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フルスタックエンジニアとは?仕事内容や必要なスキルについて解説

エンジニアの職種について調べていると「フルスタックエンジニア」という言葉を目にする機会があると思います。しかし、フルスタックエンジニアの言葉の意味や仕事内容まで把握されている方は少ないのではないでしょうか。この記事では、それらの情報に加え、必要なスキルや将来性などについても解説しています。ぜひともご確認ください。

 

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フルスタックエンジニアとは?

フルスタックエンジニアとは、複数のエンジニアポジションの業務を一人でおこなうことができるエンジニアのことで、企業によってはマルチエンジニアとも呼ばれます。

しかしながら、フルスタックエンジニアに明確な定義はなく、フロントエンドとバックエンド、スマートフォンアプリとインフラ構築など、スキルの組み合わせもさまざまです。そのような理由から、言葉の意味としては「システム開発において複数業務を兼任できるエンジニア」、「開発業務のオールラウンダー」のような認識でよいかと思います。

また、フルスタックエンジニアとして複数ポジションを担当する際は、それぞれのポジションを一人称で完遂できる能力が求められます。加えて、転職やフリーランスの案件などで「フルスタックエンジニア」という記載があった場合、企業や開発物によって求められるスキルが異なっているため、募集内容をしっかりと確認する必要があります。

フルスタックエンジニアが必要とされる理由

フルスタックエンジニアが必要とされる理由を3つお伝えします。

人件費の削減

企業経営としてはあたり前のことかも知れませんが、利益を上げるためにも人件費はなるべく抑えたい、という心理が働くものです。エンジニア業務はフロントエンドとバックエンドのように分業制となっており、それぞれ専任のエンジニアを雇うとなると二人分の人件費が発生します。そこで、フルスタックエンジニアが二人分の働きをすることができれば、多少給与を上げたとしても人件費を抑えることができるでしょう。

特に中小企業やスタートアップ企業では、人件費を抑えた効率的な開発を望む傾向があるため、フルスタックエンジニアのように複数ポジションを担える人材が必要とされています。

開発スピードの向上

中〜大規模の開発では、複数人でシステム開発をするほうが同時進行的に業務をこなせるため、作業効率は上がるでしょう。しかし小規模開発であれば、一人のエンジニアがすべての業務を担当することで開発スピードの向上が考えられます。システムの要件定義や設計、インフラ構築から始まり、実装から運用・保守までを一人のエンジニアが担当できれば、その分の引き継ぎなどがなく、システムの詳細についても担当エンジニアに任せることができます。高いスキルを持った人材がいることで、企業やプロジェクトが円滑に回り出すこともよくあることです。そのような点からも、フルスタックエンジニアは必要とされていると判断できます。

エンジニアの役割の変化

2016年に経済産業省が発表した、「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」では2030年にエンジニアが最大約79万人以上不足するといわれ、2021年12月にIPA (独立行政法人 情報処理推進機構)が発表した「DX白書2021」でも、DX人材の「量と質」が不足しているというデータが上がっています。実際に弊社TechReachの求人件数も上昇しており、IT業界の人材不足は続いています。

このような状況のなかで、人材の確保と人件費を減らすために、ベトナムなどへのオフショア開発(企画や設計などは自社でおこない、開発業務を海外企業に委託すること)を選択する企業も増えてきています。日本人エンジニアに求める内容も変化しつつあり、フルスタックエンジニアのように、人件費の削減や開発スピードの向上が見込める人材は、企業にとって貴重な存在であるといえます。

 

※出典:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果

     第3部 デジタル時代の人材

   

フルスタックエンジニアの主な仕事内容

フルスタックエンジニアの主な仕事内容を4つ紹介します。

フロントエンド開発

フロントエンド開発とは、WebサイトやWebアプリケーションなどでユーザーが目にする部分の開発をすることです。一般的には、Webデザイナーが作成したWebデザインを、HTML、CSS、JavaScriptなどを用いて実装していきます。また、開発現場ではBootstrapやVue.js、Angularといったフレームワーク、jQueryやReactなどのライブラリも利用されています。

