フリーランスや個人事業主になると、事業に関する書類などで「屋号」という言葉を目にする機会が多くなります。しかし、会社員から転身したばかりだと、屋号の意味や必要性などはわかりづらいのではないでしょうか? この記事では、屋号という名称を決める際の方法やその必要性、メリット、名前決めのポイントなどを解説しています。ぜひともご確認ください。
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フリーランスの屋号とは
屋号とは、フリーランスや個人事業主が自身の事業に対して用いる名称のことです。個人事業の飲食店の「店名」や事業所の「事業所名」、法人の「会社名」などが屋号に相当します。屋号を用いることにより、事業のアピールや屋号での銀行口座の開設、社会的信用などのメリットが生まれます。
屋号は必須ではない
フリーランスとして事業を運営するうえで、屋号は必須のものではありません。個人名で事業運営をしたい場合は、開業届の屋号記入欄を空白にしたまま税務署に提出するようにしましょう。また、開業届を提出したあとに屋号を付けたくなった場合、確定申告をする際に確定申告書の屋号欄に新しい屋号を記載をすれば変更可能となっています。
既存屋号の変更もできる
すでに屋号を用いている場合でも、屋号の変更をすることができます。その際は、確定申告書の屋号欄に新しい屋号を記載すれば変更可能です。しかし、屋号を商号登記している場合や商標登録している場合は変更手続きが必要です。また、屋号付きの銀行口座を保有していたり、小規模事業共済などに加入している場合も名義変更手続きが必要となります。
屋号を一度決定したあとの屋号変更は、上記のような変更手続きに加えて関係各所への連絡などもしなくてはなりません。名称の変更によってマイナスイメージを持たれる可能性も考えられるため、一度決めた屋号はよほどのことがない限り変更しないほうが良いかと思います。
フリーランスの屋号のメリット
フリーランスが屋号を用いるメリットを3つお伝えします。
フリーランスのアピールポイントになる
屋号名が個人事業の内容を表していたり、インパクトのある名前を用いたりすることでクライアントへのアピールになる可能性があります。例えば、フリーランスエンジニアとしての屋号を付けるのなら、「テック」「システム」「デジタル」「IT」「技研」「ラボ」などの言葉が入っていると、クライアントもフリーランスエンジニアとして認識しやすくなるでしょう。
屋号付きの銀行口座を開設できる
確定申告をする際は事業用の収支だけをまとめる必要があるため、プライベート用と事業用の銀行口座を併用している場合、事務処理の手間がかかってしまいます。そこで、屋号付きの銀行口座を開設することでプライベート用の銀行口座と事業用の銀行口座で使い分けができるようになり、お金の管理が楽になるメリットが生まれます。
また、銀行口座の使い分け自体は個人名の銀行口座を二つ以上開設すれば可能ですが、屋号付きの銀行口座を開設することにより、社会的信用の向上が見込まれます。例えば、クライアントの視点に立ってみた際に、報酬支払をする銀行口座が個人名のものよりも、屋号付きの銀行口座のほうが事業運営をしっかりとおこなっているイメージを持たれるのではないでしょうか。
銀行口座の開設で必要になるものや口座開設が認められる基準は金融機関によって異なります。しかし、手続き自体は個人用の銀行口座開設と大きな違いがあるものではなく、基本的には屋号名を記載した「開業届」や「所得税の青色申告承認申請書」などの書類を提出すれば開設可能です。屋号付き銀行口座は上述したようなメリットがあるため、開設したほうが良いでしょう。
社会的信用を得られる
銀行口座の項目でお伝えしたように、個人名での事業運営よりも屋号を用いた事業運営のほうが社会的信用を得られます。また、請求書などの押印で使う印鑑が屋号を用いたものになっていたり、屋号を用いた事業所を構えたりすることもクライアント側の安心感や社会的信用につながります。
フリーランスが安定的に仕事を得るためには、事業運営をとおして得られる信頼に加え、客観的な社会的信用力も重要です。これからフリーランスになる方も、個人名で事業運営をしている方も、ぜひとも屋号を検討してみてください。
フリーランスの屋号の決め方と名前を付けるポイント
フリーランスが屋号を決める際に意識したいポイントを3つお伝えします。
業種が分かりやすいものにする
日常生活のなかで目にする企業の法人名や個人事業の屋号などは、一目見てわかるものが多くなっています。例えば、製薬会社であれば「⚪︎⚪︎製薬」、建築会社なら「⚪︎⚪︎工業」、ビール会社なら「⚪︎⚪︎ビール」などがあります。個人事業のお店では、パン屋なら「⚪︎⚪︎ベーカリー」、花屋なら「⚪︎⚪︎フラワーショップ」、写真屋なら「⚪︎⚪︎フォトスタジオ」など、扱っている業種がすぐにわかる企業名や屋号の例には枚挙にいとまがありません。
一目見て業種がわかりやすいと、クライアントも認知しやすくなり、扱っている事業が何なのかを判断する余計なストレスもかからなくなります。また、屋号がわかりやすいとWebやSNSなどの検索で表示されやすくなることも期待できます。
