高め
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験のなかで特に難易度が高いとされ、合格率は約13%から15%程度です。
試験の難しさは、論述問題が多く含まれることに由来し、受験者は専門知識と論理的な文章作成能力の両方が求められます。実践的なスキルと問題解決能力の証明には、試験前の十分な準備が不可欠です。
プロジェクトマネージャ試験の内容
プロジェクトマネージャ試験の問題形式は、午前と午後に分かれており、午前Ⅰで多肢選択式30問、午前Ⅱで多肢選択式25問、午後Ⅰで記述式2問、午後Ⅱで論述式1問の構成です。
選択式問題だけでなく、記述力や論述力も求められるため、試験の対策としては広範な知識の習得とともに、文章表現の訓練も必要です。試験時間は午前から午後にかけて休憩含め7時間に及びます。
関連記事:プロジェクトマネージャ試験とは?試験内容や難易度・勉強法を解説
プロジェクトマネージャの資格を取得するメリット
プロジェクトマネージャにとって、スキル向上、資格取得は専門知識の証明、職業上の信用獲得のため重要です。
項目別に詳しく解説します。
プロジェクトマネジメントについて学ぶきっかけになる
資格取得の大きなメリットは、必要なスキルを体系的に学べることです。
プロジェクトマネジメントには、大局的な視野、コミュニケーション、ディレクション、マネジメントスキル、課題発見・問題解決能力、ビジネスや経営、開発に関する専門知識など、幅広いスキルが求められます。
一つひとつ学ぶのは大変ですが、資格取得を目指すことで、参考書を使って体系的に学ぶことが可能となります。
プロジェクトマネジメントのスキルを証明できる
プロジェクトマネージャの多岐にわたるスキルセットを他者に伝え、確信してもらうのは難しいです。資格取得は、リスク管理やコスト管理などのプロジェクト成功のための核となる能力を客観的に証明する重要な手段です。
国際的に認知されている「PMP(Project Management Professional)」などの資格は、プロジェクトマネージャとしての信頼を得るのに有効です。
国内では「プロジェクトマネージャ試験」が実力を示す証明となります。
年収アップ、キャリアアップの際に有利になることも
資格取得はプロジェクトマネージャの能力を証明でき、企業によっては資格手当などが支給される場合もあります。
さらに、資格は新たな職位への昇進や上級職へのキャリアアップを目指す際にも、大きな力となります。自己の専門性を証明し、プロフェッショナルとしての成長を促すためにも、プロジェクトマネージャ関連の資格取得は有益な選択でしょう。
プロジェクトマネージャとして有利なその他の資格
プロジェクトマネージャは、特定の資格だけではなく、複数の認定を取得し、さらにキャリアの幅を広げることができます。
それでは、どのような資格がプロジェクトマネージャにとって有利なのでしょうか。多くのプロジェクトで求められる知識やスキルを補完し、より高度なマネジメント能力を身につけるための資格をいくつかご紹介します。
PMP
PMP(Project Management Professional)資格は、プロジェクトマネジメント能力を世界共通の基準で証明する国際資格です。PMI(Project Management Institute)が認定し、世界中で価値が認められています。資格取得には、プロジェクト管理経験と専門トレーニングが必要で、更新は3年ごとです。
PMP試験はプロジェクトの各段階のマネジメント理解度を問う、四肢選択式の200問を4時間で解く形式です。実務経験が必要で、合格率は公表されていませんが難易度は高いです。受験料は会員と非会員で異なり、更新にも費用がかかります。
P2M
P2Mは、日本独自のプロジェクトマネジメント手法をベースにした、特定非営利活動法人日本プロジェクトマネジメント協会が提供する民間資格です。企画段階からの提案、計画、執行力を証明できます。
試験はPMC、PMS、PMSプログラム、PMRの4階級に分けられ、合格率は38.8%から78.6%、難易度は階級により異なります。
試験費用は階級により1万7,000円から22万円、勉強時間は約15時間から45時間です。
ITストラテジスト
ITストラテジスト試験は、事業戦略を支援する専門家を認定する国家資格で、IT分野の企画や戦略立案に関する深い知識が求められます。
合格率は約14.4%と高難易度です。ITストラテジスト資格を持つプロジェクトマネージャは、より広い視野でプロジェクトを推進し、IT利活用による事業成長に貢献できます。
受験料は7,500円、年に2回の頻度でIPAが実施します。特に事業戦略やシステム企画の実務経験を持つ方に適した資格です。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、実務経験がある方向けの試験で、実践的な問題が出題されます。
合格率は約50〜70%と比較的高く、受験料は19,800円です。年に3回実施され、即時の結果判定が特徴です。試験合格後、ITコーディネータとして認定され、ビジネスとITの橋渡し役として活躍できます。
勉強時間は50時間以上を目安に、経営理解とITスキルのバランスが重要です。合格後も、更新手数料として年間22,000円が必要で、知識更新とスキルの継続的な向上が求められます。
PMOスペシャリスト認定資格
PMOスペシャリスト認定資格は、PMO(プロジェクトマネージメントオフィス)の専門知識と実務経験を証明する資格で、ISO21500:2012(プロジェクトマネジメントの国際標準規格)に準拠しています。PMO-S(★)とPMO-S(★★)の2つのレベルがあり、PMO-S(★★)の合格率は44%となっています。
PMO-S(★)の受験手数料は一般の場合で14,300円ですが、映像型eラーニングなどの教材利用、合格後の2年毎の更新には追加費用が発生します。PMOに関する知識が求められ、基本的なプロジェクトマネジメント知識を持つ場合の推奨学習時間は約30時間です。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、ITエンジニアがプロジェクトマネージャへのキャリアを目指す際に役立つ国家試験です。IT技術を活用した課題解決の戦略や実行力を測るもので、幅広い知識と応用力が必要です。
合格率は27.2%と厳しい水準で、受験費用は7,500円、年2回実施されます。経験者は200時間程度の学習が目安ですが、未経験者にはさらに多くの時間が必要です。応用情報技術者の資格取得は、プロジェクトマネージャとしてはもちろん、ITエンジニアとしてのキャリアアップにもつながります。
まとめ
プロジェクトマネージャに役立つ資格をご紹介しました。
プロジェクトマネージャ試験は合格率が約13〜15%と難易度は高めですが、取得すれば、専門性が高く評価されます。
プロジェクトマネージャは、幅広い知見とさまざまなスキルが必要とされる職種なため、資格取得はスキルアップだけでなく、スキルの証明として、キャリアアップに役立ちます。
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