バックエンド開発

バックエンド開発とは、WebサイトやWebアプリケーションなどでユーザーの目に見えない部分の開発をすることです。フロントエンド開発とは利用するプログラミング言語が異なり、JavaやPython、PHP、Ruby、Go言語などで開発されています。また、フロントエンド開発と同じように、現場ではプログラミング言語ごとのフレームワークやライブラリが利用されます。開発するシステムやインフラによって環境が異なり、サーバーやデータベース、クラウドサービス、コンテナなどのスキルや知識が必要になるものも多くなっています。

アプリ開発

アプリとはアプリケーションの略称で、ある特定の目的を持って作られたソフトウェアのことです。アプリにはWebアプリ、スマートフォンアプリ、デスクトップアプリなどがあり、フロントエンド開発とバックエンド開発はWebアプリに関する業務となります。

スマートフォンアプリ開発では、Apple社のiOSではSwiftとObjective-C、Google社のAndroidではJava、Kotlin、C#が主に利用されています。また、PythonやRubyなどでもスマートフォンアプリは開発可能です。デスクトップアプリ開発では、JavaやC#、Visual Basic.NETなどが利用されています。

インフラ・サーバーの保守・運用

バックエンド開発の一部にも含まれますが、システムのインフラやサーバーの構築も仕事内容に入ります。サーバーでは、利用するシステムによってWebサーバー、仮想サーバー、ファイルサーバー、データベースサーバーなどがあり、それぞれで利用されるソフトウェアも多数存在しているため、幅広い知識が必要になります。また、フルスタックエンジニアがシステムリリース後の運用・保守も兼任する場合があります。

フルスタックエンジニアになるには

フルスタックエンジニアになるための方法を3つお伝えします。

専門分野の幅を広げる

フルスタックエンジニアとして活躍をするためには、専門分野の幅を広げていく必要があります。そのため、ひとつの分野である程度の知識を身につけたあとは、関連する知識を貪欲に吸収していくようにしましょう。

フロントエンドエンジニアとして働いているようでしたらば、バックエンドとの連携でAPIなどを利用すると思います。そこからAPIについての知識を深めていくとともに、バックエンドのプログラミング言語やセキュリティ、データベースなどと学習の幅を広げていきましょう。また、日々の業務にゆとりがあれば自身でWebアプリケーションを開発してもよいかもしれません。知識の蓄積とスキルアップの意識が大切です。

業界全体の流れを把握する

IT業界は新しいフレームワークやライブラリ、プログラミング言語などの登場で流行の技術が移り変わっていきます。GitHubのプログラミング言語ランキングでは、2012年頃までRubyが一番利用されている言語でしたが、2022年ではRubyは8位となっています。また、JavaScriptのライブラリで絶対的な人気のあったjQueryも近年では利用頻度が下がってきています。

加えて、IT業界は技術の進歩にともなって職業が細分化される傾向があり、データサイエンスの分野でも、「データサイエンティスト」、「データアナリスト」、「機械学習エンジニア」、「データエンジニア」など、業務内容によってさまざまです。業界全体の流れを俯瞰的にとらえ、需要が増加しそうなスキルや職業を見極めながら、学習する内容を決めていきましょう。

 

出典:GitHut 2.0 – Github Language Stats

フルスタックエンジニアに必要なスキル

フルスタックエンジニアに必要なスキルを4つお伝えします。

プログラミングスキル

フロントエンド、バックエンド、スマートフォンアプリなど、システムの開発にはコンピューターに処理をおこわせるためのプログラミングスキルが必須となります。仕事内容の項でお伝えしたように、それぞれの分野で必要になるプログラミング言語が異なり、学習難易度や学習環境、案件数や年収などもさまざまですので、自身でよく考えて、習得していくものを選ぶようにしましょう。

OS・ミドルウェアスキル

WindowsやmacOS、LinuxなどのOS、Webサーバーやデータベース管理サーバー、アプリケーションサーバーなどのミドルウェアの知識もあったほうがよいでしょう。これらはフロントエンド開発ではそれほど重視されるスキルではありませんが、自身が開発しているシステムと関連するものではあるため、最低限の知識は覚えたいところです。

Webサーバーで有名なものはNginx、Apache、LiteSpeedなどで、データベース管理サーバーはMySQL、PostgreSQ、Oracle Databaseなど、アプリケーションサーバーはTomcat、Apache、Unicornなどがあります。

