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Kotlinの人気フレームワーク フレームワークごとの特徴や適性をご紹介

KotlinはWebアプリケーション開発ができるプログラミング言語です。そのため、フレームワークもいくつか存在し、JVM言語としてJavaのフレームワークも利用できるようになっています。そこでこの記事では、Kotlinで開発ができるフレームワークをピックアップし、それぞれの特徴をご紹介しています。ぜひともご確認ください。

また、Kotlinについてあまりご存じない方は、下記関連記事で概要をつかんでからのご一読をおすすめします。

 

関連記事:kotolinとは!Javaとの違いやAndroid開発との関係を解説

 

フレームワークとは

プログラミングをして何かしらのシステムを開発していく際には、プログラムの処理方法、 Webサーバーやデータベースとの関連付け、お問い合わせ機能で必要になる要素などを設計・構築していかなくてはなりません。初心者はもちろん、エンジニアとして活躍をしている人でも、これらを一から開発していくと手間がかかってしまいます。

そのような手間を省き、効率的なシステム開発をするためにフレームワークが用いられます。フレームワークとは、システム開発でよく利用する機能が搭載された雛形や土台のようなものです。フレームワークを利用すれば、フレームワークの仕組みに沿った開発が可能になります。システム開発に必要な雛形や土台が用意されているため、自分で一から開発をする必要がなくなる、というわけです。

例えば、会員制サービスやECサイトなどのシステムには、ユーザーデータを登録、参照、変更するためにデータベース連携が必要です。そのため、簡単にデータベース連携機能を構築できるフレームワークを利用すると、効率的な開発が可能になります。

開発効率の上昇以外にも、フレームワークにはメリットがあり、デメリットも存在します。次項で説明していますので、まずはフレームワークについて確認していきましょう。

フレームワークを使うメリット

フレームワークを使うメリットを3つお伝えします。

開発効率が上がる

上述したように、フレームワークにはシステム開発に必要な機能がパッケージ化されているため、それらを利用することで作業工数を減らし、開発効率を上げることができます。フレームワークを利用しないと一からプログラミングをする必要があるため、特に中〜大規模開発では、システムに即したフレームワークの選択が重要です。

コードとルールを統一できる

フレームワークにはコードの書き方やプログラミングの方法を定めているものが多数あるため、複数人でひとつのシステムの開発をする際の、コードの可読性を高めること(コードが統一され、何がどうなっているかがわかりやすい状態にすること)ができます。プログラミング言語のシステム開発では、同じ処理をする方法が複数存在しているため、規約を定めているフレームワークを用いることで自然とコードが統一されます。

また、システム開発の仕様を定めているフレームワークでは、どこに何をプログラミングし、どのようにシステムを組み立てていくかも決まっているため、仕様バグなどの人的ミスが発生しにくくなります。

初心者でも開発がしやすい

本来であれば細かいプログラミングが必要な機能でも、フレームワークを利用して簡単に実装できるものが多くあります。そのため、エンジニアとしての知識が不十分でも、ある程度の品質を保ったシステム開発が可能です。しかし、フレームワークを利用しないシステム開発の知識を持っていないと、エラー発生時などに対応できなくなる危険があります。この点については、メリットにもデメリットにもなり得ますので、システム全体に対する知識を蓄えるようにしましょう。

フレームワークを使う際の注意点

フレームワークを使う際に覚えておきたい注意点を2つお伝えします。

学習コストがかかる

フレームワークを利用するためには、プログラミング言語の知識を土台とした、フレームワークごとの規約や方法を覚えていく必要があります。そのため、特にプログラミング未経験者がフレームワークの習得までを目指していた場合、学習コストが重くのしかかってしまいます。一度フレームワークを覚えることができれば、MVCモデルなどの共通しているシステムの多さから、他のフレームワーク習得にはそれほど苦労しませんが、初期の段階では相応の努力が必要になるでしょう。

自由度が低下する

フレームワークの種類にもよりますが、規約が厳しいものはコード記述の方法も厳格に定められています。そのため、規約がなければ簡単に開発できるような機能追加などを自由におこなえなくなり、かえってコード記述量が増加する。あるいは、機能追加をおこなうためにはシステムの構成も変更する必要がある、といったことが起こりかねません。あくまでフレームワークの型に沿ったシステム開発となるため、将来的に機能追加をする可能性がある場合は、自由度の高いフレームワークを選択するか、フレームワークを使わないようにしましょう。

kotlinのフレームワーク 

Kotlinのフレームワークを5つお伝えします。

Ktor

Kotlinを開発したJetBrains社が提供しているKotlinの純正Webアプリケーションフレームワークです。2018年にリリースされているのでかなり新しいものですが、高頻度でアップデートされています。純正ということも相まって、今後の発展が期待できるフレームワークのひとつです。

 

出典:Ktor | IntelliJ IDEA ドキュメント

           Releases · ktorio/ktor – GitHub

軽量で拡張性がある

Ktorはマイクロフレームワークとなっており、フルスタックフレームワークにあるような認証機能やO/Rマッピングなどの機能が一切ついていません。サイズが小さく軽量になっているため、必要最低限のプログラミングでWebアプリケーションを開発することができます。また、規約が少なく自由にプログラミングをしていけるため、機能追加も柔軟にでき、拡張性が高くなっています。