読みやすい・発音しやすいものにする
読みやすく、発音しやすい屋号は読み手へのストレスが少なく、覚えやすいものになります。また、読みやすく発音しやすい屋号を用いることで、クライアントやお客さま自身が話すこと、SNSへの書き込みなどのハードルも低くなり、第三者が個人事業主の屋号を発信しやすくなるというメリットもあります。
加えて、フリーランスや個人事業主として事業を運営していくと領収書の受取や請求書の発行をすることが多くなりますが、その際に用いる屋号が読みにくく、発音しにくいものだと相手に不快感を与えかねません。屋号にこだわりを持つことはモチベーションを上げるためにも良いことですが、事業運営をするには他者との関わりを避けて通れません。他者の視点を持って読みやすく、かつ発音しやすいものを選ぶようにしましょう。
印象に残りやすいものにする
屋号が印象に残りやすいものだと、クライアントが仕事の依頼先を探す際の候補に上がりやすくなります。長音、濁音、半濁音といった発音に関するものや、造語やリズム感、言葉の並びなど、印象に残る屋号にするために考えるべきことはたくさんあります。
印象に残りやすい屋号を考えることは難しい点でもありますが、自身の性格や事業に対する思い、どういった印象を持たれたいかなどの基準を定めることができれば自然と考えもまとまっていきます。また、屋号の候補を上げ続けることで良いアイデアが生まれたり、煮詰まったあとにスッと屋号が決まることもあります。印象に残りやすい屋号を意識しつつ、言葉について調べたりして考える時間を設けましょう。
フリーランスの屋号の注意点
フリーランスが屋号を用いる際の注意点を3つお伝えします。
ルールに従ってネーミングをする
フリーランスや個人事業主は法人格を有した会社ではありませんので、「⚪︎⚪︎会社」や「⚪︎⚪︎法人」「⚪︎⚪︎Inc」「⚪︎⚪︎Co」「⚪︎⚪︎Ltd」などの会社を表す表記を利用することができません。また、「⚪︎⚪︎銀行」や「⚪︎⚪︎信用金庫」「⚪︎⚪︎証券」などの特定業種の名称を使うことも禁止されています。
既存の屋号と被らないようにする
他の個人事業主が利用している既存の屋号を利用することもできますが、できるだけ被らないようにしたほうが良いでしょう。既存の屋号がWeb上で公開されているようであればWeb検索で不利になり、屋号が商標登録されている場合はトラブルが発生する可能性があるからです。検討している屋号の存在を確認するためには、商号が調べられる「国税庁法人番号公表サイト」や商標登録が調べられる「特許情報プラットフォーム」、Web上でのキーワード検索をしてみてください。
イメージダウンにならないものにする
屋号にインパクトを残そうと奇抜な名前にしたり、笑いやウケを狙うあまりに不快感を与えてしまうような名前は避けたほうが良いでしょう。人間の名前がその人を表すように、フリーランスや個人事業の屋号はその事業を表します。イメージダウンにつながらない屋号にしましょう。
フリーランスの屋号の事例
フリーランスエンジニアとしての屋号では、上述した「テック」「システム」「デジタル」「IT」「技研」「ラボ」などの言葉に自分の苗字や事業所の所在地の地名を入れたりするとわかりやすい屋号になるかと思います。また、表記に関してはひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、英語のどれを選ぶかで同じ名前でも印象が大きく異なります。
例えば「さとうてっくらぼ」という名前を候補にした場合、
「さとうてっくらぼ」「サトウてっくらぼ」「佐藤てっくらぼ」「SATOてっくらぼ」と、「さとう」の部分を変えるだけで受け取る印象が変わってきます。
また、「さとうテックラボ」「サトウテックラボ」「佐藤テックラボ」「SATOテックラボ」と、「てっくらぼ」の部分をカタカナに変えても印象に違いが生まれます。
ひらがなを用いると優しいニュアンスが伝えられ、カタカナでは軽やかで明るいニュアンス、漢字は誠実かつ堅実なニュアンス、ローマ字や英語ではスタイリッシュでクールなニュアンスが表現できるかと思います。フリーランスエンジニア以外の業種でも、「デジタル」や「IT」のように業種を表すような言葉はありますので、それらの言葉を利用しつつ文字表記も工夫して、屋号を考えてみてください。
まとめ
フリーランスに屋号は必要ではありません。しかし、今回ご紹介したように屋号を用いるメリットは多く、デメリットは屋号を考える時間や屋号変更以外にはあまりないかと思います。屋号を用いることで事業に愛着も湧きやすくなり、他人からの認知力も向上することが見込まれます。また、会社員として働いている場合は自分の事業に名称を付ける機会がありませんので、屋号を決めることはフリーランスや個人事業主の特権ともいえるでしょう。屋号をまだ付けていない方は、ぜひとも検討してみてください。
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