クラウドサービススキル

従来のシステム開発では、自社で保有しているハードウェアでシステムを構築、運用するオンプレミスが主流でした。しかし現在では、イニシャルコストが安く、開発速度も速いクラウドサービス上にシステム構築をする機会が多くなってきています。そのため、AWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azureなどの主要なクラウドサービスのスキルを身につけたほうがよいでしょう。

資格

フルスタックエンジニアになるために資格は必要ありません。しかし、幅広い知識を身につける手段やスキルの証明のために、資格取得を目指すこともおすすめです。

IT全般の知識を網羅的に修めたい方は、「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」、データベースであれば「ORACLE MASTER」、ネットワークなら「Cisco技術者認定資格」などがよいでしょう。また、プログラミング言語であれば各言語で資格試験が用意されているものがあり、専門性を高めるのであればIPAが主催する、「データベーススペシャリスト試験」や「システムアーキテクト試験」などの高難易度資格に挑戦してみましょう。

フルスタックエンジニアになるメリット

フルスタックエンジニアになるメリットを2つお伝えします。

案件の獲得がしやすくなる

フルスタックエンジニアは複数のポジションを担当することができるため、応募できる求人やフリーランスの案件も幅広くなります。また、求人情報などでフルスタックエンジニアと記載されていなくとも、「フルスタックに対応していきただきます」などといったものあり、そのような案件は該当するエンジニア自体が少ないため採用される確率も高くなるでしょう。これら以外にも、高条件の仕事を自分で選ぶことができる、高いスキルを持っているため交渉がしやすくなる、といったメリットも生まれます。

希少性が高く、需要が増大傾向にある

IT人材の不足は深刻な問題となっており、需要は増大傾向にあります。特に中小企業やスタートアップにとってフルスタックエンジニアは希少価値が高く、重宝されることが予想できます。また、大規模開発を主におこなっている企業でも、職務領域が広く、融通の利くフルスタックエンジニアを過小評価することは考えづらいでしょう。これらのような理由から、フルスタックエンジニアの将来性は高いと判断することができます。

フルスタックエンジニアの年収・報酬単価相場

フルスタックエンジニアの平均年収は約729万円、年収幅はおおよそ400万円〜2000万円ほど程度にまで渡るケースもあるようです。また、フリーランスの場合、平均単価は約82.1万円、年収換算にすると985.2万円となっています。

フルスタックエンジニアのキャリアパス

フルスタックエンジニアのキャリアパスは、「マネジメント」と「スペシャリスト」の2つに大別できます。

マネジメント

フルスタックエンジニアは、複数ポジションの知識やスキル、経験から、マネジメントに必要になる「俯瞰的な視点」や「論理的思考」、「目標設定能力」などが自然と身につくことが予想されます。そのため、マネジメント系の職種にあたるPM(プロジェクトマネージャー)やPMO(プログラムマネジメントオフィス)、エンジニアリングマネージャー(EM)などへのキャリアパスが候補となるでしょう。

スペシャリスト

フルスタックエンジニアの平均年収や報酬単価の相場は高くなっているため、知識やスキルを深めていき、「エンジニアとしてのスペシャリストを目指す」という選択を採っても問題ないかと思います。しかしながら、上述したようにIT業界のスキルは移り変わっていくため、情報を日々キャッチアップし、今後の流れを見越したうえで勉強を続けていく必要があります。また、スペシャリスト系の職業としては、ITコンサルタントやITアーキテクトへのキャリアパスが候補になるでしょう。

まとめ

フルスタックエンジニアは複数ポジションで専門性を持っているエンジニアですので、それらの知識やスキルを習得するために一定の努力が必要になるでしょう。しかし、報酬の上昇はもとより、知識の広がりで業務上の新しいアイデアや楽しさが発見できる可能性もあります。コツコツと勉強を続け、自身の目指すキャリアを実現するように行動していきましょう。

また、求人情報を見る限り、フルスタックエンジニアに求められる複数のスキルについては、フロントエンド開発とバックエンド開発をかけ合わせたものが多くなっています。自身でもいろいろと情報を調べ、習得するスキルを選択していきましょう。

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