非同期処理ができる

非同期処理とは、ひとつのタスクを実行している間に他のタスクの処理をすることで、処理速度が速くなるというメリットがあります。Ktorの非同期処理は、同じくKotlinのライブラリの一つである「Coroutine」を使うことで実現しています。フレームワークとライブラリ(特定の機能をするためにまとめられたプログラム)は併用できると覚えておきましょう。

幅広い動作環境である

KtorはJVM、JavaScript、iOS、Androidで動くマルチプラットフォーム(クロスプラットフォーム)のフレームワークとなっているため、ほとんどの環境で動作が可能です。プラットフォームに合わせた開発が不要になるため、この点は開発時の大きなメリットになります。

javalin

JavaのSpark Frameworkから分岐して作成された経緯をもつ、JavaとKotlinで利用できるWebアプリケーションフレームワークです。2017年にリリースされ、Microsoft、RedHat、Uberといった企業に利用された実績があり、Ktorと同じく軽量でシンプル、拡張性が高い、非同期処理ができる、といった特徴があります。また、JavaとKotlinは最初から相互運用性を持っていますが、Javalinは両言語で構築しやすい設計になっています。

 

出典:Javalin – A lightweight Java and Kotlin web framework

Spring Boot

Javaで有名なSpring Frameworkを効率的に使うためのWebアプリケーションフレームワークで、Kotlinでも利用可能です。Spring Frameworkには、Spring Security、Spring Data、Spring HATEOASなどといった機能が複数あり、これらを組み合わせた開発は管理が煩雑になるという問題がありました。しかし、Spring Bootを利用すればこれらの連携をシンプルにおこなえるため、開発効率が向上します。

 

出典:Spring Boot

コードの記述量が少なく済む

Spring Bootは、実行環境やコンパイラへ処理方法を命令する「アノテーション」を記述することができます。アノテーションを利用することで、スペルミスの抑制

や、エラーの表示、コンパイラからの警告を出さないようにする、などができるため、有効活用することによってコード記述を削減できます。

XMLファイルがいらない

Spring Frameworkの機能を利用する際は、XMLファイルをひとつずつ設定していく必要があります。しかし、Spring BootはXMLファイルの複雑な設定を排除し、簡単に処理できるようになっています。そのため、作業工数を削減できます。

Webコンテナの構築が不要

Javaがサーバー側で処理をおこなうためにはApache TomcatやGlassFishなどのWebコンテナの環境を整えなければなりません。しかし、Spring BootはjarファイルにWebコンテナを内包できるため、Webコンテナを準備する必要がなく、jarファイルのみで開発ができます。

Jooby

JavaとKotlinで利用できるWebアプリケーションフレームワークで、マイクロフレームワークに該当します。JavaでのWebアプリケーション開発を自由かつシンプルで、習得しやすいものを目指して設計され、Javalinと同じく両言語で開発しやすいように考慮されています。

 

出典:jooby: do more! more easily!!

型安全性が高い

型安全性とは、正しいプログラムは不正な動作をしないという意味で、Joodyはこの点を重視して設計されています。そのため、プログラムがプログラムを操作するリフレクションやアノテーションなどの利用は最小限に留め、エラー発生の可能性を下げるように配慮されています。また、Kotlinで開発をする場合、Nullによるエラーを警告するNull Safety機能があるため、エンジニアがミスに気付きやすくなります。

パフォーマンスが高い

TechEmpowerのWeb Framework Benchmarkでは、どのフレームワークが高速に動作するかをランキング形式で発表しています。Round 21では全479フレームワークのうちJoodyは15位となっているため、パフォーマンスが高いフレームワークのひとつです。

 

出典:Web Framework Benchmarks – TechEmpower

wasabi

Kotlinで構築されたWebアプリケーションフレームワークでマイクロフレームワークに該当します。シンプルで拡張がしやすく、API連携を簡単におこなえるものとなりますが、Ktorが登場したことにより運営チームはKtorと協力していくとGitHubでは記載されています。2016年からアップデートもおこなわれていないため、Ktorの前に利用されていたフレームワークと判断してよいでしょう。

 

出典:wasabifx/wasabi: An HTTP Framework – GitHub

フレームワークの特徴を知り、最適なものを選ぶ

ここまで説明してきたように、Webアプリケーション開発で利用するフレームワークにはさまざまな種類があります。システムによって最適なものも異なってくるため、フレームワークの特徴についてよく調べて、将来性なども考えたうえで選定するようにしましょう。

また、KotlinはJVM言語のためJavaのフレームワークを利用したり、JavaとKotlinを用いてプログラムを開発することがよくあります。スマートフォンアプリ開発にも当てはまりますが、特にWebアプリケーション開発では、KotlinとJavaのスキルを持っていたほうが案件探しなどで有利になります。可能であれば両言語を習得するように行動していきましょう。

まとめ

今回紹介したフレームワークでは、Spring Bootが一番需要のあるスキルとなります。また、案件数は多くありませんが、Ktorのスキルを求めているものも存在します。KotlinをWebアプリケーションのサーバーサイドで利用している企業自体が少ないため、Kotlinのフレームワークの需要はそれほど高くありません。しかし、ニーズのあるフレームワークを覚えていると、該当する案件探しで有利になることは間違いないでしょう。フレームワークのスキルが必要だと感じた方は、この機会に勉強を始めてみてください。

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